2007年10月26日金曜日

【委員会】平成18年10月26日 平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会

2007.10.26 : 平成18年度_各会計決算特別委員会第2分科会


◯吉原委員 それでは、私の方からは、学校経営支援センターの関係についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 都教委は、自律的な学校経営を進めるために、自律経営推進予算の創設をされてまいりました。そしてまた、基準はあるものの、特異なときの人事異動だとか、校長の裁量の権限を拡大するなど、改革を進めてきたわけでありますけれども、特に、昨年の四月には、学校経営支援センター、これは都内に六カ所開設をいたしました。
 開設当初は、一部では、学校に対する管理強化につながっていくのではないか、そんな声もあったように伺っているわけでありますけれども、今日までの一年半が経過する中で、学校の身近な地域に設置されたことによって、校長のリーダーシップを実現できるよう、学校の実態に応じた機動的できめ細やかな支援をしている、こういうふうにお聞きをしているところでもあります。
 学校経営支援センターが学校に対して行った支援、こういったものの中にはどんなものがあるのか。そしてまた、学校側から見た、こういった支援というものに対して、どんなような評価があったのか、成果もあわせて伺いたいと思います。


◯森口参事 学校経営支援センターの学校に対する支援としては、先ほど、人事等ございますが、教育課程に関する教育活動支援、全般的な学校経営に関する、三つの視点で、月一回訪れて、その都度、意見交換なり、実態を把握し、必要な支援を行っているところでございます。
 成果についてでございますが、十九年二月に、都立学校長を対象といたしました、この業務に関するアンケート結果というのがございまして、この中で、学校の実態や課題を踏まえた的確な助言や支援を受けられたこと、教育課程の編成や授業改善、生活指導、人事異動など、さまざまな問い合わせや相談などにきめ細かく対応してもらえたこと、また、教員の服務事故や生徒の事件、事故などの緊急時にも適切に相談してもらえたことなど、学校支援業務に関し良好な評価を得ております。
 その中でも特に人事異動につきましては、きめ細かく聞き取りや意見交換を行っており、校長の人事構想が実現しやすくなり、質的にも向上したという高い評価をいただいております。


◯吉原委員 先ほど古館委員のほうからも、この経営支援センターの契約について幾つか質問があったように思いますけれども、今までは、都立学校、約二百六十校あるわけでありますけれども、どこの学校でも同じような契約をそれぞれで行っていたわけでありますけれども、今回のようなセンターに集約して、事務の軽減化あるいは効率化をしてきたわけでありまして、事務を校長の学校経営を支える経営企画型に機能強化したことは、昭和二十三年に新制高等学校になってから約六十年間続いてきたものを大きく転換するわけでありまして、全国でも初の取り組みだということでありますから、昨年四月の移行当初は、さまざまなご意見もあった中で、多少の混乱はあったんだろうとは思います。
 その都度、改善して、努力してきている、こういう答弁も先ほどあったわけでありますけれども、そこで、センターは、従来の学校契約をどのように改善してこられたのか。そして、成果についても伺います。


◯森口参事 学校経営支援センターにおきましては、過去の契約実績金額や市場調査などにより詳細な分析を行い、予定価格を落札可能な価格に精査するとともに、各学校の物品等を集約し一括発注によるスケールメリット、学校の立地を考慮した地域ブロックごとの分割発注による配送料の節減、新規加入業者の開拓による競争性の向上などの工夫、改善により、従来の学校契約に比べ落札率が平均一割から二割程度低下し、学校予算の節減、有効活用を図ることができました。


◯吉原委員 当初の、きめ細かい機動的な支援を行う、こういう目的はある程度達成されてきたのではないかなというふうに私自身は理解をしているわけでありますけれども、しかしながら、まだ一年半しかたっていないわけでありまして、まだまだ課題があるのではないかと思いますけれども、特に、これまで本庁各部でそれぞれ行っていた学校への支援を、身近な学校支援センターで総合的に行う、そういう観点から、その課題と対応について伺います。


