【本会議】平成23年12月7日  平成23年_本会議

◯百十一番(吉原修君) 第四回定例会に当たり、都議会自由民主党を代表いたしまして、質問をいたします。
  さて、今から百年前の一九一一年、我が国は日米通商航海条約を結び、これによって江戸末期に結んだ不平等条約をすべて撤廃することができました。
  不平等条約を解消するために、先人たちは必死の思いで国力の増強を図り、当時の大帝国であったロシアを日露戦争で破ることによって、世界にその力を示しました。白人国家の植民地にされる危機を、みずからの力を頼りにして前途を切り開き、非白人国家として初めて近代化を遂げたのであります。
  それから百年、現在の政権をつかさどる政治家は、先人たちのような国家の行く末を思う激しい気迫が、我々には全く感じられません。グローバル化する世界では、国と国とがしのぎを削り、とりわけ新興国の台頭は著しく、日本の地位はどんどん低下しています。
  こうした中で、我が国の経済、農業、金融、医療、労働などあらゆる分野に影響が及ぶTPP参加の是非が問われています。民主党政権からは、何が真の国益で、日本はどうすべきかというビジョンが全く感じられず、国民に説明責任を果たすことなく、ただ国際政治の激流に翻弄されるばかりであります。既に、閣議決定の、すべての品目を自由化交渉対象とし、高いレベルの経済連携を目指すという文言を逆手にとられ、アメリカから揺さぶりをかけられています。国際常識では考えられない迷走によって普天間基地問題をこじらせ、アメリカにいうべきこともいえなくなった民主党政権のもとでは、新しい不平等条約を結ばされることになりかねません。
  まず、知事に、TPP問題を初めとする国政の現状について所見を伺います。
  ことし、我が国は東日本大震災という未曾有の国難に見舞われました。我々は必ず再起しなければなりません。そのためには、アメリカに引きずられるのではなく、日本独自の戦略を持って円高を乗り越え、我が国経済を立て直し、社会を覆う閉塞感を振り払い、国民の希望を取り戻さねばなりません。
  しかし、八ッ場ダム問題からも明らかなように、何でもかんでも先送りし、政策形成過程が崩壊してしまっています。エネルギー問題でも、ストレステストがもたついており、不慮の事故により火力発電所が停止した場合には、冬場の電力不足の懸念が現実となりかねません。民主党政権は、安全運転ならぬのろのろ運転に終始するばかりであります。
  こうしたときこそ、東京から日本全体を突き動かさなければなりません。東京はもとより、この国の未来をにらんだ幾つもの布石を着実に打っていくことが必要であります。
  市区町村と力を合わせ、被災地の瓦れきを受け入れたのは、復興の最大の障害を取り除き、その再生を強く後押しするためであります。
  電力不足によって経済が土台からおかしくなりかねない中で、日本の政治経済のかなめである東京が自前で電力を確保していくことは、この国に新たな可能性を開きます。崩れかけた日本の足元を固め直し、先人から受けたたすきを次の時代にしっかりと引き継ぐために、今こそ東京から骨太の議論を提起していく必要があります。
  都議会自由民主党は、先般、防災対策を提言するなど、常に都民、国民のための新しい政策をつくる決意であります。そうした立場に立って、以下、質問をしてまいりますが、まず知事に、今後の都政運営について所見を伺います。
  我が国の経済にあっては、欧州の債務危機や歴史的な円高などが、回復の兆しが見えた景気に冷や水を浴びせています。企業収益の動向は不透明さを増しており、今後の都税収入への影響は避けられません。こうした中、都には、少子高齢化や中小企業対策など、山積する課題に対して効果的な手だてを講じ、現下の閉塞感を打ち破り、東京に活力を呼び戻していくことが求められています。
  とりわけ、震災への対応は喫緊の課題です。我が党が立ち上げた東日本大震災復旧・復興対策推進本部で議論を重ね、先月、防災力強化に向けての提言を行いました。提言内容も含め、高度防災都市の実現に向けた取り組みを加速する上では、法人事業税の暫定措置の撤廃は不可欠であり、約束どおり撤廃するよう国に強く求めるものであります。
  この間、国が公共事業を見識ある考えもなく削減し続けたのとは対照的に、都は七年連続で投資的経費を伸ばしてきました。都税収の回復が当面期待できない今だからこそ、中小企業の受注機会をふやすなど、景気を刺激し、防災力強化にも資する投資的経費に財源を振り向けることが重要であります。これまで以上にめり張りをつけ、都民に安心と希望をもたらす予算とするべく、新年度予算編成作業を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
  次に、高度防災都市づくりの実現に向けた防災対策について伺います。
  我が党の東日本大震災復旧・復興対策推進本部に二つのワーキンググループを設置し、ハード、ソフト両面からの多面的な議論を積み重ね、先月八日、こうした議論の成果を取りまとめた防災対策強化に向けての提言を知事に提出いたしました。
  提言では、発災時にも都民が安心できる体制、発災直後の混乱を回避する仕組みづくり、災害に強いまちづくりのさらなる推進、地域住民や企業、団体の協力を得た地域防災力の強化の四つの柱を軸に、防災対策の強化充実を図るよう強く求めたところであります。
  知事は、我が党の提言にこたえて、このたび防災対策全般の再検証、再構築を図るべく、東京都防災対応指針を策定いたしました。東京の防災対策の方向性を二十三項目にわたり示した、非常に意欲的なもので、高く評価したいと思います。
  本日は、我が党の提言の四つの柱を軸にした質疑を通じて、防災対策の全貌を明らかにしたいと思います。
  まず、防災の取り組みへの基本的な考え方です。
  今回の大震災で、被災地では、万全を期していた防波堤が跡形もなくなってしまうという事態が生じました。行政も引き続きしっかり対策を講じていくべきですが、それだけでは都民の命を守ることはできません。何といっても都民一人一人の自助、そしてお互いの助け合い、すなわち共助がなければならないと考えます。今回のような大災害に対して、都民一人一人がどうやって立ち向かっていくべきなのか、まず知事の見解を伺います。
  また、都のみならず、国、市区町村はもとより、インフラ事業者を初めとする民間事業者、そして都民が一体となって取り組む必要があります。さまざまな主体が防災対策を講じていくためにも、その前提として、首都東京にどのような地震が起こり得るのか、どのような被害がどの程度起こり得るのかをしっかりと想定しておくことが必要であります。
  都はこれまでも、首都直下地震の被害想定を明らかにしてきましたが、東日本大震災では、東北地方に想定を超える地震や津波が生じました。こうした状況を踏まえて、改めて首都東京の防災対策に生かす観点から、東京を襲う地震像や想定される被害について客観的に明らかにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
  次に、提言の最初の柱である、発災時にも都民が安心できる体制について伺います。
  まず、災害医療対策についてです。
  都では、大地震における医療救護活動の経験や我が党の要望を踏まえ、第二回定例会で補正予算を編成し、病院機能を確保するための耐震化や自家発電設備に対する補助、さらには、発災直後に現地で医療救護活動を行う東京DMAT専用車両の整備など、迅速な対応をとっており、このことについては評価するものです。
  今般作成した東京都防災対応指針においても、今後発生が予想される首都直下地震や三連動地震等への備えも視野に、医療機能確保に向けた対策の強化を災害対策の柱の一つに挙げています。
  そこで、今回の大震災における経験や指針も踏まえ、大規模災害発生時の医療体制の充実に向け、今後、都はどのように取り組むのか、所見を伺います。
  次に、物資の備蓄対策について伺います。
  今回の大震災において大きな課題の一つとなったのが、日常生活に必要な物資の確保及び供給であります。被災地においては、震災発生直後は、救護物資や義援物資等の受け入れ、搬送を円滑に行うことが困難で、被災者のニーズに合った物資を避難所に迅速に届けられなかったと聞いています。こうした事態は、都が被災した場合にも同様に起こり得ると考えられます。
  災害時に必要な物資を都民に確実に供給する体制づくりは、震災対策の中でも重要なポイントの一つとなります。このたび策定された指針においても、都の震災に備えた物資の備蓄搬送体制に関する課題と対応が示されていますが、今後の都の備蓄対策について所見を伺います。
  二つ目の柱、発災直後の混乱を回避する仕組みづくりについて伺います。
  帰宅困難者の問題が大きな課題の一つです。大震災以降の質疑の中で明らかになったように、一斉帰宅の抑制が徹底できなかったこと、通信が不通で家族との連絡がとれなかったこと、帰宅困難者向けの待機施設が確保されていなかったこと、徒歩で帰宅する人への支援も十分でなかったことなど、さまざまな課題が明らかになりました。
  首都直下地震の際には、緊急輸送道路の確保や傷病者の救出、救護が最優先とされなければなりません。また、火災、延焼のおそれなども考慮する必要があります。こうした課題に対して、広く社会全体でぜひとも十分な議論を行い、相互の協力により取り組みを進める必要があります。その上で、合意できたものについては、速やかな実行に向けて積極的に検討していくべきです。
  都が進める帰宅困難者対策について、一斉帰宅抑制の徹底、企業における備蓄など、企業の取り組みを促すための条例制定も含めて、実効性ある対策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
  三つ目の柱、災害に強いまちづくりのさらなる推進について伺います。
