2016年9月16日金曜日

オリンピックリオデジャネイロ大会視察報告

 「第31回夏季オリンピック競技大会」(2016リオデジャネイロ大会)は、オリンピックの歴史において初めてとなる南米大陸での開催となりました。日本時間の8月5日に開会式が行われ、8月21日(閉会式)までの17日間、世界最大のスポーツの祭典が熱く繰り広げられました。また、来る9月7日からは「第15回夏季パラリンピック競技大会」が9月18日までの12日間の日程で、同じくブラジルリオデジャネイロにおいて開催されます。

 更なる豊かな次代への投資として、4年後に迫った2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の成功に向けた議会活動の糧とするため、リオ大会を実際に調査・視察をすることは大変重要と考え、都議会自民党は自主的にリオ大会の開閉会式を含む期間中、9名の議員視察団の派遣を計画しました。

 その第1弾として、私を含む議員3名は、8月3日から9日までの日程で、オリンピック開会式等を視察して参りました。
 リオデジャネイロは、東京と12時間の時差があり、羽田からドイツを経由しリオデジャネイロまで、トランジットを含むと片道26~27時間を要しました。

 多民族国家のブラジルは、日本の約23倍、世界第5位という広大な国土を持ち、人口は約2億人、大会の開催地であるリオデジャネイロ市の人口は約648万人となっています。
 小高い山々には、へばり付くように形成されたファヴェーラと呼ばれる貧民街が広がり、そこにある住宅に水道が引かれている率は70%程度と現地ガイドから聞き、大変驚きました。
逆に平地には高層住宅が立ち並び、比較的に生活にゆとりのある市民が住んでいます。それでも平均月収は約4~5万円をいう説明を聞くと、まさに格差ある多民族国家と言われる所以を強く感じました。
高台にへばりつくようにある貧民街ファヴェーラ


 ブラジルへの出発前、テロ発生の危機、リオ市内の治安悪化、ジカ熱等の感染症など、オリンピック・パラリンピックを不安視する報道が日本のマスコミから多く流されていました。空港に到着すると、すぐさま目に飛び込んでくるのは警備のため自動小銃をもった多数の軍人の姿、それに加え、我々が借り上げたワゴン車は防弾ガラスが埋め込まれた防弾仕様の車両であったことに到着早々驚かされました。

自動小銃を持った多くの軍人が警備にあたっています


 空港同様、開会式当日、市内を走る聖火リレーのランナー
の前後には警備のための軍用車やバイクが列をなし、異様な感がありました。開会式の会場であるマラカナン競技場周辺の警備は特に厳重で、許可の無い車両は近づけないようになっていました。また、各競技会場の周辺警備、入場するゲートでの手荷物検査や金属探知機の導入など、人の集積する場所での警備体制は大変手厚いものでした。

X線や金属探知機で厳重に入場者のチェックをする



 ブラジル政府は、安全に疑問視という懸念を払しょくするため、8万5千人の警察・軍関係者を動員したという説明を後に聞きました。昨今の国際的なテロへの脅威、治安の悪化を考察すると東京大会開催時の警備体制の重要性について、改めて考えさせられました。

 バリアフリー化や暑さ対策についても考えなければいけない問題です。空港内のバリアフリー状況を見てみると、特に先進的なものを感じず、トイレに関しては障がいを持った方にとって決して使いやすいとは言い難い仕様でした。

東京都比べると広さや導線を含めて改善が必要と感じました

サインについては大変わかりやすいデザインです


 また、数多くの競技が開催されるオリンピック・パーク内の移動に関しても、その移動手段はほぼ徒歩に限られ、炎天下の中、日除けのほとんど無い広大なパーク内を移動することは、健常者にとっても厳しいものがありました。開催時期が真夏にあたる東京大会においては、障がい者にやさしい工夫が求められると感じました。

広大な敷地のオリンピックパーク


 リオ市内の主要会場を結ぶ道路網には、大会開催時の専用レーン、いわゆるオリ・パラレーンが設けられていました。大会期間中の選手や大会関係者の移動を確保するために設置されたもので、路面に直接「Rio2016」と描かれていました。このレーンを走行するためには、リオ組織委員会が発行する許可証(VAPPs)が必要になります。この専用レーンに許可証が無い一般車両が進入すると罰金が科される仕組みになっていますが、この罰金も当初は6万円と高額だったようですが、その金額の高さに非難が相次ぎ、急遽約3千円にプライスダウンを行ったという説明を受けました。

 リオ市内は通常でも恒常的に渋滞が激しいとのことですが、大会期間中はこの専用レーンを設けたことで、渋滞に更なる拍車がかかった様相です。東京においても、大会開催中の外国人来訪者が約1,000万人を超えるとの予測があり、大会関係者、観客、一般生活者の各導線、貨物車等の輸送の経路などを十分に検討し、影響を最小限に抑える取組が重要であると考えます。

 競技施設は、恒久施設、仮設施設双方とも学ぶべきことが多くありました。特に仮設施設については、単管パイプで組まれている施設もあり、尚且、むき出しになっているのが目視でわかるくらい簡素なものもありました。地震発生のリスクが少ないリオデジャネイロならではの取組で、大会期間中の短い期間であれば維持が出来るかもしれません。しかし、地震大国日本では、コストダウンと云えども安全性等建築基準にきちんと照らすことが重要です。

単管パイプで組まれた簡素なつくりの仮設施設。


 宿泊施設不足も大きな課題です。大会期間中、リオ市内においても宿泊施設が不足し、料金は通常の10倍以上に跳ね上がった場所もあったそうです。実際、我々が宿泊した施設も、日本でいうビジネスホテル並みの設備でしたが、その宿泊料金は大変高額なものとなっていました。
現在、東京大会開催時のホテル不足を見越し、様々な対策が検討されていますが、新たな宿泊施設を計画するに当たっては、さらなる規制緩和を進めるなどの取組が必要であると感じます。

 その他にも、日本の伝統文化・先進技術・食・観光等々の魅力を発信するリオ市での日本の拠点であるジャパンハウスや、各国の報道機関報道拠点のメインプレスセンター、日本選手のコンディション調整施設であるハイパフォーマンスサポートセンター、選手村、水泳・武道・ビーチバレー等各競技会場、等々調査視察してまいりました。
メディアセンター
ジャパンハウスでは日本文化等の紹介や東京についての展示があります


ハイパフォーマンスセンターでは、日本選手団が事前調整が出来るように
食事はもちろんのこと、様々なトレーニング施設があります



 4年後に迫った東京大会に向けて、解決しなければならない課題が数多く山積しております。今回リオ大会の視察で実際に見聞きした調査を踏まえ、大会終了後の施設の活用も含め2020年東京大会があらゆる面で「最高のオリンピック・パラリンピック大会」になるよう、全力で取り組んでまいります。

オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会 副委員長
東京都議会議員 吉原 修