◯森口参事 都教育委員会は、本庁業務の権限の一部を学校の身近な地域にある学校経営支援センターに移譲し、学校の実情に応じた効果的な支援を行うこととしています。しかし、本庁各部との間で権限や職務分担において整理されていないものもあり、課題解決に時間を要することもございました。このため、学校経営支援センターが迅速に支援できるよう、本庁及びセンター間での定期的な意思疎通を十分に図りつつ、今後とも可能な限り本庁から権限を移譲するとともに、本庁との役割分担や連携のもと、一層の学校支援に努めてまいります。


◯吉原委員 課題もあるようでありますけれども、校長がリーダーシップを発揮して、より自律的な学校経営ができるように、管理業務を含めて学校経営支援センターが支援を行っているということについては理解できるところであります。
 学校経営支援センターが、学校支援で独自の取り組みを行っている例もあるようであります。例えば、私の地元である町田市でも、町田市を管轄する西部学校経営支援センターでは、農業高校や工業高校も当然あるわけでありますけれども、生徒が生産したもの、あるいは、つくったものを販売するというようなフリーマーケットもあるわけでありまして、そういった活動発表会が行われているわけであります。ほかにも各学校のセンターで、独自の発想を持ったり、あるいは、アイデアを出し合ったりして、新たに行っているような支援のための事業というものがあるんだろうと思いますけれども、そういうものがありましたらお教えいただきたいと思います。


◯森口参事 学校経営支援センターで実施している独自の事業といたしましては、今お話のありましたフリーマーケットや教育活動発表会のほか、学校の特色ある活動や取り組みを情報発信するセンター便りの発行、専門家によるマネジメントやPR活動に関する講演会、主幹などの中堅教員を対象とした実務能力の向上を図る連絡会や研修会などを実施しております。
 これらの事業につきましては、学校経営支援センターが学校訪問を通じて得た情報や学校からの要望をもとに、学校経営や教育活動支援のため、新たに企画し、実施したものでございます。また、実施に当たっては、センターが中心となり、学校と十分連絡をとりながら、相互に協力しながら、毎回工夫を重ねているところでございます。


◯吉原委員 この経営支援センターが発足するまでは、本庁が学校現場に足を運んで要望や相談を受ける機会、これは人員的な人数の関係もあったと思いますけれども、余りなかったのではないかというふうに思っているところでありましたけれども、このセンターが開設されて以来、現場の声をよく聞いていただいて、そしてまた、具体的な支援のための事業を短期間で行ってきたのではないかな、そういう意味では評価をしているところでもございます。
 今までさまざまなご答弁をいただきました。このお話の中で、同センターが今まで、当時もそうでありますけれども、今も若干そういうふうに思われている方々もいらっしゃるのではないかなと思いますが、学校に対する管理強化やあるいは統制を行う監視センター、あるいは管理センターではない、こういうことはいえるのではないかなというふうに思っているところでもございます。
 しかし、学校経営支援センター発足後一年半ということでありますから、先ほどのように、まだまだ課題はあるようであります。日々改善に努めていただいて、都民から信頼される自律的な学校経営をしっかりつくっていっていただきたいと思いますし、常に生徒や保護者の目線で積極的に学校への支援を行っていただきたいというふうに思います。これからも努力されるよう、期待もしているところでもございます。
 また、学校も、校内ですべて解決する、こういうことはなかなか難しいわけでありますから、今回のようなセンターに集まる最新情報や、蓄積されているノウハウというものを積極的に活用していただいて、さまざまな課題をできるだけ早く解決できるように、教育上の質的な向上にも努めていただきたいと思います。
 最後に、学校と学校支援センターとが、ともにいい連携を組んでいただいて、都立学校の改革を推進していっていただきたいと思いますし、そのことが東京における教育が一層充実発展することにつながっていくんだろうと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 以上で終わります。