  我が党は先日、防災対策強化に向けての提言の中で、地震に強いまちづくりの推進として、特にゼロメートル地帯などでの津波、高潮対策のさらなる強化を強く要請したところであります。
  東部低地帯の満潮面以下の地域に百五十万人の人々が生活している東京で、一たび堤防が損壊した場合には、浸水により都市機能が麻痺し、その損失ははかり知れないことになります。三月十一日以降も日本各地で地震が相次ぎ、今後三十年以内に大規模地震が首都圏を襲う確率が七〇%ともいわれている中、地震、津波への対策は待ったなしと考えます。
  そこで、東部低地帯における河川の耐震対策について、現状と今後の見通しを伺います。
  また、ことしは、台風の襲来により、日本全国で水害や土砂災害が頻発し、多くの死者や行方不明者などを出しました。都内でも近年、一時間に一〇〇ミリを超えるような局地的集中豪雨が発生しており、都民にとって脅威となっています。東京を水害から守り、都民の安全と安心、首都機能、経済中枢機能を守っていくためには、現在の整備水準を上回るような豪雨に対する備えを一層強化しなければなりません。
  現在は、都は専門家による検討委員会を設置し、中小河川における今後の整備のあり方について検討を進めていると聞いています。
  そこで、その検討状況と今後の検討予定について伺います。
  さらに、都内でも台風の影響により、奥多摩町、あきる野市などにおいて土砂災害警戒情報が発表されましたが、幸いにも人的被害はありませんでした。しかしながら、首都東京では人口や都市機能が密集するとともに、多摩地域は丘陵の多いことから、こうした豪雨による土砂災害に対する安全性を高めていかなければなりません。
  そこで、東京都における土砂災害に対する取り組みについて伺います。
  次に、木密地域不燃化十年プロジェクトについて伺います。
  先日、都庁では、防災の専門家による木造住宅密集地域の防災に関する講演会が行われ、東京都技術会議でも用地取得の促進や規制、誘導策の強化などについて議論がなされるなど、プロジェクトは動き始めたと聞いております。
  我が党はこれまで、木密地域の改善には、種地の確保、容積や斜線の制限などの建築規制の緩和、消防との連携など、大胆な発想が必要と主張してきました。また、都が先導してさまざまな取り組みを進めていくことは重要ですが、地元に密着した施策を進める必要があり、区の積極的な取り組みも不可欠であります。
  そこで、都は、木密地域の実態を十分把握した上で、区と協力して計画的に不燃化を推し進める仕組みを構築していくことが必要と考えますが、所見を伺います。
  また、木密地域の不燃化を一層推進していくためには、地域内の建物の不燃化とともに、延焼遮断帯としての効果の高い都市計画道路の整備を、都が積極的に進めることが極めて重要であると考えます。
  そこで、木密地域における都市計画道路整備の取り組みについて伺います。
  さらに、大規模な商業施設の耐震化について伺います。
  都内には、百貨店やホテルなどの大規模な商業施設が立地しており、都民ばかりでなく、外国人も含む不特定多数の者が利用することから、一たび大地震が起きれば甚大な被害につながります。また、東日本大震災では、都内でも多くの帰宅困難者が生じ、不安な一夜を過ごされました。百貨店やホテルでは、こうした帰宅困難者に対して、自発的に店内やロビーを開放し、食料を提供したところもあったと聞いています。これらの建築物の耐震化は、多くの利用者の生命を守るとともに、東京の防災対策上も重要かつ喫緊の課題であります。
  都では、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に進めているほか、我が党の主張を受け、マンションについての法改正を国に対して緊急提案を行いましたが、大規模な商業施設の耐震化も早急に進める必要があります。
  そこで、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
  加えて、発災時にこうした大規模商業施設が果たす役割は大きいことから、利用者保護のあり方など、それぞれの施設が担う役割や相互の連絡方法等についても、帰宅困難者対策の協議会の中で具体的に議論を進めることが必要と考えますが、見解を伺います。
  四つ目の柱、地域住民や企業、団体の協力を得た地域防災力の強化について伺います。
  地域防災力の強化については、知事が防災隣組の構築に取り組むことを明言し、着実にその歩みを進めていただいていると思いますが、それに加え、さまざまな主体による取り組みを促していくことが重要と考えます。
  まず、地域の底力再生事業について伺います。
  本事業は、我が党の提案により、平成十九年度にモデル事業として開始され、本年度で五年目を迎えます。この間、都内各地域における町会、自治会の活動を活性化し、地域力の向上に大きな成果を上げてきたものと評価しています。今般の大地震を契機に、地域における人と人とのきずな、助け合いの重要性が再認識されており、地域の底力再生事業をこれまで以上に活用し、町会、自治会の活動を支援していく必要があります。
  これまでの五年間で実施してきたさまざまな取り組みの成果を生かし、地域におけるより広範な活動を助成の対象とするなど、本事業の再構築が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
  また、木密地域の防災力を向上させるためには、地域の方々の協力が不可欠です。住民による初期の消火活動は延焼をおくらせるなど、災害時にも大きな効果が発揮できると考えます。これまで以上に積極的、主体的に初期消火の行動ができ、より身近で助け合える具体的な方法を検討し、実践すべきです。木造住宅密集地域の住民による初期消火活動能力の向上をより効果的に推進させるための取り組みについて、お伺いをいたします。
  最後に、自助、共助の心を育てる防災教育の推進について伺います。
  大震災後、都教育委員会は、防災教育の見直しを各学校に指導するとともに、防災教育補助教材の充実を図るなどの取り組みを行いました。これらの迅速な対応を高く評価いたします。引き続き、みずからの命をみずから守る実践的な避難訓練への改善や、副読本を活用した防災教育を充実させていく必要があります。
  それに加えて、いざ災害が発生したとき、みずから進んで避難所等での共同生活を支える一員として役割を果たせるよう、日常の教育活動をとらえ直し、ふだんの清掃活動や仲間同士で協力し合う部活動について、防災教育の観点に立って指導をしていく必要があります。都教育委員会は今後、どのように防災教育を推進していくのか、所見を伺います。
  以上、我が党の提言に沿って防災対策全般について伺いました。多岐にわたる事項への取り組みは、まさに全庁一丸となって進めなければ実現できません。課題をしっかりととらえて、都民の命と首都東京を守るため、ぜひしっかりと取り組むことを求めて次の質問に移ります。
  災害に際しては共助という視点が重要であります。都は観光の側面からも、被災地の経済復興を支援しています。今後もこうした共助の視点に立って施策を拡充するなど、効果的な取り組みが必要であると考えます。
  そして、大地震に伴う災害廃棄物の処理に関しては、まさしく地方自治体が行う共助と考えます。
  今回の大震災では膨大な災害廃棄物が発生し、その量は、岩手、宮城両県で約二千万トンといわれています。生活ごみの十数年分に当たります。被災地の復興のために、災害廃棄物の迅速な撤去、処理が喫緊の課題であります。
  被災地では決定的に処理能力が不足し、全国的な支援による広域処理が欠かせない中、都は、全国の自治体に先んじて、岩手県宮古市の災害廃棄物の受け入れを先月から始めました。また、先月末には二十三区の区長会、多摩地域の市長会が、宮城県女川町の災害廃棄物の受け入れを発表し、都内自治体を挙げて被災地の復興を支援するという体制が整いました。
  懸命に立ち上がらんとする被災地を後押しする今回の知事の英断と、都内市区町村の取り組みに敬意を表するものであります。今後、全国の自治体にも広域的な取り組みが広がるよう、今回の受け入れで得た知見やノウハウを積極的に全国の自治体に提供していくなど、都が先頭に立ち、力強く被災地の復興を支援していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
  また、災害廃棄物の広域処理を全国の自治体に拡大していくには、放射能の不安を払拭する必要があります。今回の都の取り組みは、福島県の災害廃棄物は受け入れず、岩手、宮城両県に限ったものであったにもかかわらず、放射能の影響が一部で懸念されています。都の災害廃棄物の受け入れ事業を住民の理解を得ながら円滑に進め、事業の安全性を確保することが、全国の自治体を誘導するために極めて重要であります。
  都は、この事業を進めるに当たり、安全確保はどう確認し、どう評価しているのか、見解を伺います。
  次に、機能的な都市東京を築く取り組みの一環として、エネルギー政策について伺います。
  先月、東京都技術会議の中間のまとめがなされ、低炭素なまちづくりを実現するため、天然ガスコージェネレーションなどによる自立分散型発電を推進するなどとの理念が掲げられています。これは、都市の防災危機管理機能の確保に、系統電源のみに頼らず、省エネルギーや低炭素化にも配慮しつつ一定の電源確保も必要であると申し上げてきた、これまでの我が党の主張と一致するものです。
  中間のまとめにある臨海副都心でのモデル事業や、大規模複合開発でのガスコージェネレーションの導入、防災公園への自立電源設置などのリーディングプロジェクトを推進させ、効果を検証し本格実施につなげていくなど、具体的な施策を着実に推進していくことが必要であります。
