【委員会】平成21年3月25日 平成21年度予算特別委員会

2009.03.25 : 平成21年度予算特別委員会

◯吉原委員 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、本特別委員会に付託された議案中、第一号議案、平成二十一年度一般会計予算については原案に賛成、その他の知事提出議案については全議案賛成の立場から、また日本共産党から提出された予算の編成替えを求める動議に反対する立場から、討論を行います。
 知事は、本予算案を、日本経済が危機に直面する中にあって、短期、中長期的両面から、都政が今日なすべき役割を確実に果たすことによって、都民へ安心をもたらし、希望を指し示す予算と位置づけ、編成されました。
 本予算は、これまでの質疑から明らかになったとおり、厳しい経済環境にあっても我が党の要望を十分に踏まえ、都民の不安に対する迅速な対応や危機克服への新たな活力を生み出す先駆的取り組み、東京の将来をつくる中長期的取り組みなど、都政が取り組むべき課題への対応に重点的に財源を振り向けた積極的な予算となっており、都民の負託に十分こたえる内容であると考えます。
 それでは、本予算案の各分野の重要事項について申し上げます。
 初めに、財政基盤の強化について申し上げます。
 都税収入の大幅減少など都財政を取り巻く環境が厳しさを増している中、本予算案では、基金や起債余力など、これまでの間、培ってきた都財政の対応力を十分に活用し必要な財源をしっかりと確保しています。同時に、財政調整基金など、今後の財源として活用可能な基金については残高を極力維持するなど、今後の厳しい経済状況に対する備えについても、目配りをきかせています。
 このような不透明な時期だからこそ、日本の経済を牽引する東京において思い切った施策の展開が求められます。そして、それを支える都財政の基盤強化は、引き続き都政の最重要課題の一つであり、今後とも、さらなる努力を重ねていただきたいと思います。
 次に、都税収入について申し上げます。
 二十一年度の都税収入は六年ぶりに減少し、前年度に比べて七千五百二十億円減の四兆七千五百七十七億円を見込んでいます。厳しい経済環境のもと、基幹となる法人二税の伸びを期待するのは厳しい状況にありますが、都税確保に向けた取り組みを積み重ねるとともに、都財政に大きな影響を与えている法人事業税の暫定措置を直ちに撤廃させるべく、鋭意努力をするよう強く求めておきたいと思います。
 なお、環境減税や耐震化促進税制などの新たな政策減税は、施策促進や都民負担軽減を図る観点から我が党が強く求めていた事項であり、高く評価するものであります。
 次に、歳出について申し上げます。
 初めに、都民生活の安全・安心を確保する取り組みです。深刻な経済危機や社会全体を覆う閉塞感の中、都民は多くの不安を抱えています。こうした都民の不安に対し、今年度、都は二度にわたる補正予算を編成し、迅速な対応を行ってきました。
 本予算には、もう一段の積極的な取り組みとして、急速に悪化する雇用環境へのきめ細かい支援策や、救急医療体制の整備、新型インフルエンザ対策、大地震に備えるための耐震改修促進策など、都民生活の安全・安心を確保するための取り組みが十分なスケールを備え、盛り込まれております。中でも、急速に悪化する雇用環境については、今年度、二度にわたる補正予算を編成し、緊急雇用対策として、雇用を取り巻くさまざまな課題に先手を打って対応いたしました。
 本予算案には、雇用対策のさらなる充実を図るべく、区市町村と連携した雇用創出や非正規の正規雇用化などの施策が盛り込まれており、着実な実行を求めるものであります。
 次に、まちづくりについて申し上げます。
 道路などの都市基盤の拡充は都市の利便性を向上させるだけでなく、産業の活性化や国際競争力の向上にもつながるものです。
 本予算案には、区部環状、多摩南北方向の道路や首都高速道路の整備、東京湾の国際競争力の強化、鉄道連続立体交差化の推進など都市基盤の拡充につながる幅広い施策が盛り込まれています。その結果、投資的経費は前年度に比べて六・二%増の七千七百七十一億円と、五年連続の増加となっています。こうした都市インフラの拡充は、素直に現実を見れば、産業力強化や国際競争力の向上はもとより、都市環境の改善や防災機能の向上にもつながり、景気対策としても有効に機能していることがわかるはずであります。
 しかるに、日本共産党は、相変わらずハード整備を悪者扱いするキャンペーンを行っています。我が党は、このような偏った主張を続ける日本共産党の姿勢を厳しく批判するものであります。
 次に、福祉、医療について申し上げます。
 福祉や医療のサービスを安定的に提供するためには、それに携わる質の高い人材を確保し、育成することが重要になります。また、所得格差の拡大が社会問題化する中で、意欲を持ちながら困窮から抜け出せない方々への支援など、セーフティーネットの整備の重要性は、これまで以上に高まっています。
 本予算案には、医療人材や介護人材の確保に向けた取り組みの強化や、意欲ある低所得者の方々への支援、高齢者が地域で安心した暮らしを送るための体制整備、待機児童解消に向けた取り組みなど、あらゆる世代が必要とする福祉施策が盛り込まれています。
 また、我が党の強い要望を踏まえ、中学三年生までの医療費助成の事業拡大に係る経費についても計上されました。都民が安心して子どもを産み育て、自立した生活を送れるよう、東京の特性を踏まえた福祉と医療のさらなる充実を要望いたします。
 次に、中小企業対策について申し上げます。
 都内の中小企業は、現下の極めて厳しい経営環境の中にあって、技術の高度化や人材育成など多くの経営課題を抱え、都の支援の一層の充実が求められています。
