重度難聴児教育の現状と「きこえの学校ライシャワー学園」への期待

重度難聴児教育の現状と課題

 近年、日本の聴覚障がい児教育は大きな変化を迎えています。医療技術の進歩により、人工内耳や補聴器の性能が大きく向上し、難聴を持つ子どもたちが一般の学校に通えるようになってきました。しかしながら、まだまだ聴覚障がいのある子どもたちには、専門的なサポートが必要です。特に幼少期には、適切な教育を受けることで、言葉の習得や社会との関わり方が大きく変わってきます。現在、インクルーシブ教育が進められていますが、手話を使う教育と、聴覚を活かす教育の間で選択肢が限られているという課題もあります。

 新学習指導要領では、自立活動が重視され、子どもたちが自分に合ったコミュニケーション手段を選択できるようになることが目指されています。しかし、これを実現するためには、やはり教師の専門性と支援体制の充実が不可欠です。国や自治体が連携し、専門研修の拡充や、支援員の配置、教材・ICT機器の整備を推進していくことが必要です。

 しかしながら現状、特に一般の公立学校では、聴覚に困難を抱える子どもたちへの支援がまだ十分ではなく、学習やコミュニケーションに苦労するケースも少なくありません。そのため、専門的な教育機関の役割はこれからも重要です。

「きこえの学校ライシャワー学園」への期待

 学校法人日本聾話学校が、2025年4月から「(きこえの学校)ライシャワー学園」として名称変更し新たなスタートをします。日本聾話学校は、100年以上の歴史を持つ日本聾話学校の教育を受け継ぎながら、さらに進化した教育を提供することを目指しています。

 この学校の大きな特徴は、手話ではなく「聴いて話す力」を育てることを重視している点です。補聴器や人工内耳を活用しながら、社会の中で自分の言葉でコミュニケーションができる力を育んでいきます。また、新しく「きこえサポートセンター」を設立し、地域の難聴児への支援を強化することも計画されています。放課後のサポートや、保育園・幼稚園への訪問支援など、家庭や地域と連携した取り組みが広がることが期待されます。

 さらに、2026年度には、補聴器や難聴外来の専門診療所も開設される予定です。これにより、在校生だけでなく、地域の高齢者を含む幅広い方々が、より専門的なサポートを受けられるようになるのではないでしょうか

 これからも、こうした動きを支えながら、すべての子どもたちが自分の力を伸ばし、社会の中で活躍できるよう、環境づくりを進めていきたいと考えています。
すべての子どもたちが安心して学び、成長できる街を目指して、しっかりと取り組んでいきます。

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