  また、自立分散型発電とあわせ、都では、プロジェクトチームを設置し、環境負荷の少ない地産地消の百万キロワット級高効率天然ガス発電所の整備に向けて検討を進めています。
  そこで、自立分散型電源の推進やプロジェクトの進捗状況を含め、今後のエネルギー施策を具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
  都においても、夏の電力不足に対しては一事業者として率先して行動し、都民の協力を得ることができました。都内の電力の一%を消費する下水道局も、電力の抑制に大きく貢献したと聞いています。ことしの冬は、急激な気温の低下による電力需要増の可能性や、寒さの厳しい東北に優先的に電力を融通する必要があります。温室効果ガス削減の観点からも改めて気を引き締め、節電に努めることが重要であります。
  そこで、下水道局におけるこの冬の節電対策について伺います。
  また、エネルギー施策の視点からも、東京外かく環状道路は慢性的な交通渋滞を解消し、CO2やNOxの排出を大幅に削減させ、地球温暖化対策としても効果を発揮するだけでなく、災害時の救援、復旧活動にも極めて大きな役割を果たすなど、その便益が国全体に及ぶ重要な幹線道路であります。
  このため、我が党は、超党派の都議会外かく環状道路建設促進議員連盟と連携し、外環の一日も早い工事着工と地権者の用地買い取りにこたえるよう、要望活動を強めてきました。平成二十一年五月の外環整備計画決定後、二年半が経過し、用地取得も進んでおり、まさに今、工事を着工すべき時期であります。
  そこで、その間の進捗状況と今後の事業促進に向けた都の取り組みについて伺います。

  次に、活力のある都市東京を築く産業対策について伺います。
  長期化している円高は、十月末に戦後最高水準を記録するなど、歴史的な水準となっています。政府が十一月に発表した月例経済報告でも、景気の基調判断において景気の下振れリスクが増加するなど、いまだ大震災の影響を脱し切れない都内中小企業の経営環境は予断を許さない状況となっています。
  こうした中、我が党は先月二十四日、都に対して緊急要望を実施し、資金需要がふえる年末に向けて、中小企業の資金繰り対策や相談窓口の設置などの対応を強く求めました。
  年末対策については、知事も所信表明の中で万全を期していくと決意を述べられており、我々も力強く感じています。
  そこで、都としてどのような考え方で支援を講じていくのか、具体的な強化ポイントについて伺います。
  雇用情勢もまた、いまだ厳しい状況が続いています。国の発表によると、十月の完全失業率は四・五%と依然として高い水準にとどまっており、大学生の就職内定率も過去二番目の低さとなっています。こうした大変厳しい状況の中で、職を失った方や未内定の学生が抱えている不安を払拭していくことが大変重要であります。
  国は先月下旬、ようやく第三次補正予算により緊急雇用創出事業の基金を拡充しましたが、遅きに失したといわざるを得ません。都は、国の緩慢な動きに合わせることなく、速やかに、より一層の雇用創出や学生の就職の実現に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
  次に、産業の空洞化への対応について伺います。
  都内の製造業は、これまでにない逆風にさらされています。そもそも、中小のまち工場の周辺に住宅が立て込んで、操業環境が万全ではない状況に加えて、今回の震災の影響により、電力供給が不安定となる懸念が生じています。
  さらに、歴史的な円高が企業収益の悪化に拍車をかけています。こうした状況が進めば、中小のものづくり企業は廃業か海外移転かを迫られ、地域に集積しているすぐれた基盤技術の数々も失われ、製造業そのものが成り立たない産業の空洞化が起こります。
  先進国では、産業の空洞化が共通した課題となっています。こうした危機的な事態に対して、都としても無秩序な空洞化を防ぐ対応策を速やかに打ち出すことが不可欠と考えます。
  特に、製造業の基盤となる技術を持つ工場が集積する地域に対し、市区町村と協力するなど、重点的な支援を含め、都としての効果的な空洞化対策の進め方について所見を伺います。
  次に、商店街振興について伺います。
  我が党は商店街について、地域の商業活動の拠点であり、住民の便利で快適な生活を支えるための役割を担う場として、さまざまな支援を行うべきであると主張してきました。最近では、地域の中で日常の買い物が困難な買い物弱者の問題が取り上げられ、この問題に対し、商店街を活用してどう対応していくべきか、我々も新たな問題提起をしたところです。
  都は、我が党の提案に沿った形でまずは実態調査をしっかりと行い、地元の市区町村と協力してモデル的に商店街の活用方策を立ち上げる考えを示しています。こうした着想は地に足がついた政策判断であると評価したいと思います。
  商店街を活用した買い物弱者への対応について、都としての取り組みについて伺います。

  次に、外国人旅行者の誘致について伺います。
  東日本大震災の影響で、東京を訪れる外国人旅行者の数は大幅に減少しました。その数は回復基調にありますが、震災前の状態には至っておらず、まだ道半ばの状況であります。
  都は、第二回定例会で我が党の代表質問を受け、外国人旅行者の回復に向け、海外の旅行事業者に対する積極的な働きかけや、国際会議、展示会などいわゆるMICEの機会をとらえたPRなどを実施すると伺いました。
  来年は、東京スカイツリーの開業やIMFと世界銀行の総会が東京で開催されるなど、都の観光においても意義深い年になると考えられます。都は観光産業の再生に向けて、外国人旅行者の回復を図ってきたと思いますが、これまでの取り組みの成果と今後の方向性について伺います。
  また、本年九月に、都は国に対して国際戦略総合特区を申請し、外国企業を戦略的に誘致してアジアのヘッドクオーターになるとの目標を明らかにしました。この特区構想においても、MICE機能の充実を挙げています。東京におけるMICE拠点としては、東京ビッグサイトやホテル、商業施設などが集積している臨海副都心があり、さらなる開発によって日本の重要な国際戦略拠点となると考えられます。
  さらに、臨海副都心にMICE機能が集積することによって、都内はもとより、東京ディズニーリゾート、日光、箱根といった近隣県への観光地へのゲートウエーとなることも期待され、首都圏全体への波及効果も大きいと考えられます。今後、都としてMICE拠点化にどのように取り組まれるのか伺います。
  また、臨海副都心は開発から二十年余りが経過し、知名度も上がり、国内外から年間四千五百万人を超える人々が訪れる観光名所となっています。MICE拠点化を進めるため、観光資源の一層の充実と、さらなるにぎわいを創出する仕組みづくりに向け、都はどのように取り組むのか伺います。
  次に、都市農業の振興について伺います。
  我が党はこれまでも、都民に新鮮な農産物を供給する都市農業と、都市環境の保全に大きな役割を果たす都市農地は、極めて貴重で重要であると強く主張してまいりました。
  我が党は、都内各地域の農業者と意見交換を重ねていますが、特に若い農業者の皆さんが、都市の中でさまざまな創意工夫を凝らした経営を行っていることはまことに心強いものがあります。
  その一方で、相続が発生した場合の農業経営については、その高額な納税により農業経営の継続が困難になるなど、我が党としても極めて強い危機感を持っております。農業者の努力にもかかわらず、農業の継続が困難になるような農地制度や税制度については、ぜひとも改善が必要であると考えます。
  そこで、都市農地の保全について知事の所見を伺います。
  農地を取り巻く情勢が厳しさを増す中、先月、東京都農林・漁業振興対策審議会から、東京農業の新たな展開について答申が出たと聞いています。
  そこで、その答申を今後どのように都の農業施策に生かしていくのか、伺います。
  次に、下水道事業における技術開発の取り組みについて伺います。
  東京の中小企業には、だれもが認める世界に誇れるすぐれた技術があり、技術の継承や産業力の強化、人材の育成は重要であります。
  都は、中小企業が開発した革新的で将来性のある製品、技術を、東京都ベンチャー技術大賞として表彰するなど、民間企業の技術開発を後押ししています。
  一方、都民生活と都市活動を支える根幹的社会基盤である下水道は、大地震を踏まえた震災対策、東京湾のさらなる水質改善、下水道の処理過程で発生する温室効果ガスの削減など、新たな課題への対応が求められています。そのためにも、中小企業との連携により革新的な技術を開発し、実用化することも必要であります。
  そこで、下水道局では、中小企業などの持つすぐれた技術をどのように活用していくのか伺います。
  次に、水道事業の国際展開について伺います。
  昨年来、都ではアジア各国にミッション団を派遣し、調査などを実施してきました。そうした取り組みが実を結び、都では、来年度にもベトナムで合弁会社を設立し、浄水場の建設に乗り出すと聞いております。
  このベトナムの事例は、国内の自治体で初めて海外の水道事業に本格参入するものであり、従前の取り組みから大きく踏み込むものとして高く評価します。東京の技術を広く世界へ伝える意味でも、こうした本格的な事業参画をぜひ積極的に行っていただきたいと思います。
  そこで、海外での本格的な事業展開に当たっての知事のお考えを伺います。
  また、ベトナムの事例では、浄水場を建設した後、長期にわたって水道事業を運営していく計画であると聞きました。事業を実施していく間には、さまざまなリスクの発生も懸念されています。
  そこで、今後の海外の事業展開では、どのような形でリスクマネジメントを行っていくのか、所見を伺います。