2007年10月24日水曜日

【委員会】平成18年10月24日 平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会

2007.10.24 : 平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会


◯吉原委員 それでは、生活文化局の平成十八年度予算は約一千四百九十億円であったと思います。そのうちに、私学に関する予算は約一千二百七十三億円と、局の約八五%を占めておりました。そして、その予算執行率は九八・九%、高い執行ができたのではないかというふうに感じております。
 局としても、当初の計画に基づいて、私学の向上、発展に尽力をされたことについては、大変評価しているところでもあります。
 しかしながら、個々の課題はまだまだあるわけでございまして、きょうは、その一つでもあります私立学校の校舎の耐震化について若干お尋ねをしたいと思います。
 ことしの七月にも中越沖で大規模な地震がありました。これまでも繰り返されてきていることでありますけれども、日本の国土は地震に対する備えが不可欠であることを改めて強く認識させられたところでもあります。
 たとえ地震が起きた場合でも、被害を最小に食いとめるためには、学校の校舎が十分な耐震性を持つことがしっかりと担保されていなければならないというふうに思います。そして、このことは、公立であっても、あるいは私立であっても、変わるものではないわけでございますので、これまでにも都は、耐震化補助を平成十五年から実施していますけれども、十八年までの約四年間、トータルでどのぐらいの補助を実施して、その間、私立学校の耐震化率はどの程度上昇したのか、伺います。


◯小濱私学部長 平成十五年度から平成十八年までの耐震化に係る補助は、私立学校安全対策促進事業費補助事業として行っておりまして、延べ百六十六校に対しまして、約二十二億七千二百万円を補助したところでございます。
 また、耐震化率の推移でございますけれども、平成十四年度末の耐震化率は、幼稚園四八・一%、小学校六二・九%、中学校六三・六%、高等学校五五・三%で、全体で五二・九%でしたが、平成十九年四月一日の時点では、お手元資料の8、私立学校の耐震化の状況に記載してございますように、幼稚園五九・二%、小学校七六・八%、中学校八二・三%、高等学校七〇・六%で、全体で六六・五%と、一〇ポイント以上上昇しております。


◯吉原委員 耐震化率が着実に上昇している、このことは、相応の補助制度を東京都が手当てしてきた、そのことによって耐震化推進に対する強い姿勢を示したことだというふうに思いますし、これにこたえて、かなりの私立学校が耐震補強工事を実施してきたことが貢献していることだろうなというふうに思います。
 ただ、いただいた資料によりますと、幼稚園の耐震化率が、小中高に比べて大変低いんではないかなと思うわけでありますけれども、具体的にはどのような幼稚園で耐震化率が低いのか、またその理由はどんなものなのか、お尋ねいたします。


◯小濱私学部長 私立幼稚園では、小中高に比べて木造の建物が多く、それらの耐震化がおくれております。また、幼稚園の中でも、学校法人以外の個人等が設置している幼稚園が、耐震化が低い状況にございます。
 私どもといたしましては、これらの園の耐震化が低い主な原因につきまして、耐震化のために一時的に多額の資金を用意することが困難であること、また、耐震化を検討するための時間や法規的、技術的な知識を十分に持つことができないことが原因と認識しております。


◯吉原委員 耐震化の進まない幼稚園においては、資金面の問題が大きい、そして技術的な知識が不足している、そういうことのようであります。そういうふうに思うわけでありますけれども、それでは、それらの私立幼稚園の耐震化を進めるために、東京都としてはどのような対策を講じてきたのか、伺います。


◯小濱私学部長 個人立の幼稚園につきましては、個人財産である建物への補助に当たりますため、従来は学校法人立のみを補助対象としておりましたが、平成十九年度からは、個人立等の幼稚園も補助対象としたところでございます。
 また、東京都私学財団におきまして、平成十九年度から一級建築士による建築相談事業を開始いたしまして、耐震診断、耐震改修等に関する専門的な情報、知識の提供を実施しているところでございます。既に幾つかの園から相談を受けておるところでございます。


◯吉原委員 十八年度の決算でありますけれども、十九年度には、そうした空白になった部分について少し努力されて、前向きに、積極的になってきた、こんなことを感じられるわけであります。
 ところで、平成十八年度の私立学校安全対策促進補助の決算を見ると、当初予算七億円に対しまして、執行額が約五億五千百万円となっています。もう少し補助金を利用してもらう余地があったように思いますけれども、この補助制度を知らないために耐震化の検討がおくれてしまっている学校があったら、それはまた残念なことでありますので、学校側への周知は十分に行われてきたのかどうなのか、伺います。


