【委員会】平成21年3月18日 平成21年文教委員会

2009.03.18 : 平成21年文教委員会

◯吉原委員 それでは私の方から、都立の肢体不自由特別支援学校における新たな指導体制についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 昨年の十一月十一日、ちなみに私の誕生日なんですけれども、ちょうどこの文教委員会の我が会派の皆さんと一緒に府中の特別支援学校に視察に行ってまいりました。そのきっかけといたしましては、父兄の皆さんから、朝日との統合についてなかなか心配だ、いろいろ課題があるのではないだろうか、こんな疑問をいただいて、府中支援学校の方に視察に行ったわけであります。行ったときは、短時間でありましたけれども、食事をする場面、あるいは子どもたちが体操をしている場面、あるいは授業を受けている場面、幾つか学校の中とそうした授業風景も、若干ではありますけれども、視察をさせていただきました。
 今回の定例会の中で、我が党の幹事長も、外部人材の活用について教育長に質問をさせていただきました。その中で大原教育長の方も、肢体不自由の特別支援学校についても外部人材を登用していく、そういう旨のご答弁をいただいたというふうに理解をしているわけでありますけれども、その中で、現在、肢体不自由特別支援学校ではどのような指導が行われているのか、そしてまた、現状の中でどのような課題があるのか、お尋ねをいたします。

◯高野指導部長 都立肢体不自由特別支援学校におきましては、約九割の児童生徒が肢体不自由と知的障害などの障害をあわせ有している現状でございます。こうした児童生徒に対応するために、肢体不自由特別支援学校の教員は、体の動きなどの自立活動の指導を行うとともに、知的障害の程度に合わせた教科指導なども行っているところでございます。
 また、移動、排せつ、食事などの介護が必要であったり、たんの吸引や経管栄養、導尿などの医療的ケアが必要であったりする児童生徒も少なくなく、教員は、介護や医療的ケアなど、多岐にわたる業務にも従事しなければいけない状況となってございます。
 こうした現状に加えまして、今後漸次増加してまいりますベテラン教員の退職に伴いまして、肢体不自由特別支援学校の教員の自立活動や教科指導における専門性の低下が危惧されているところでございます。

◯吉原委員 確かにベテランの教員もだんだん少なくなっていくわけでございますし、新しい教員、まだ経験の少ない教員が、本当に教育の場面と介護の場面が一緒にできるかどうか、このことも大変心配になるわけであります。そうはいっても、そこに通ってくる子どもたちがどういう気持ちで来ているのか。そしてまた、送り出している保護者の皆さんがどういう感情を持って送り出しているのか。そういった意味でいうと、保護者の皆さんがこの現状についてどのように思っているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。

◯高畑参事 保護者の方々からは、障害の重い児童生徒の増加に伴い、学習指導に加え、移動や排せつなどの場面において教員が介助に当たることが多くなっているので、教育効果を高めるためにも、介助員を導入してほしい。医療的ケアの必要な児童生徒が、保護者の待機や付き添いなしで安心して教育を受けられるようにしてほしいといった要望がございます。また、一人一人が集中できるような授業の工夫をしてほしい。子どもによってできることやペースに差があるため、課題待ちの時間が多い。もう少し指導の工夫をしてほしいなど、現在の指導の改善を求める意見がございました。

◯吉原委員 確かに教育でありますから、肢体不自由の皆さんといえども、やっぱり学校教育を主にしたものでなければならないというふうに私自身も思っているわけであります。さりとて体が不自由なだけに、そのことのフォローはどうやっていくのかということがやっぱり大きな問題にもなるんだろうというふうに思うわけでございまして、新たに専門家を導入する指導体制、具体的にはどういうことなのか、お尋ねをいたします。

◯高畑参事 来年度の新規事業でございます肢体不自由特別支援学校へ介助の専門家を導入する指導体制とは、これまで教員が担っていた介助や介護、医療的ケアの業務に、ホームヘルパーや介護福祉士、看護師等の専門家を活用いたしますとともに、介護や看護面から児童生徒一人一人の課題を把握し、教員などに対して助言を行うことにより、これまで以上に児童生徒の安全性を確保していくものでございます。
 また、都教育委員会は、平成十六年度から、理学療法士や作業療法士などの外部の専門家を計画的に導入しておりまして、これらの職種と、来年度から導入いたします介護等の専門家、さらには教職員や指導員など多様な職種の専門家が、それぞれの専門性を発揮し、互いに連携することによりまして、児童生徒の個に応じた指導をより一層充実してまいります。平成二十一年度は、永福学園及び青峰学園で実施し、実施校での課題や成果を検証いたしまして、以後、順次拡大してまいります。

◯吉原委員 二十一年度は永福学園、そしてまた青峰学園に導入する、こういうお話でございます。今現在でも十四の学校があるわけでございまして、トータル十六になる、こういうことの認識でよろしいのだろうと思いますけれども、この介助の専門家、あるいはヘルパー、看護師等の専門家、こういう皆さんを、支援学校に対して新しい体制を導入することによって、学校の教育というのはどのように変わっていくのか、お尋ねいたします。

◯高畑参事 現在教員が教科指導や生活指導をしながら行っている介護等の業務を専門家が担うことによりまして、児童生徒の健康及び安全をこれまで以上に確保することができますし、教員は教科指導等に集中して取り組むことができるようになります。
 また、介護等の専門家が把握した指導上の課題を、教員が教科指導等に生かすことによりまして、これまで以上に児童生徒の一人一人に応じた指導計画を作成することができますので、教科等の指導内容、方法の充実が図られ、肢体不自由特別支援学校全体の教育水準が向上することになると考えております。

◯吉原委員 肢体不自由特別支援学校の全体の教育水準が向上する、こういうことでございますので、こういう新体制を導入することに対しては大変評価をしているわけであります。まして他の道府県にはこういった体制がまだ組み込まれていないということでございますから、当然東京都がいち早く、こういった学校に対しての手厚い教育環境を整えていくということに対しては、大変すばらしいことだなというふうに思っているわけでございます。
 最後に、この都立肢体不自由特別支援学校に新たな指導体制を導入することにつきまして、大原教育長のかたいかたい決意をお聞きいたしまして、終了とさせていただきます。

◯大原教育長 特別支援学校におきましては、児童生徒の個々のニーズに柔軟に対応して、適切な指導及び必要な支援を行うことが重要でございます。しかしながら、都立肢体不自由特別支援学校におきましては、児童生徒の障害の重度重複化、さらに多様化が著しく、児童生徒や保護者のニーズに適切にこたえるためには、教職員の有する知識、技能に加えまして、介護や医療の専門家との連携を図っていく必要がございます。このため都教育委員会は、教職員と多様な外部の専門家が連携をいたしまして、児童生徒にチームでアプローチをする新たな指導体制を構築し、安全で安心のできる教育環境の中で、一人一人の児童生徒の能力を最大限に伸長する教育を推進してまいります。

◯吉原委員 いろいろお尋ねをさせていただいて、前向きなご答弁をいただいたわけでありますけれども、とにかく子どもたちに対してきめ細かな教育体制といいましょうか、そういうものをこれからもしっかりと構築していっていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

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