  安全で安心できる都民生活向上の取り組みについて伺います。
  まず最初に、自転車対策です。
  この十年間、都内における交通事故全体は減少していますが、一方で自転車が関与する事故の割合は増加傾向にあり、昨年は三六%に上っています。また、歩道を猛スピードで走行する自転車やブレーキを外した違法な自転車など、ルールを守らない利用が目に余ります。
  自転車は自賠責のような保険制度が未整備なため、一たび事故が起きれば、被害者はもとより、加害者側も補償の問題も含めて重大な影響を受けることになります。
  先日、警察庁は、自転車を原則車道走行とすることについて、改めて周知徹底する通達を公表しましたが、自動車の交通量が非常に多い東京では、地域の実態を踏まえた自転車対策が求められています。危険で違法な自転車に対しては、警察による厳しい取り締まりが必要であることはいうまでもありませんが、それだけで自転車の問題すべてが解決されるものではありません。
  自転車は、だれもが利用する乗り物だけに、その対策に当たっては、都、市区町村はもとより、民間を含めた幅広い関係者の連携が不可欠であります。
  民間では、自主的に学校等で自転車シミュレーターを活用した安全教育を行っている例もあり、こうした取り組みと協力連携し、社会全体として自転車の安全利用に取り組んでいくことが重要であります。
  そのためには、都民、行政、事業者の役割と責務を明らかにするとともに、関係各機関の連携体制を整備するなど、自転車の安全利用促進のための仕組みづくりを早急に進める必要があると考えますが、所見を伺います。

  次に、サイバーテロへの備えについて伺います。
  都は今般、防災対応指針を策定して、震災対策の大幅な刷新に乗り出しましたが、一方で、人為的な災害であるテロに対する備え、危機管理も重要です。近年、都は、NBCテロ対策訓練などを実施してきましたが、今、新たな大きな脅威としてクローズアップされているのがサイバーテロです。
  八月下旬に放送された石原知事と池田前警視総監とのテレビ対談を興味深く拝見いたしました。その中で、サイバー空間には経済的利益などをねらったサイバー犯罪だけでなく、国家の基幹システムを無力化するサイバーテロ等の脅威が存在し、これらに対する組織的な取り組みが求められると論じられていました。
  最近でも、大手の防衛産業や衆議院のネットワークが攻撃にさらされました。これらは、外部からネットワーク内部に送り込まれたウイルスに感染したパソコンが、国外のサーバーに不正に接続し、情報を流出させてしまうというものであります。一日も早い真相の解明が待たれますが、こうした事態は国家機密の漏えい、国益の喪失に直結しかねません。
  我が国のインターネット利用者は九千万人を超えており、今やインターネットは、我々の社会経済活動にとって極めて重要なインフラとして国民生活を支えています。
  一方、ネット空間におけるサイバー犯罪として、違法情報、有害情報がはんらんするなど、その負の側面も日増しに多くなっているのも現実であります。
  サイバーテロは地方自治体にとっても対岸の火事ではなく、十一月には、自治体向けにクラウドコンピューティングサービスを提供する企業が被害に遭いました。最先端技術を持つ日本の企業でもやすやすと侵入されてしまう現実を直視し、今こそ、官民が総力を挙げて対策をとるべきであります。都みずからもしっかりと守りを固めていかなければなりません。
  そこで、サイバーテロという新たな脅威について知事の見解を伺います。
  サイバー攻撃の危険性には十分な対策が必要であることは論をまたないところであります。そのような昨今のサイバー攻撃に関して、多くの政府中枢機構が集中する首都東京を所管する警視庁として、どのような認識を持っておられるのか伺います。
  また、サイバー攻撃による被害を未然に防止するためには、官民の連携が不可欠なところではありますが、警視庁ではサイバー攻撃対策として具体的にどのような取り組みを行っているのか伺います。
  さらに、情報通信ネットワークは今後も高度化を続け、我々の生活の依存度はますます高まるものと考えられます。反面、サイバー攻撃の手法も巧妙化し、規模も大きくなることが危惧され、サイバー攻撃への対策は官民挙げて、一層強力に推進していく必要があると思われます。
  警視庁として、今後の対策並びに事案発生の際の対応などについて伺います。
  次に、都民の健康を守る福祉、医療制度について伺います。
  命を守る都立病院の改革についてです。
  大震災から九カ月を迎えていますが、各地の公的病院が果たした災害対策としての医療支援は高く評価されています。都立病院も、発災直後からさまざまな支援を行ってきており、今後、さらなる被災地支援はもとより、都内の災害対策への取り組みも強く望まれています。
  一方、少子高齢化や疾病構造の変化、国の社会保障制度改革の動きなど、医療を取り巻く環境も大きく変化しようとしています。このような中で、現行の計画である第二次都立病院改革実行プログラムは平成二十四年度までとなっていますが、引き続き、都立病院改革マスタープランで掲げる理念を踏まえた都立病院改革に取り組んでいく必要があると考えます。
  そこで、都立病院改革の今後の進め方について伺います。
  次に、都のがん対策について伺います。
  がんは日本人の死亡原因の第一位であり、都民の健康にとって重大な脅威となっています。今後、高齢化が一層進行する中、がん患者数はさらに増加することが見込まれます。
  こうした中、国ではがん対策基本法に基づき、がん対策基本計画の見直しが進められていると聞いています。都においては、東京都がん対策推進計画に基づき、がん対策に取り組んできましたが、この計画についても五年ごとに見直すことになっています。
  そこでまず、東京都のがん対策について、これまでの取り組みと成果を伺います。
  また、今後、国の計画見直しを踏まえ、都のがん対策推進計画をどのように改定していくのか、所見を伺います。

  次に、高齢者福祉対策について伺います。
  都はこれまで、社会福祉施設の施設基準を大都市にふさわしいものとするよう、国に対し再三にわたり提案要求してまいりました。このたび、国はこのような都の提案を受け、地方分権推進の観点から、地方自治体の自主性を強化し自由度の拡大を図るため、都道府県が独自に社会福祉施設などの基準の一部を定めるよう改めました。その代表的な施設の一つに、特別養護老人ホームがあります。
  都は、学識経験者も交えて、特別養護老人ホームの独自基準の設定を検討する委員会を設置し、先般そのまとめを公表いたしましたが、それを踏まえ、今後どのような対応をしていくのか、その基本的な考え方を伺います。
  福祉と保健とともに重要なのが教育です。真に社会人として自立した人間を育成するための取り組みについて伺います。
  教育は国家百年の大計であり、国民の未来や国の行く末をも左右する重要な柱であります。
  我が党は、教育における行き過ぎた個人主義、義務や責任の伴わない権利の主張など、戦後教育が生んだゆがみを正すため、教育基本法の改正に取り組み、豊かな情操と道徳心を培うこと、伝統と文化を尊重することなど、真に必要な教育理念を明確にし、一定の成果を得てきました。
  しかし、日本の将来を背負って立つ人材を育成するためには、これにとどまらず、若者に厳しい国際社会の中で、生き抜く確かな能力とチャレンジ精神を身につけさせる取り組みが重要であります。
  知事は、破壊的な教育改革を目指し、制度や仕組みにとらわれない議論を進めるため、教育再生・東京円卓会議を設置されました。先月、その第一回の会議が開かれ、こうした次代を担う人材の育成に向けた具体的な議論が行われたと聞いています。会議で得られた成果を改めて伺うとともに、今後の取り組みについて知事に所見を伺います。

  次に、都立高校改革について伺います。
  我が国はこれまで、都立高校において、公共の精神や伝統と文化の尊重など、改正教育基本法の趣旨を実現するとともに、生徒に規範意識や基本的な体力を身につけさせ、健全に育成する教育の実践を求めてきました。我が国の社会経済が停滞や迷走を続ける今こそ、都立高校が平均主義的な教育を改め、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばしていくことが必要であります。
  都教育委員会は先日、新たな都立高校改革推進計画の骨子を公表し、生徒の知、徳、体に係る教育内容の充実を初めとした、さまざまな施策の方向を明らかにいたしました。
  そこで、新たな都立高校改革推進計画により、都立高校を今後どのように改革していくのか、基本的な考え方について伺います。
  また、学校教育の成否は、教育に直接携わる教員に大きく左右されます。都立高校のさらなる改革を進めていくためには、これまで以上に教員が生徒と向き合いながら指導を行う必要があり、教員には、学習指導、生活指導、進路指導など、さまざまな能力の向上が一層求められます。社会の要請に対し、個に応じた指導を充実するためには、個々の教員のさらなる育成を図るべきと考えますが、所見を伺います。

  次に、次世代リーダー育成についてです。
  我が党はこれまで、言葉の壁を乗り越え、異文化に接し、さまざまな物の見方、考え方に触れるためには、高校生を海外留学させていく必要があると提案してきました。昨今、若い人たちに接すると、豊かさの中で過保護に育ち、ひ弱な内向き志向が見られるなど、将来に不安を抱かざるを得ません。
  そのため、高校生を海外に派遣して学ばせるなどして、将来の我が国を牽引する若者を育てることが重要であると考えますが、まず都教育委員会の見解を伺います。
  あわせて、東京における公教育で重要な役割を担っているのが私立高校です。私立高校の生徒に対する留学支援について、都はどのように考えているのか伺います。
