2007年10月19日金曜日

【委員会】平成18年10月19日 平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会

2007.10.19 : 平成18年度各会計決算特別委員会第2分科会


◯吉原委員 それでは、質問をさせていただきたいと思いますけれども、平成十八年度の福祉保健局の予算現額は約七千二百四十三億円、大変多額を扱ってこられただけに、都民の健康と福祉を守る、そして向上させていく、その責任と役割は大変大きなものがあったと思います。
 我々自由民主党としても、平成十八年度の予算に賛成をしっかりいたしましたし、確実に都民のニーズにおこたえできるように局に働きかけてきたところであります。この場では、都民に直接かかわる事業、そして施策の中から、特に子育て支援と高齢者対策についてお伺いさせていただきたいと思います。
 今や私たちの社会では、平成十七年に人口減少の局面を迎えた、まさに人口減少社会が現実のものとなっているところでもあります。東京の活力が果たして今後も維持、そしてさらに発展し続けていくことができるのかどうなのか、大変大きな課題だとは思います。
 これまでの東京の発展に汗して支えてこられた高齢者の方々に、安心して引き続き過ごせる環境をつくっていかなければなりませんし、また、若い世代の皆さんが自分たちの子どもたちを健やかに育てられる環境を地域社会全体で整えていくことが大切であることはいうまでもありません。
 そこで、まず初めに子育て支援についてですが、都はこれまで、増大する大都市特有の多様な保育のニーズに対して、独自の認証保育制度を初めとするさまざまな保育サービスの拡充に努めてこられたと思います。
 私は、保育施設を実効性あるものとするためには、区市町村みずからが、国が定めた一律のサービスを提供するだけではなくて、地域の社会資源の状況や住民の保育ニーズを細かく把握した上で、さまざまな工夫を重ねていくことが重要であると思っております。そうした区市町村の取り組みに対して都が積極的に支援していくという強い姿勢もあわせて必要だと思います。その意味では、都が昨年度、子育て推進交付金を創設したことについて高く評価するものではあります。
 そこでまず、基本的なことで恐縮ですが、確認として、子育て推進交付金の創設の意義についてお伺いいたします。


◯吉岡少子社会対策部長 子育て推進交付金の創設の意義についてのお尋ねでございますが、平成十七年度までの子育て支援に関する都の補助制度は、対象や補助金の使途などの補助要件を細かく規定し、また、市町村が一律に事業を実施する仕組みであったため、地域のニーズに応じて必要な施策展開を行うなどの裁量の余地が少ないものでございました。
 平成十八年度に創設いたしました子育て推進交付金は、子育て支援の主体である市町村が地域の実情に応じて創意工夫により施策を展開できるよう、これまでの都加算補助制度等を再構築して交付金を創設し、すべての子どもと家庭を対象とした支援施策の充実を図るものでございます。


◯吉原委員 子育て推進交付金制度によりまして、市町村が従来の補助制度に縛られることがなくなった、そして柔軟な施策展開が行えるようになったということは大変すばらしいことだと思います。
 一方で、今回の交付金化の目的でもある、市町村の工夫によって独自の取り組みを誘導する、そして都民の福祉サービスを全体としてさらに向上させていくということも重要だと思います。子育て推進交付金にはそうした仕組みを含んでいると思いますが、どのようなものなのか、そして、あわせて期待される効果もお伺いいたします。


◯吉岡少子社会対策部長 子育て推進交付金には、児童人口等を基礎として算出する基本分と、政策誘導項目として設定した子育て支援施策の実施状況に応じてポイントを付与し、市町村の総ポイントで案分する政策誘導分、保育所入所児童数の増などに応じて算出する規模増分がございます。
 政策誘導項目に掲げる事業は、先駆型子ども家庭支援センター事業を初め、延長保育、病児・病後児保育、学童クラブなど、次世代育成支援東京都行動計画に目標を掲げている事業を中心に、子育て支援施策を幅広く選定しております。
 政策誘導分を設けた趣旨は、都が重点的に進めていきたい事業の市町村の取り組みを促進し、都民ニーズに的確に対応することにございます。
 平成十八年度には、先駆型子ども家庭支援センターが六市町、要保護児童対策地域協議会が十四市町で新たに設置されたほか、延長保育の実施が進むなど、政策誘導項目に掲げる事業が着実に進んでいることから、その効果が十分に上がっているというふうに認識しております。