 本予算案には、制度融資の充実など資金繰りの支援、区部と多摩の産業支援拠点の整備、ものづくり人材の育成などさまざまな側面から、中小企業への支援が盛り込まれています。
 とりわけ、我が党の提案を受けて発案された地域の金融機関と連携した新たな支援、いわゆる中小企業金融支援条例については、厳しい経済状況に直面する中小零細企業の資金調達を支援するものであり、その意義や必要性は極めて大きいものであります。
 本定例会の議論を通じて、融資条件の具体的設定、損失の抑制など、今後取り組むべき課題も明らかになってきましたが、ますます厳しくなる経済情勢のもと、資金繰りに苦しむ中小零細企業への支援は、一刻の猶予も許されません。ぜひとも、本支援策の早期実現に向けて全力で取り組んでいただきたい。我が党としても、全面的な協力を惜しみません。
 しかるに、共産党は、仮定にすぎない金融機関による融資制度の悪用の危険性を殊さら誇張し、あるいは、条例にも予算案にも記載がないにもかかわらず、金融機関への資本注入などの経営支援につながるおそれがあると曲解して、本支援策に反対しています。
 先日の予算特別委員会代表質問では、ありもしない事例を持ち出し、本支援策が、融資が焦げついた経営破綻企業への融資を都の税金で穴埋めするものだなどと主張していましたが、全く的外れな批判であります。そもそも、融資が焦げついた経営破綻企業に金融機関が新規融資を行うことなどあり得ません。ありもしないそのような行為が、あたかも日常的に繰り返されるかのように語り、本支援策を批判することは、まさに意図的な誹謗中傷であります。今必要なのは、疑いを前提にした後ろ向きの議論ではなくて、多くの中小零細企業が待ち望んでいる今回の支援策を、一刻も早く実行することであります。
 次に、環境対策について申し上げます。
 本予算案には、大規模事業所に対するCO2削減義務化に向けた取り組みや、低炭素型社会への転換を加速するための都民、民間事業者への支援策など、地球温暖化対策における都の先導性を示す施策が、多岐にわたり計上されています。快適な都市環境を次の時代に引き継ぐためにも、緑の東京十年プロジェクトや自動車公害対策など生活環境改善の取り組みとあわせ、着実な事業執行を求めるものであります。
 次に、豊洲新市場について申し上げます。
 新市場予定地の土壌汚染については、専門家会議、技術会議から安全宣言を出していただいたことに加え、知事からの安全を揺るぎないものとしていくとの答弁により、都民の安全も確かなものになったと考えています。今後必要なことは、この対策がきちんと実施されるかを議会としてチェックし、さらには首都圏三千三百万人を支える新しい市場の機能や将来像について、建設的に議論していくことです。いたずらに都民、市場関係者の不安をあおることは、厳に慎むべきです。
 築地市場は、施設の老朽、狭隘化が著しく、鉄道輸送時代の施設構造のため、大型トラックや買い出し人の駐車スペースなどが不足し、物流の変化に対応できず、品質管理や衛生面でも課題を抱え、取扱量は年々減少しております。いまだ築地で再整備を主張する声が一部にありますが、かつて工事に着手したものの、営業を行いながらの再整備は困難として断念した経緯から、不可能なことは明らかであります。豊洲への移転は、長い年月をかけて関係者間で議論を重ね決定したものであり、後ろ向きの議論に終始するばかりでは何一つ問題は打開できません。
 豊洲新市場は、約四十ヘクタールの敷地を有し、築地市場が抱える課題を大幅に改善し、この先五十年以上にわたり使い続けていく首都圏の基幹市場として、今後の時代の変化にも対応できる規模と機能を備えています。市場業界の大多数からも建設推進が強く求められており、今後、万全な土壌汚染対策を確実に実施した上で、一日でも早く豊洲新市場を開場できるよう、全力で整備に取り組むことを強く要望いたします。
 次に、教育、スポーツの振興について申し上げます。
 本予算案には、学校教育のさらなる充実に向け、学力向上や教育環境の整備のための取り組みが盛り込まれています。また、教育現場の多様な課題に対応するため、外部人材の活用を促進するための支援策も計上されており、現場のニーズにきめ細かくこたえるものとして積極的に評価するものです。
 二〇一六年のオリンピック・パラリンピック招致活動は、これからが正念場であります。このたび、衆参両議院においても、五輪招致決議が採択されました。平和や環境などの人類共通の開催理念に加え、約三兆円の経済効果が見込まれ、景気浮揚や雇用確保を初め多様な波及効果をもたらすことなど、国の内外に強くアピールし、招致機運のさらなる醸成に向けて力の入った取り組みを期待いたします。我が会派も、知事とともに先頭に立って取り組んでいく決意であります。
 最後に、昨日も質疑のあった石神井川への汚水流出事故について申し上げます。
 これまで対応を怠ってきたことは、まことに遺憾でありますが、最も重要なのは、全庁全局それぞれが情報のパイプを詰まらせないこと、何よりも、再発防止と今後に向け一丸となって抜本的対策を早急に講じていくことであります。問題は、何が起きたのかではなく、どういう対処をしていくのかということが重要であります。ぜひ、住民の視点に立って対応されることを強く求めておきます。
 以上、平成二十一年度予算に関連し申し上げました。東京都議会自由民主党は、都政における責任政党として、都民の安全と安心を確保し、豊かさを実感できる都政にするため、今後も石原知事と手を携え、邁進することを申し上げ、討論を終わります。

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