  また、高校生の海外留学に当たっては、高校生が大学入試を意識する余り、せっかくの留学をちゅうちょすることがないような仕組みの構築が重要です。
  文部科学省の統計によると、全国の大学生のうち約七十三万人、四人に一人が都内の大学に在学しているのが現状であり、多数の大学が集積する東京から、まずは仕組みを構築し、実践されるべきと考えます。
  そこで、首都大学東京において、例えば留学した生徒の実績を適切に評価するなどの入学者選抜を取り入れる必要があると思いますが、見解を伺います。
  次に、私立学校の振興について伺います。
  国は一昨年の政権交代後、十分な検討もせずにさまざまな施策を打ち出し、多くの分野でゆがみを生じさせています。私学振興についても、いわゆる高校無償化に伴う就学支援金においては、手続の煩雑さに加え、事務経費の交付額も極めて不十分であり、地方や学校に負担を押しつけるなど、国のやり方は全く無責任といわざるを得ません。
  とりわけ幼稚園については、少子化の進行が続く中、就学前教育の持つ重要性が今まで以上に大きくなっているにもかかわらず、国は、政権交代直後の二十二年度予算において、幼児教育を支える幼稚園就園奨励費補助を安易に変更し、保護者負担を増加させる制度改悪を行いました。我が党はこれに強く反対するとともに、都に対し激変緩和措置を要望した結果、就園奨励特別補助が創設されました。
  しかし、本年度においても国は事の本質を理解せず、小手先だけの中途半端な補助単価の見直しにとどまり、いまだ負担増の問題は解決されておりません。
  そこで、これまでの就園奨励特別補助の実施状況と、今後の都の対応について伺います。

  次に、オリンピック・パラリンピックについてお伺いします。
  近代柔道の創始者である嘉納治五郎先生は、戦争のため幻の大会に終わりましたが、一九四〇年東京五輪招致決定に導いた最大の功労者でありました。嘉納先生は、精力善用、自他共栄との言葉を残されました。これは、目的を果たすために最も効力ある方法を用いつつ、それを実生活に生かすことで人間と社会の進歩発展に貢献せよとの教えです。
  今、東京が改めて取り組んでいる二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致は、スポーツを通じて世界平和を希求するオリンピック精神を具現化するものであり、まさに嘉納先生の教えそのものです。同時に、東日本大震災から日本が再生するための極めて大きな牽引力となるものです。
  今回、この国家同士の熾烈な争いを必ずや勝ち抜き、開催権を手にするには、日本国民全体が一丸となって戦いに取り組まなければなりません。
  知事は、本定例会の所信表明で招致体制が整ったと述べられました。先月末には、桜の花をモチーフにした招致ロゴも発表され、さらに機運醸成に取り組みやすい環境となってきました。
  この招致体制の一翼を担うのは、招致委員会の評議会であります。先日開催されたこの評議会には、総理大臣経験者や超党派のスポーツ議員連盟メンバーを初めとした、国、そしてスポーツ界、経済界、各種団体など、各界から多くの方々が参画されたと聞いております。
  そこで、日本国じゅうの力を結集した戦いのかなめとなる招致委員会評議会の今後の展開について伺います。

  最後に、東京多摩国体、スポーツ祭東京二〇一三についてお伺いします。
  開催まで残すところ二年を切り、開催準備もいよいよ佳境に入ってまいりました。大会を成功させるためには、都内全域でさらに大会開催機運を盛り上げていく必要があります。
  開催年の平成二十五年は、我が三多摩が東京になってちょうど百二十年を迎え、多摩地域にとっては記念の年でもあります。東京で五十四年ぶりに開催するこの大会を、国体と全国障害者スポーツ大会というスポーツ競技会の成功だけにとどまらせることなく、地域の盛り上がりへとつなげていく必要があります。
  大会開催機運の醸成を図るとともに、歴史や文化を振り返り、地域の活性化につなげていくべきと考えますが、所見を伺います。
  さらに、大会開催を契機として、多摩振興につながる幅広い事業の展開を図る必要があると考えますが、所見を伺います。
  冒頭申し上げたとおり、百年前、我が国は気概と活気に満ちあふれていました。萎靡沈滞気味の現代でありますが、東京がさらなる躍進を遂げ、これからの百年を希望と喜びに満ちる時代にすることこそ政治の役割と確信しています。
  我が党の推進する政策が、今後、東京を築いていく礎となることをかたく信じ、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

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◯知事(石原慎太郎君) 吉原修議員の代表質問にお答えいたします。
  まず、TPP問題を初めとする国政の現状についてでありますが、日本は資源や食料の多くを海外に依存しておりまして、原材料を海外から輸入し、加工してすぐれた製品をつくり出すことで成り立ってきました。我が国にとっての自由貿易が重要なことは論をまちませんが、今回、アメリカが自国の権益拡大のために推進しようとしている環太平洋パートナーシップ協定、TPPへの対応となると、これはいささか話が別だと私は思います。
  国家の役割の第一義は、国民の生命と生活を守ることであります。しかし、その日本の政治家や官僚は、外交交渉において、国益を構えたゲーム感覚が著しく欠落していると私は思います。
  国は、アメリカの機嫌をとるために、慌ててTPP交渉への参加の方針を決めましたが、これは自民党政権以来、現の民主党政権も含めて、アメリカへの依存、従属という習性がしみついた日本の政治が、食の安全や医療、社会保障など、国民の生活に重大な影響を及ぼす問題に対して、虚々実々の駆け引きを駆使して国益を主張するという、そういうことができるかというと、甚だ肌寒い思いがいたします。
  今回の、私、TPPの内容をすべてつまびらかにいたしませんが、アメリカのいい分の一つとして、アメリカが発案した、現にそれを製品にして売っていますけれども、遺伝子組みかえの食品、これは将来どういう禍根を残すかまだわからない。だからアメリカがそれを日本に輸入を強いてきたときに、これは東京からも提案しまして、遺伝子組みかえ食品に関しては、これはそれを買う買わないということはカスタマー、お客さんの判断に任せるために特殊なラベルを張ることにいたしました。これは全国に恐らく普遍していると思いますけれども、アメリカは今度それを外せというんでしょう。この食に関して、日本人の生命、健康というものを一体だれがどうやって保障できるんですか。私は、この主張一つ見ても、アメリカの主張というのは本当にけしからぬと思います。
  現に、さきの日米首脳会議の場で野田首相が、すべての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルにのせると発言したとしておりますが、アメリカの作戦ともいえる一方的な発言に対して、我が国は、その発言を否定しながら訂正の要求もできていないのが現状であります。
  互いに国益を絡めて行う外交という勝負の中で、唯一絶対の原則は、相手の善意や友好といったこのセンチメントではなくて、信じられるものは自分しかないということだと私は思います。かつてイギリスの首相のチャーチルは、あの大戦の最中でもイギリス以外の国がすべて仮想敵国だと断定しましたが、これはやっぱり私は至言だと思います。こうした国家への執着がもたらす他者への非常に冷静な非情さがなくては、幾ら国内でTPPの問題を議論しても、国民の生活を、生命を含めて守れようはずがないと私は思います。
  交渉に加わる以上、国には、この点を肝に銘じて、アメリカに国民の利益を踏まえていうべきことをはっきりというという姿勢で臨んでもらいたいと思います。そして最後は、アメリカの意向ではなくて、みずからの決断で参加、不参加を決めなきゃならぬと私は思います。
  今後の都政運営についてでありますが、いうまでもなく東京は、単なる一つの都道府県ではなくて、まさに日本の首都であり、頭脳部、心臓部であります。その果たすべき役割は、首都として国の危機を乗り越える牽引役となることでありまして、私はこうした考えに立って、知事就任以来、都議会の皆様の協力を得ながらこの国を、ある部分では先導する改革を戦略的に進めてきたつもりであります。
  肝心の国政は、未曾有の国難に遭っても、肝心の危機意識を欠いたままで、日本をどこに導こうとしているのか判然といたしません。それゆえ、国家発展のかなめであるエネルギーの戦略もしかと構築できていない現況であります。
  これからの少子高齢社会に向けて、国は消費税の税率引き上げに重い腰を上げましたが、破綻寸前のその国家財政の実情を国民に複合的に明らかにして、複合的にむだを吐き出させ、国民の有効な説得材料となるべき複式簿記・発生主義に基づいた公会計制度を、いまだに導入していないわけでありますが、とにかく、この国は正確なバランスシートがない。大福帳の域を出ない。財務諸表がない。この現況でどうして日本の財政がどこまでいってるかとわかりますか。私は、これをほうっておいたら、財政が破綻してこの国は沈むしかないと思います。
  東京都を預かる知事として日本の危機を見過ごすわけにいきませんから、東京から二十一世紀の都市モデルを発信し、世界に誇れる都市へと進化させるべく、「十年後の東京」計画を充実強化した新しい計画を年内に発表いたしますが、これを羅針盤として、東京からこの国を再生するために、ひとり東京のためのみならず、日本全体をも見据えた政策を展開することで、我が国の確かな未来を切り開いていきたいものだと思っております。