◯小濱私学部長 全学校が参加する経常費補助の説明会におきまして、耐震化補助についての説明会を実施したところでございます。また、東京都私学財団において、学校関係者や建築の専門家から成る耐震化促進検討会を設置いたしまして、さまざまな検討を行い、校舎の耐震化について必要な情報をわかりやすくまとめたリーフレットを作成いたしまして、都内の私立学校に配布するなど、意識啓発、情報提供を実施しております。


◯吉原委員 全学校に対して、耐震化補助についての説明あるいはリーフレットをつくって配布する、そうしたさまざまな機会をとらえて意識啓発や情報提供をされてきた、こういうことでございますから、多分、周知はしっかりと都としてはしてきたんだろうなというふうに思います。しかしながら、そうした努力をされてもなお、この補助制度を利用されることなく耐震化を実施できない学校があるとすると、その理由は何なんでしょうか。


◯小濱私学部長 ただいまの質問に対するお答えでございますけれども、今年度、耐震化を進める上での問題点などを把握するため、全私立学校を対象に耐震化の実態調査を行いました。その中で、耐震化の取り組みを実施していない学校にその理由を尋ねましたところ、耐震化を実施するための資金が不足していること、また、耐震化のためには学校としては建てかえが望ましいが、建てかえが補助対象になっていないことを理由にする回答が多くございました。


◯吉原委員 先ほど確認しましたけれども、現時点での私立学校の耐震化率は全体で六六・五%にとまっている。また、さきに発表された東京都耐震改修促進計画では、私立学校、病院、百貨店等の民間特定建築物の耐震化率を、平成二十七年度までに九〇%まで向上させることを目標としております。
 しかし、当然のことながら、子どもの安全・安心のためには、最終的には学校校舎の耐震化率を一〇〇%にしなければならないというふうに思うわけでありますけれども、東京都としては、当面、どの程度まで耐震化率を向上させるおつもりなのか、お尋ねいたします。


◯小濱私学部長 委員おっしゃるとおり、東京都耐震改修促進計画では、私立学校を含む民間特定建築物の耐震化率を、平成二十七年度までに九〇%まで向上させることを目標としております。また、「十年後の東京」におきましては、特に小中学校につきまして、平成二十七年度一〇〇%耐震化を目標としたところでございます。
 しかしながら、委員ご指摘のとおり、私ども私立学校を所管する私学部といたしましては、幼稚園、高等学校なども含めまして、最終的には耐震化率は一〇〇%が望ましいと考えております。


◯吉原委員 耐震化率をさらに向上させるためには、耐震化を実施できないでいる学校の理由をしっかりと把握して、有効な対策を実施することが大切だというふうに思います。
 これまでのお尋ねで、幾つかの課題が見えてきたように思いますけれども、一つには、私立学校全般では、補助を行っているにもかかわらず、依然として資金不足が理由に挙げられている。また二つ目には、幼稚園についていえば、木造の建築物が補助対象となっていないことによって耐震化が進んでいないことが挙げられているというふうに思うわけであります。
 そういった問題の解決には、国がやらなければ、都がしっかりと独自にやっていく、そういう姿勢も大切だと思いますし、都がしっかりやっていくという意味では、補助率の改善もすることが、今後、必要だろうというふうにも思いますし、幼稚園はまだまだ木造の建物が多い、こういうふうなお話も先ほどございました。木造の建物も補助対象とすることが大切ではないかというふうに思います。
 校舎の耐震化は子どもたちの生命にかかわる重要なことですので、補助制度、そしてまた学校が必要とする支援をさらに充実させていただきたいと思いますけれども、最後に局長の見解を伺って、質問を終わります。