◯吉原委員 頑張っているところも、そうでもないところも一律配分ということではない、子育て支援全般に力を注いでいるところは交付金が厚く配分される仕組みが組まれているということですから、この子育て推進交付金によって、地域の実情に応じた施策がさらに展開できるように、引き続き都の積極的な支援をお願いしたいと思います。
 同時に、市町村にも、交付金の趣旨に沿って積極的に事業展開を図るように、さらなる働きかけをお願いしたいと思います。
 これまでもさまざまな工夫を重ねて、子育てを支援するサービスの拡充に東京都は努めてきたわけでありますけれども、一方で、現実問題として、都内の保育所の待機児童数は依然として五千人前後ということでございますから、さらなる取り組みも必要であろうかと思います。
 そこで、この子育て交付金の有効活用を含めて、今後どのように総合的な子育て支援対策を展開していくのか、見解を伺います。


◯吉岡少子社会対策部長 今後の子育て支援策についてでございますが、ご指摘の子育て推進交付金を初め、子育て支援基盤整備包括補助などを活用しながら、次代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境を整備するため、それぞれの地域の実情に応じて区市町村が実施する子育て支援の取り組みを、都として幅広く支援してまいります。
 さらに、喫緊の課題でございます保育所の待機児童解消につきましては、区市の保育担当課長連絡会を開催するなど、都と区市の共通理解のもと、保育の実施主体である区市の主体的な取り組みが促進されるよう取り組んでまいります。


◯吉原委員 安心して子どもを産む環境、そしてまた育てられる環境の充実は、少子化対策にもつながるわけでございますので、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 続いて、高齢者対策について伺います。
 「十年後の東京」では、東京の高齢化は、これまでに他の都市が経験したことのないスピードで進むだけでなくて、七十五歳以上の後期高齢者といわれる急増が特徴となるとされています。十年間で高齢者人口は二百三十万人から三百十三万人へと八十三万人増加するのですが、その増加数の六割を超える五十一万人が後期高齢者であるということであります。
 今、私が住んでいる町田市でも、人口は大体、約四十一万人ですから、それを十万人も上回る数、後期高齢者が今後十年間で増加する。こういうことですから、今さらながらにこれは大変なことだなというふうに思ってはおりますけれども、もちろん高齢者といっても、自分の健康法をしっかりと身につけて元気に過ごしている方も多いわけでありますから、一概に高齢者がふえるからいきなり困難な問題になる、こういうことではないと思います。
 しかし、現在、都内に二十三万人いらっしゃると推計されているわけでありますので、今後さらに増加すると予想される認知症高齢者の方々の介護をどういうふうに確保していくのか。ということは、家族にとっても当然でありますけれども、大変大きな問題であるし、切実な問題であろうかと思います。
 東京都も、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の整備に取り組んでまいったわけでありますけれども、今回の決算説明書を見る限り、施設整備助成費のうちの地域密着型サービス等の整備の執行率が極めて低いように思われます。
 そこで、まず、改めて伺いますけれども、この地域密着型サービスはどういうものなのか、そして、都としてこのサービスの意義をどう考えているのか伺います。


◯狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスは、昨年の介護保険法の改正により創設されたサービスであり、地域の特性に応じた柔軟かつ多様なサービスを提供する仕組みでございます。その整備につきましては、区市町村がみずから策定する整備計画に基づき、国交付金の交付を受けて進めております。
 例えば、この地域密着型サービスの一つである小規模多機能居宅介護は、身近な地域で、通いを中心に、ニーズに応じて訪問介護や宿泊サービスを組み合わせたサービスを提供するもので、平成十九年十月一日現在、都内に二十四カ所整備されてございます。同一のスタッフが一体的、継続的にサービスを提供することにより、認知症高齢者を初めとする高齢者だけでなく、在宅介護を行う家族の安心感にもつながるものであり、今後積極的に普及させていくべきものであると考えております。


◯吉原委員 大変前向きなサービスだと思うわけでありますけれども、その整備費の執行状況だけ見ると、必ずしも順調とはいえないのではないかと思われます。執行率の低い理由はどのようなところにあるのか、お尋ねいたします。