  次いで、大災害に対する都民の心構えについてでありますが、今回の震災の教訓として明らかなのは、発災時に一人でも多くの人の命を守るためには、何よりもまず一人一人がみずからの命を守る自助、そして、近くの人たちが助け合う共助がいかに大切かということが証明されました。
  都内には、町会、自治会を母体とした既存の防災組織が約六千七百あるといいますが、高齢化が進んでノウハウも不足しているために活動が停滞し、例えば防災イベントに参加しない人々が六割にも上るというのが実態であります。
  また、震災当日に自社のオフィスで食料や水を提供されたのはわずか二割にとどまりました。七割以上の人が携帯電話の災害用伝言板の使い方も知らないなど、企業や都民の備えは不足しております。
  日本の国土は、アリューシャン列島を経てアラスカに至る世界で一番大きな火山脈の上に存在しているわけで、この間、東大の地震研究所の主任教授にお話を聞きましたが、体感はありません、体は感じませんが、計器ではかりますと、この東京は十分弱に一回地震があるんですね。我々は、いつ発生してもおかしくないその震災に備えて、公助に頼るばかりではなくて、みずからの命はみずから守るという、そのかたい決意を持つとともに、身近な支え合いによって災害に立ち向かっていかなければならないと思います。
  行政としても、ただ手をこまぬいているだけではなくて、自助、共助の取り組みの再構築を図り、東京の総力を結集した防災対策を講じていくことが重要だと思います。こうした考えに立って、今回、東京都防災対応指針を策定いたしました。
  このためにも、実は発災以来、東北に出向いて三つの県でいろんな分野で手助けをしてきた都の職員の報告をこの間聞きましたが、非常に参考になりました。これは津波にたびたび襲われているあの東北の三県では、災害に備えて災害コーディネーター、主に医療と福祉に関係する、そういうコーディネーターを設けているそうでありまして、これは非常に大事な存在になると思います。東京は、向こうの県に比べて広い、しかも人口の多いところでありますから、やはり二十三区のそれぞれの区、そして他の市町村でもそれぞれの責任において、こういった役を人選して備えるべきではないかという気がいたします。これも条例にこれから盛り込んでいきたいものだと思っております。
  首都直下地震などの大災害に備えて、都民の危機意識をより一層喚起していくとともに、多様な主体による共助の仕組みであります帰宅困難者対策のための条例の設定や、防災隣組の再構築など、自助、共助の取り組みを積極的に後押ししていきたいと思っております。
  次いで、災害廃棄物の受け入れについてでありますが、未曾有の大震災から間もなく九カ月が経過いたしますけど、依然として通常のごみ量の十数年分にも当たる多量の瓦れきがかの地の市街地に残っておりました。被災地の生活再建の大きな妨げとなっております。
  被災地の厳しい現実を前に、口先だけの励ましではなくて、連帯の心を確かなものとしなければ、被災地の復興、日本の再生はあり得ないと思います。
  しかるに国は、単に自治体に協力を呼びかけるだけで、広域処理の実現に必要な仕組みの整備に、どうも自分から汗をかこうとしないために、処理は一向に進んでいないという現状でありまして、都は、被災地を後押しするために、区市町村や民間とも力を合わせて、岩手県と宮城県の瓦れきを受け入れることにいたしました。都が安全性を十分確認し、都民にわかりやすい情報を公開しながら災害廃棄物を受け入れているという事実は、必ずや他の自治体を動かし、被災地の復旧、復興が大幅に加速されるものと確信しております。
  先般も首都圏の首脳会議がありましたが、川崎市の市長さんに私はあえて申し上げたんですけど、最初、川崎はこれを受け入れるといっていながら、何千通かの要するに反対の意見が来たら、まあ、たちまち腰が引けてホールディングになっていますけど、お互いにこれはやっぱり覚悟を決めてやろうじゃないか、きちっとした説明をすれば必ず市民も納得してくれるはずだと申しました。
  都は、これまで培った放射能測定、安全管理などのノウハウを惜しみなく提供していくつもりであります。
  次いで、都市農地の保全についてでありますが、都市農地は、農業生産の基盤としてばかりではなくて、災害時の避難場所やヒートアイランドの緩和など、さまざまな機能をあわせて持っている都市の貴重な財産であります。
  しかし、国はこうした都市農地の役割と重要性を理解せずに、いずれは都市化される農地であるとして十分な保全策を講じておりません。このままでは、相続のために農地の売却を余儀なくされ、農地の減少がさらに加速することはもう明らかでありまして、看過できない問題であると思います。
  都市農業が継続され、都市での農地がその役割を果たしていくためには、国の政策転換と、これは税制含めて関係の制度の改善が必要であると思います。これらを強く国に求めていくとともに、農地が継続できるような、都としても農業者をしっかりと支える独自の取り組みを進めていきたいと思っております。
  次いで、水道事業の国際展開についてでありますが、日本のように蛇口から水が飲める国は世界でもわずかしかありません。いまだに多くの人々が安全な水を手にすることができずに苦しんでいるという状況があります。特に、成長の著しいアジア諸国では水不足が深刻な状況になっております。
  東京は世界に誇る高度な水質管理技術や、漏水率二・七%を達成した、高い漏水防止技術を有しておりまして、日本の民間企業もまた、すぐれた製品製造技術を数多く持っております。
  何年前になりますか、ニューヨークで行われましたC40、世界の四十の大都市の環境問題の会議がありましたが、そこで水の問題が出ましたので、あなたのいっていることはちゃんちゃらおかしい、東京の水を見ろといって水の説明をしました。たちまちその質問が集積して、あそこで東京の水道局長は集中で質問を受けて、これに答えて男を上げたと思いますが、これは何も局長の功績じゃなしに、この東京全体が今までやってきた水道事業の大きな成果だと私は思います。
  こうした日本の高い技術を生かすべく、民間企業などとも連携して、水不足に悩むベトナムのハノイで三十万トン規模の浄水場を建設し、水道水の供給事業を行うことといたしました。これは自治体として初めてでありまして、海外での本格的な事業進出となります。そこで、アジア諸国への本格進出の主体となる会社を設立し、その中で現地合弁会社への出資に必要な資金も確保してまいります。
  今回のように、東京と民間企業が連携した海外展開は、日本の存在感を示すとともに、産業界の国際競争力強化にもつながるものでありまして、国ももっと積極的に取り組むべきだと私は思います。世界最高の東京水道の技術を海外で大いに活用し、発展途上国の水事情の改善と日本の経済の活性化につなげていきたいと思っております。
  次いで、サイバーテロについてでありますが、お答えを申し上げる前に、皆さんに聞きたいんですが、皆さん、三沢の飛行場に行ったことはありますか。最近青森空港ができてめったに使われなくなりましたが、あそこにエシュロンという日本全体に対する盗聴機械がある。これは、かつてはソビエトに対する情報収集の機械でありましたけど、今はもうその用途がほとんどなくなったはずなのに、依然として、数もふえまして大きなドームで隠されて、レーダーは全部東京に向かっています。
  今さらサイバーテロの問題を持ち出すまでもなく、日本の官公庁の情報というのは全部そこで要するに盗聴されているんです、ずっと。私はそれを指摘したことがあるんですが、冷戦時代もあったんですね、冷戦──なくなったと思ったら依然としてあそこにあって、日本の官公庁の情報というのはほとんど盗聴されているんですよ。
  そういうことを私たちはやっぱり念頭に置いて、情報の管理というものを考えなければ、今さらサイバーテロで右往左往する前に、今まで、とっくの昔にそういう状況に置かれているということもやっぱり認識して、これから物を考えていかなきゃならぬと思います。
  コンピューターやインターネットなどの文明の利器によりまして、人々の生活は確かに便利になりましたが、同時に、ご指摘のようなウイルスなどを利用したサイバー攻撃によって、大切な情報が瞬時にそして多量に漏れてしまうなど、以前にはあり得なかった取り返しのつかない事態が起こり得るわけであります。
  都では、現在、警視庁が中心になって、民間事業者と連携したサイバーテロ対策協議会を立ち上げ、実践的な訓練を行っております。都としても、警視庁と連携して、都民への危機意識の喚起を図るとともに、みずからの備えも固めなくてはならぬと思います。
  個人や企業が自衛することは当然でありますが、攻撃は執拗さを増し、巧妙化しており、しかし、それは以前から違った形で続いているわけですけれども、この国全体として本当の意味での備えを固めなければならない時期に来ていると思います。
  現在の我が国は、平和という生ぬるい湯の中にどっぷりとつかって、危機感のない社会をつくり上げてしまいましたが、国全体で総力を挙げて、情報に関しての管理体制というのを再構築していかなければならないと私は思います。
  次いで、教育再生・東京円卓会議の成果と今後の取り組みについてでありますが、我が国が激変する世界に伍していくためには、若者のはかり知れない可能性を開花させ、日本を背負って立つ人材を鍛え直していくことが急務であります。そのためには、戦後教育を根本から見直して、確かな教育の再生に取り組まなければならないと思います。
  そのよすがとすべく、教育再生・東京円卓会議を設置し、先日、その第一回の会議を開きました。各委員は、いずれも高い見識と信念を持って、教育の現場に精通された方々で、示唆に富んだ貴重な意見を提案いただきました。会議では、学生寮の共同生活や体験学習など、子どもたちに人間関係での原体験を積ませることで、身体性を備えた真の教養がはぐくまれていく実例が紹介されました。また、その原体験の仕組みを教育に取り込むことは、バーチャルな仮想の世界に閉じこもっている今の子どもたちにとって、とりわけこれは有効な手だと私は思います。