2007年10月19日金曜日

【委員会】平成18年10月19日 平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会

2007.10.19 : 平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会


◯吉原委員 それでは、質問をさせていただきたいと思いますけれども、平成十八年度の福祉保健局の予算現額は約七千二百四十三億円、大変多額を扱ってこられただけに、都民の健康と福祉を守る、そして向上させていく、その責任と役割は大変大きなものがあったと思います。
 我々自由民主党としても、平成十八年度の予算に賛成をしっかりいたしましたし、確実に都民のニーズにおこたえできるように局に働きかけてきたところであります。この場では、都民に直接かかわる事業、そして施策の中から、特に子育て支援と高齢者対策についてお伺いさせていただきたいと思います。
 今や私たちの社会では、平成十七年に人口減少の局面を迎えた、まさに人口減少社会が現実のものとなっているところでもあります。東京の活力が果たして今後も維持、そしてさらに発展し続けていくことができるのかどうなのか、大変大きな課題だとは思います。
 これまでの東京の発展に汗して支えてこられた高齢者の方々に、安心して引き続き過ごせる環境をつくっていかなければなりませんし、また、若い世代の皆さんが自分たちの子どもたちを健やかに育てられる環境を地域社会全体で整えていくことが大切であることはいうまでもありません。
 そこで、まず初めに子育て支援についてですが、都はこれまで、増大する大都市特有の多様な保育のニーズに対して、独自の認証保育制度を初めとするさまざまな保育サービスの拡充に努めてこられたと思います。
 私は、保育施設を実効性あるものとするためには、区市町村みずからが、国が定めた一律のサービスを提供するだけではなくて、地域の社会資源の状況や住民の保育ニーズを細かく把握した上で、さまざまな工夫を重ねていくことが重要であると思っております。そうした区市町村の取り組みに対して都が積極的に支援していくという強い姿勢もあわせて必要だと思います。その意味では、都が昨年度、子育て推進交付金を創設したことについて高く評価するものではあります。
 そこでまず、基本的なことで恐縮ですが、確認として、子育て推進交付金の創設の意義についてお伺いいたします。


◯吉岡少子社会対策部長 子育て推進交付金の創設の意義についてのお尋ねでございますが、平成十七年度までの子育て支援に関する都の補助制度は、対象や補助金の使途などの補助要件を細かく規定し、また、市町村が一律に事業を実施する仕組みであったため、地域のニーズに応じて必要な施策展開を行うなどの裁量の余地が少ないものでございました。
 平成十八年度に創設いたしました子育て推進交付金は、子育て支援の主体である市町村が地域の実情に応じて創意工夫により施策を展開できるよう、これまでの都加算補助制度等を再構築して交付金を創設し、すべての子どもと家庭を対象とした支援施策の充実を図るものでございます。


◯吉原委員 子育て推進交付金制度によりまして、市町村が従来の補助制度に縛られることがなくなった、そして柔軟な施策展開が行えるようになったということは大変すばらしいことだと思います。
 一方で、今回の交付金化の目的でもある、市町村の工夫によって独自の取り組みを誘導する、そして都民の福祉サービスを全体としてさらに向上させていくということも重要だと思います。子育て推進交付金にはそうした仕組みを含んでいると思いますが、どのようなものなのか、そして、あわせて期待される効果もお伺いいたします。


◯吉岡少子社会対策部長 子育て推進交付金には、児童人口等を基礎として算出する基本分と、政策誘導項目として設定した子育て支援施策の実施状況に応じてポイントを付与し、市町村の総ポイントで案分する政策誘導分、保育所入所児童数の増などに応じて算出する規模増分がございます。
 政策誘導項目に掲げる事業は、先駆型子ども家庭支援センター事業を初め、延長保育、病児・病後児保育、学童クラブなど、次世代育成支援東京都行動計画に目標を掲げている事業を中心に、子育て支援施策を幅広く選定しております。
 政策誘導分を設けた趣旨は、都が重点的に進めていきたい事業の市町村の取り組みを促進し、都民ニーズに的確に対応することにございます。
 平成十八年度には、先駆型子ども家庭支援センターが六市町、要保護児童対策地域協議会が十四市町で新たに設置されたほか、延長保育の実施が進むなど、政策誘導項目に掲げる事業が着実に進んでいることから、その効果が十分に上がっているというふうに認識しております。