◯狩野高齢社会対策部長 近年の景気回復によりまして、地価が上昇し、こうした事業の用地確保が困難になりつつあること、また、この小規模多機能居宅介護につきましては、利用者定員に一定の上限がある大変小規模な事業であるため、経営の安定性が確保しにくく、事業者が参入しにくい状況であることがその原因として考えられます。
 これに加えまして、この地域密着型サービスは、平成十八年度から創設されたサービスであるため、国の交付金事務スケジュールが大幅におくれたことと、それに伴いまして区市町村の取り組みの開始時期もおくれたことなどによるものでございます。


◯吉原委員 確かに小規模であるがゆえにスケールメリットが働きにくい。そしてまた、さらには都内の地価が高いわけでありますので、そういった意味では都内においては事業参入をしにくい要素があるとは思います。そしてまた、特に昨年は初年度で国の取り組みがおくれたということも、やむを得ないことなのかなというふうに感じております。
 しかし、実現されれば、時々泊まりサービスを利用することで、遠くの特養に入らなくても、家族と一緒に住みなれた地域で住み続けられることなども可能にするサービスなんだろうと思います。その整備が大いに期待されるわけでありますけれども、今後、整備促進のためにどのように取り組んでいくのか伺います。


◯狩野高齢社会対策部長 地域密着型サービスの整備についてでございますが、東京都では、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活が継続できるよう、この地域密着型サービスのうち、小規模多機能居宅介護、小規模特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームについて、十八年度から三カ年にわたり都独自の重点補助を実施しております。
 また、ご指摘のスケールメリットによる経営の安定性も視野に入れ、十九年度予算においては新たに小規模多機能居宅介護事業所の整備に当たり、グループホームを併設した場合に加算を行うなど、整備促進に努めているところでございます。
 加えて、区市町村が柔軟に整備を進められるよう、整備計画変更を初めとする国交付金手続の弾力化について国に申し入れを行いました。


◯吉原委員 このサービスの整備については、区市町村が主体的に行うべきものでありますけれども、区市町村が地域の実情に応じて積極的に事業展開できるように、今後とも都として支援策の拡充に取り組まれるように強く要望をいたしておきたいと思います。
 一方、認知症の約半分を占めるといわれているアルツハイマー病の問題は、深刻さを増しているという状況にあると思います。現在、世界規模で治療薬の開発競争が繰り広げられているわけでありますけれども、臨床試験で一部の患者に重い副作用が発生して、治験が途中で中止になった例もあるというようなこともお聞きしております。
 監理団体である医学研究機構においても、長年にわたってさまざまな分野の医学研究を行っているところですけれども、このアルツハイマー病の治療薬の開発についてどのように取り組んでいるのか。これまでの具体的な取り組みと、その成果についてお尋ねいたします。


◯蒲谷参事 アルツハイマー病は、脳内にベータアミロイドというたんぱく質が蓄積して、脳神経細胞を破壊されて発症するものでございます。この蓄積を阻止することが効果的な治療法につながると考えられており、欧米諸国を中心に開発競争が行われております。
 東京都神経科学総合研究所では、ベータアミロイドを除去する免疫機能を活性化するDNAワクチンの開発を行っており、マウスを使った実験では、その有効性と安全性が確認されているところでございます。


◯吉原委員 アルツハイマー病に悩んでいる都民も、また、その家族の方々も東京にはたくさんいらっしゃるわけでありますから、一日も早い安全な治療薬の開発が望まれているわけであります。
 今後の展望についてはいかがでしょうか。


◯蒲谷参事 DNAワクチンの感染症に対する安全性は、欧米での臨床試験で確認されており、アルツハイマー病の治療薬としても副作用が少ないことが期待されております。
 本年度からは、猿を用いたワクチンの投与実験により、臨床試験に進むために必要なデータの収集を開始しているところでございます。猿での効果と安全性が確認できれば、医療機関や製薬会社の協力を得た上で、人への臨床試験を予定しております。


◯吉原委員 神経研における研究の成果が、新たな治療薬という具体的な形で還元されることを強く期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に、十八年度の本局の予算につきましては、あるいは決算については、施策に十分反映しているものも多々あったと思います。しかしながら、若干かもしれませんけれども、まだまだ不十分な点も見受けられるわけでございまして、十九年度の予算も今、実行されているところだと思いますけれども、ぜひ今年度については執行率を一〇〇%を目指して、都民の福祉の向上にしっかりと貢献できるように、さらなる努力をお願いいたしまして、質問を終わります。