  また、学生の理数系離れが進んでおりまして、研究者や学生の質が甚だ低下しているというような話がありました。国際社会の中で取り残されつつある日本の姿を象徴する危険な兆候だと私は思います。世界に誇るべき我が国の科学技術を守るためには、早急に大胆な対策を講じなければ、これは間に合わない。
  さらに、若者の内向き志向が進む中で、グローバル人材の育成についてもさまざまな意見が出されました。他国の文化や思想を理解するためには、しかし、何よりもまず自国の歴史や文化、言語というものをしっかり理解させること、習得させることが必要だと私も思います。
  その上で、これまでないがしろにされてきた英語による表現力、会話能力を身につける実践的な英語教育こそ力を注がねばならぬと思いますが、しかし、その前にやはりきちっとした日本語を私たちは教えなければならぬと思います。
  今回の会議では、具体的に意見や提案がなされまして、非常に参考になりました。今後、科学技術や芸術、スポーツなど、幅広い視点から東京円卓会議の議論を重ねて、出された意見を集約しながら、具体的な改革案を導き出していきたいと思っております。
  他の質問については、警視総監、教育長、技監から答弁いたします。
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◯警視総監(樋口建史君) サイバー攻撃に関する三点のご質問でございました。
  まず、サイバー攻撃の認識でありますけれども、もうご説明のとおりでありまして、政府機関や民間事業者がサイバー攻撃を受ける事案が続発をしておる状況にあります。こういった攻撃は、国家の安全保障や社会経済活動に大きな支障を生じさせるおそれがあるわけでありまして、治安上も非常に大きな脅威であると認識をしております。
  サイバー攻撃というのは、これまたご承知のところでありますけれども、その態様と目的によりまして、次の二つの類型に分類されます。
  一つはサイバーインテリジェンスでありまして、これは情報通信技術を用いた諜報活動であります。代表例が、標的型メールによるウイルスの送り込みであります。その手口は、多くの場合は、まず攻撃者が政府機関や民間事業者の職員に対しまして、通常の業務の真っ当なメールであるかのように装いまして、不正プログラムが添付されたメールを送信する。これを受信した職員等が開封をいたしますと、当該コンピューターがウイルスに感染する。それで情報が盗み取られるというものであります。
  ことしは防衛産業関連事業者等に対しまして、この標的型メールによると見られるサイバー攻撃が行われていたことが判明しているところであります。警視庁におきましては、現在捜査を続けておるところでございます。
  もう一つの類型がサイバーテロであります。このサイバーテロと申しますのは、政府機関でありますとか金融、電力、通信などの社会の重要インフラともいうべき分野の企業等の主要なコンピューターシステムに対する電子的な攻撃でありまして、これまたこれまでに政府機関のウエブサイトに対して大量のデータを送信しまして、機能を麻痺させる、停止させる、DDoS攻撃、ディストリビューテッド・ディナイアル・オブ・サービスでありますが、相当件数発生をしておるところであります。
  次に、このサイバー攻撃に対する取り組みはどうだということでございますが、まず、サイバーインテリジェンスにつきましては、ことしの八月でありますが、警察庁の主導で、警視庁を含む全国警察と、攻撃にさらされるおそれのある全国約四千の事業者等によりまして、これを束ねまして、サイバーインテリジェンス情報共有ネットワークを設置いたしました。実際の攻撃手法、攻撃手口等の情報を共有するなど、今、進めておるところでございます。
  それから、サイバーテロにつきましては、これは若干古いのでありますが、既に平成十三年に警視庁及び東京都と約五十の民間のインフラ事業者で構成するサイバーテロ対策協議会を設置しておりまして、この協議会を通じて、定期的に開催しておるわけでありますが、情報共有をしておりますほか、知事から先ほど説明がありましたけれども、実際にこの訓練、サイバーテロが発生した場合を想定しまして、攻撃をまず、二十四時間、サイバーパトロールをしているものですから、察知した警察から、攻撃を受けている企業に対して通報する。そして、当該企業による事実確認が速やかに行われて、それから被害拡大を防止するための通信の遮断が行われる。さらにはその後の捜査に資するための記録の保全が行われるといった一連の訓練を、実際の機材を用いて共同訓練を実施するなどいたしておるところであります。
  それから、最後に、サイバー攻撃に対する今後の対策、事案発生の際の対応はどうかということでございましたけれども、要するに、日常の問題としてどれだけ実のある情報共有が制度的にできているか、そしてまた、実際の攻撃にさらされた場合において、どれだけ的確な初動措置がとられるか、これが問題であり、課題であるわけでありますから、今、先ほど申し上げましたこのサイバーインテリジェンス情報共有ネットワークとサイバーテロ対策協議会、こういった官民連携の枠組みを日常的に動かし、活用する、活性化することが大変重要であるということを通じて、防御意識をまず全般的に高めることが大変重要であるとも考えておるわけでありますが、諸課題に対応していきたい。
  特にサイバー攻撃発生後の捜査もこれまた大きな課題なんですけれども、捜査のあり方につきましては、このサイバー空間はまさに日進月歩の世界でございますので、最高水準の最高レベルの情報セキュリティーの専門機関、専門家の知見をいかに取り込むか、活用できるか、それが非常に重要であるということで、今、取り組みをしておるところでございます。
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◯教育長(大原正行君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
  まず、学校における防災教育についてでございます。
  都教育委員会はこれまで、災害時のあらゆる場面で児童生徒が的確な判断と行動ができるよう、各学校における防災教育の充実に取り組んでまいりました。そこで、東日本大震災から一年となる来年三月を東京都防災教育点検月間といたしまして、区市町村教育委員会とも連携して、全公立学校のこれまでの取り組み成果を点検いたします。
  今後は、小中学校用に新たに作成する防災教育教材「三・一一を忘れない」等をもとに、学校における教育活動全体を防災の視点から見直し、清掃活動や整理整とんの徹底等、日常から、自主自立を重んずる自助の心を育ててまいります。あわせて、地域や関係機関と連携した避難訓練や防災訓練等を実施いたしまして、避難所等で進んで他の人々の助けとなれるよう、共助の心を育てる防災教育を推進してまいります。
  次に、新たな都立高校改革推進計画の基本的な考え方についてでございます。
  都立高校が、厳しい国際社会の中で強く生き抜く力を生徒に身につけさせるには、進路希望が進学、就職のいずれであっても、高校生活を通じて社会人として求められる能力と態度を育成する必要があると認識しております。そのため、教員が生徒の能力、適性を理解した上で、学校の設置目的に応じた指導を行い、生徒一人一人の潜在能力を顕在化し、最大限に伸ばすこと、また、それに必要な教員の資質、能力の向上と組織的な学校経営の強化を、改革の基本的な考え方としたところでございます。
  都教育委員会は、こうした考え方に立ち、生徒が進路希望を実現するとともに、みずからの成長を実感することができる学校となるよう、都立高校の改革を進めてまいります。
  次に、教員の人材育成についてでございます。
  生徒の個に応じた教育を推進するためには、まず何よりも教員がプロ意識を持って、生徒一人一人の可能性を見出し、それを高めようとする強い情熱が必要でございます。そのため、校長の強いリーダーシップのもと、学年や教科といった壁を超えて、学校全体で個々の生徒の課題を共有化させてまいります。また、主幹教諭、主任教諭が若手教員を育成する過程で、例えば互いの授業を見て研究させるなど、教員が相互に競い合って成長していく組織風土を培ってまいります。こうした取り組みを通じて、教員の組織人としての意識を高めますとともに、学習指導、生活指導、進路指導などの力を向上させ、新たな都立高校改革を担い得る人材を育成してまいります。
  次に、次世代リーダー育成についてでございます。
  世界を舞台に、さまざまな分野や場面で活躍できる若者を育成していくことは、我が国の将来の発展にとっても、これからの時代を生きる若者にとっても、極めて重要でございます。そのため、次代を担う若者を徹底的に鍛え、みずからの考えを臆することなく主張できる能力やチャレンジ精神などを身につけさせなければなりません。
  都教育委員会は、こうした視点から、都立高校生に海外で学ぶ意義や留学に向けた手順、事前学習などの情報を伝えるとともに、広く社会に留学の成果を発信するなど、新しい時代のリーダーを育成するため、意欲ある都立高校生を留学させる東京都独自の仕組みを新たに開発してまいります。
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◯東京都技監(村尾公一君) 五点のご質問にお答えいたします。
  初めに、東部低地帯における河川の耐震対策に関する現状と見通しについてでございますが、東部低地帯に暮らす約三百万人の生命と財産を大地震による水害から守るため、河川施設の耐震対策が極めて重要であります。