◯吉原委員 頑張っているところも、そうでもないところも一律配分ということではない、子育て支援全般に力を注いでいるところは交付金が厚く配分される仕組みが組まれているということですから、この子育て推進交付金によって、地域の実情に応じた施策がさらに展開できるように、引き続き都の積極的な支援をお願いしたいと思います。
 同時に、市町村にも、交付金の趣旨に沿って積極的に事業展開を図るように、さらなる働きかけをお願いしたいと思います。
 これまでもさまざまな工夫を重ねて、子育てを支援するサービスの拡充に東京都は努めてきたわけでありますけれども、一方で、現実問題として、都内の保育所の待機児童数は依然として五千人前後ということでございますから、さらなる取り組みも必要であろうかと思います。
 そこで、この子育て交付金の有効活用を含めて、今後どのように総合的な子育て支援対策を展開していくのか、見解を伺います。


◯吉岡少子社会対策部長 今後の子育て支援策についてでございますが、ご指摘の子育て推進交付金を初め、子育て支援基盤整備包括補助などを活用しながら、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境を整備するため、それぞれの地域の実情に応じて区市町村が実施する子育て支援の取り組みを、都として幅広く支援してまいります。
 さらに、喫緊の課題でございます保育所の待機児童解消につきましては、区市の保育担当課長連絡会を開催するなど、都と区市の共通理解のもと、保育の実施主体である区市の主体的な取り組みが促進されるよう取り組んでまいります。


◯吉原委員 安心して子どもを産む環境、そしてまた育てられる環境の充実は、少子化対策にもつながるわけでございますので、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 続いて、高齢者対策について伺います。
 「十年後の東京」では、東京の高齢化は、これまでに他の都市が経験したことのないスピードで進むだけでなくて、七十五歳以上の後期高齢者といわれる急増が特徴となるとされています。十年間で高齢者人口は二百三十万人から三百十三万人へと八十三万人増加するのですが、その増加数の六割を超える五十一万人が後期高齢者であるということであります。
 今、私が住んでいる町田市でも、人口は大体、約四十一万人ですから、それを十万人も上回る数、後期高齢者が今後十年間で増加する。こういうことですから、今さらながらにこれは大変なことだなというふうに思ってはおりますけれども、もちろん高齢者といっても、自分の健康法をしっかりと身につけて元気に過ごしている方も多いわけでありますから、一概に高齢者がふえるからいきなり困難な問題になる、こういうことではないと思います。
 しかし、現在、都内に二十三万人いらっしゃると推計されているわけでありますので、今後さらに増加すると予想される認知症高齢者の方々の介護をどういうふうに確保していくのか。ということは、家族にとっても当然でありますけれども、大変大きな問題であるし、切実な問題であろうかと思います。
 東京都も、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の整備に取り組んでまいったわけでありますけれども、今回の決算説明書を見る限り、施設整備助成費のうちの地域密着型サービス等の整備の執行率が極めて低いように思われます。
 そこで、まず、改めて伺いますけれども、この地域密着型サービスはどういうものなのか、そして、都としてこのサービスの意義をどう考えているのか伺います。


◯狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスは、昨年の介護保険法の改正により創設されたサービスであり、地域の特性に応じた柔軟かつ多様なサービスを提供する仕組みでございます。その整備につきましては、区市町村がみずから策定する整備計画に基づき、国交付金の交付を受けて進めております。
 例えば、この地域密着型サービスの一つである小規模多機能居宅介護は、身近な地域で、通いを中心に、ニーズに応じて訪問介護や宿泊サービスを組み合わせたサービスを提供するもので、平成十九年十月一日現在、都内に二十四カ所整備されてございます。同一のスタッフが一体的、継続的にサービスを提供することにより、認知症高齢者を初めとする高齢者だけでなく、在宅介護を行う家族の安心感にもつながるものであり、今後積極的に普及させていくべきものであると考えております。


◯吉原委員 大変前向きなサービスだと思うわけでありますけれども、その整備費の執行状況だけ見ると、必ずしも順調とはいえないのではないかと思われます。執行率の低い理由はどのようなところにあるのか、お尋ねいたします。


◯狩野高齢社会対策部長 近年の景気回復によりまして、地価が上昇し、こうした事業の用地確保が困難になりつつあること、また、この小規模多機能居宅介護につきましては、利用者定員に一定の上限がある大変小規模な事業であるため、経営の安定性が確保しにくく、事業者が参入しにくい状況であることがその原因として考えられます。
 これに加えまして、この地域密着型サービスは、平成十八年度から創設されたサービスであるため、国の交付金事務スケジュールが大幅におくれたことと、それに伴いまして区市町村の取り組みの開始時期もおくれたことなどによるものでございます。


◯吉原委員 確かに小規模であるがゆえにスケールメリットが働きにくい。そしてまた、さらには都内の地価が高いわけでありますので、そういった意味では都内においては事業参入をしにくい要素があるとは思います。そしてまた、特に昨年は初年度で国の取り組みがおくれたということも、やむを得ないことなのかなというふうに感じております。
 しかし、実現されれば、時々泊まりサービスを利用することで、遠くの特養に入らなくても、家族と一緒に住みなれた地域で住み続けられることなども可能にするサービスなんだろうと思います。その整備が大いに期待されるわけでありますけれども、今後、整備促進のためにどのように取り組んでいくのか伺います。


◯狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスの整備についてでございますが、東京都では、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活が継続できるよう、この地域密着型サービスのうち、小規模多機能居宅介護、小規模特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームについて、十八年度から三カ年にわたり都独自の重点補助を実施しております。
 また、ご指摘のスケールメリットによる経営の安定性も視野に入れ、十九年度予算においては新たに小規模多機能居宅介護事業所の整備に当たり、グループホームを併設した場合に加算を行うなど、整備促進に努めているところでございます。
 加えて、区市町村が柔軟に整備を進められるよう、整備計画変更を初めとする国交付金手続の弾力化について国に申し入れを行いました。


◯吉原委員 このサービスの整備については、区市町村が主体的に行うべきものでありますけれども、区市町村が地域の実情に応じて積極的に事業展開できるように、今後とも都として支援策の拡充に取り組まれるように強く要望をいたしておきたいと思います。
 一方、認知症の約半分を占めるといわれているアルツハイマー病の問題は、深刻さを増しているという状況にあると思います。現在、世界規模で治療薬の開発競争が繰り広げられているわけでありますけれども、臨床試験で一部の患者に重い副作用が発生して、治験が途中で中止になった例もあるというようなこともお聞きしております。
 監理団体である医学研究機構においても、長年にわたってさまざまな分野の医学研究を行っているところですけれども、このアルツハイマー病の治療薬の開発についてどのように取り組んでいるのか。これまでの具体的な取り組みと、その成果についてお尋ねいたします。


◯蒲谷参事 アルツハイマー病は、脳内にベータアミロイドというたんぱく質が蓄積して、脳神経細胞を破壊されて発症するものでございます。この蓄積を阻止することが効果的な治療法につながると考えられており、欧米諸国を中心に開発競争が行われております。
 東京都神経科学総合研究所では、ベータアミロイドを除去する免疫機能を活性化するDNAワクチンの開発を行っており、マウスを使った実験では、その有効性と安全性が確認されているところでございます。


◯吉原委員 アルツハイマー病に悩んでいる都民も、また、その家族の方々も東京にはたくさんいらっしゃるわけでありますから、一日も早い安全な治療薬の開発が望まれているわけであります。
 今後の展望についてはいかがでしょうか。


◯蒲谷参事 DNAワクチンの感染症に対する安全性は、欧米での臨床試験で確認されており、アルツハイマー病の治療薬としても副作用が少ないことが期待されております。
 本年度からは、猿を用いたワクチンの投与実験により、臨床試験に進むために必要なデータの収集を開始しているところでございます。猿での効果と安全性が確認できれば、医療機関や製薬会社の協力を得た上で、人への臨床試験を予定しております。


◯吉原委員 神経研における研究の成果が、新たな治療薬という具体的な形で還元されることを強く期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に、十八年度の本局の予算につきましては、あるいは決算については、施策に十分反映しているものも多々あったと思います。しかしながら、若干かもしれませんけれども、まだまだ不十分な点も見受けられるわけでございまして、十九年度の予算も今、実行されているところだと思いますけれども、ぜひ今年度については執行率を一〇〇%を目指して、都民の福祉の向上にしっかりと貢献できるように、さらなる努力をお願いいたしまして、質問を終わります。