  都はこれまで、耐震性を向上させるため、スーパー堤防整備や江東内部河川の整備、水門等河川施設の耐震補強などの事業を推進してまいりました。
  整備に当たっては、河川施設に係る国の基準に基づき、関東大震災時の震度に対する耐震対策を、護岸や水門、排水機場等において、危険度の高い区間から優先的に行っております。平成二十年度末には、東部低地帯を囲む隅田川、中川、旧江戸川の外郭堤防の対策を完了させるなど、二十二年度末で耐震対策を要する総延長約百六十五キロメートルに対して、約九十七キロメートルが完了しております。
  また、水門や排水機場におきましても、対策が必要な二十カ所のうち、民地側の地盤が満潮面より高い二水門を除く十八カ所で完了しております。
  残る六十八キロメートルの区間のうち、六十六キロメートルにつきましては、民地側の地盤が満潮面より高い地域、または関東大震災時の震度に対する対策が完了している水門の内側にある地域であり、一定の安全性を有しております。
  このため、水門がなく、後背地が満潮面以下である約二キロメートルにつきましては、係留船対策など地元区と連携を図りながら、優先して耐震対策を進めてまいります。
  さらに、新たに東京都防災会議が示したマグニチュード八クラスの海溝型地震等を想定して、各施設の耐震性の照査を進めるとともに、専門家を含む技術検証委員会で耐震性の向上策等について検討を行っており、これを踏まえて、残る六十八キロメートルを含む整備計画を策定してまいります。
  今後とも、高度防災都市東京の実現に向け、財源確保に努めて、全力で耐震対策に取り組んでまいります。
  次に、中小河川における今後の整備のあり方についてでございますが、現在の整備水準を超える降雨が近年頻発していることから、雨の強さや範囲、継続時間などの降雨特性の変化や土地利用状況等の地域特性に適切に対応した河川整備を進めていくことが必要であります。このため、都は、本年六月に設置した専門家による委員会におきまして、中小河川における今後の整備のあり方について検討を進め、今般、委員会から中間報告を発表いたしました。
  ここでは二つの提言がなされており、一つ目は、地域の降雨特性を的確に反映させた目標整備水準を設定することであります。具体的には、これまで大手町の観測所のみの降雨データに基づき、都内全域を一律に設定してきた整備水準を、八王子の観測所において三十年間のデータが蓄積され、多摩部においても降雨の確率的な評価が可能になったことから、今後は、区部は大手町、多摩部は八王子のデータに基づき、それぞれ設定することとし、区部は一時間に六五ミリから八〇ミリ、多摩部は六〇ミリから七〇ミリの範囲で目標水準を定めるよう検討することが提言されております。
  二つ目は、一時間に五〇ミリを超える降雨に対しては、道路下や公園等の公共用地の利用が可能で事業効果も速やかに発現できる調節池による整備を基本的に進めることであります。施設配置の検討に際しては、一時間に一〇〇ミリを超えるような局地的集中豪雨が多発していることを踏まえ、現在の、既存の大規模調整池を連結するような施設の有効活用も図るなど、工夫をすべきであるとしております。
  今後は、平成二十四年夏を目途に最終報告を取りまとめた後、社会経済情勢の動向を踏まえて、都としての中小河川における整備方針を策定してまいります。
  次に、土砂災害に対する取り組みでございますが、集中豪雨や台風などによる土砂災害から都民の生命や財産を守るためには、ハード、ソフト両面から対策を推進することが重要であります。このため、都はハード対策として、土石流やがけ崩れの危険性が高い箇所、過去に災害が発生した箇所におきまして、砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業などを実施しており、今年度は二十八カ所で事業中であります。また、老人福祉施設など避難に際し援護を必要とする方が滞在する災害時要援護者施設のある区域については、区市町村に対して警戒避難体制の整備を促すとともに、必要に応じ、急傾斜地崩壊対策事業などを実施してまいります。
  一方、ソフト対策としては、土砂災害防止法に基づく基礎調査を実施し、土砂災害警戒区域等の指定を進めております。今年度は約千三百カ所を指定し、年度末には西多摩地域及び八王子市で四千カ所を超える予定でございます。
  土砂災害危険箇所につきましては、当初、航空写真や地形図をもとに、島しょ部を含む都内全域で約八千カ所と想定しておりましたが、区域指定に当たり、丘陵地の開発状況を詳細に把握するとともに、住民の方々の了解を得ながら土地に立ち入るなど、現地調査を行いました。その結果、新たな危険箇所の判明や、一つの想定区域が複数の区域に分割されたことなどにより、現時点で一万五千カ所にふえる見込みとなりました。
  今後とも、土砂災害警戒区域等の指定を早急に進めるなど、関係自治体と連携して土砂災害対策を推進し、都民の安全確保に全力で取り組んでまいります。
  次に、木密地域における都市計画道路整備についてでございますが、木密地域は老朽化した木造住宅や狭隘な道路が多いことから、震災時に火災の延焼による被害の危険性が高い地域であります。このため、延焼遮断のための空間確保や建てかえによる沿道建物の不燃化促進に効果が高く、安全な避難経路や緊急車両の通行路ともなる都市計画道路の整備が極めて重要であります。
  これまで都は、第三次事業化計画の優先整備路線を位置づけるに当たって、防災都市づくり推進計画で指定した約二千四百ヘクタールの重点整備地域も考慮して路線を選定し、都市計画道路の整備に取り組んでまいりました。
  今般の震災を受け、延焼遮断帯形成に資する都市計画道路整備の対象を、重点整備地域から整備地域にまで拡大し、全体として約七千ヘクタールについて、現在、優先整備路線以外も含め、基礎調査を実施しております。
  今後、事業を加速する新たな生活再建の方策などの検討を進め、東京の弱点の一つである木密地域において、燃え広がらないまちの実現を目指し、都市計画道路整備に全力で取り組んでまいります。
  最後に、外環整備のこれまでの進捗状況と今後の都の取り組みについてでございますが、外環は首都圏から全国に延びる高速道路網を環状に連結し、羽田空港や京浜港など交通、物流の要衝をネットワークさせていくためにも欠くことのできない重要な幹線道路でございます。加えて、懸念される首都直下地震や東海地震などにおいても、東京のみならず、日本の交通、物流の東西分断を防ぎ、国全体の防災機能を高めるため、そのかなめとなる外環は一刻も早く完成させなければなりません。
  これまで、事業着手二年余りの間、大泉、中央、東名の各ジャンクション地域において道路区域が決定され、計画的な用地取得が行われております。とりわけ都が受託している大泉ジャンクション地域においては、これまでに約一五%の用地を取得しており、引き続き強力に用地取得を推進してまいります。
  外環は、既に確保されている用地に立て坑をつくることにより、大深度地下トンネルのメリットを生かし、シールドトンネル工事に着手可能な状況にあります。このため、都は、平成二十四年度の本体工事費を含む整備促進に必要な予算を確保するよう、国に強く求めてまいります。
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◯財務局長(安藤立美君) 来年度の予算編成についてでございますが、大震災や海外景気の影響など、現在の社会経済情勢のもとにおきましては、都税収入が大きく改善することは考えにくく、厳しい財政環境が続くものと認識をしております。
  こうした中にありましても、都民の安心・安全を取り戻す施策や、雇用創出効果や経済波及効果のある投資的経費など、東京の活力を高めていく確かな手だてには、財源を重点的に振り向けていかなければならないと考えております。
  同時に、厳しい状況であるからこそ、事業評価の取り組みなどを通じて、一つ一つの施策の効率性、実効性を高める努力を今まで以上に徹底いたしまして、財政の対応力の確保に配慮することも不可欠であります。
  今、予算編成のさなかにありますけれども、これらの二つの取り組みを通じ、財政の健全性を維持しつつ、都政の諸課題にしっかりと対応し、都民の皆様の期待にこたえる予算とするべく、引き続き作業を進めてまいります。
  法人事業税の暫定措置につきましては、都は国に対し、一貫して撤廃を訴えてまいりました。法律では、今年度末までに税制の抜本改革を行うことを義務づけており、暫定措置についても同時に撤廃すべきものと位置づけております。国が行っております税制の抜本改革の中で、約束どおり撤廃するよう強く求めてまいります。

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◯総務局長(笠井謙一君) 五点のご質問にお答えをいたします。
  まず、被害想定についてでありますが、東日本大震災の経験を踏まえ、平成十八年に策定した被害想定を再検証する必要があることから、都は、本年九月に東京都防災会議に専門的知見を有する委員から成る地震部会を設置し、見直しに着手をいたしました。見直しに当たりましては、地震部会において、従来の首都直下地震に加え、海溝型の地震として関東地震を、活断層で起こる地震として立川断層帯地震を想定地震として選定し、来年春を目途に被害想定を検討していくこととしております。
  こうしたさまざまなタイプの地震について被害想定を行うことで、東京を襲う地震像や被害を客観的に示し、防災対策に生かしてまいります。
  次いで、帰宅困難者対策についてでありますが、東日本大震災の教訓をもとに、都は、猪瀬副知事と内閣府政策統括官を共同座長とし、近隣自治体を初め、経済団体、鉄道や通信など、各分野の事業者団体から成る帰宅困難者等対策協議会において、多面的な対策について議論を積み重ね、一斉帰宅の抑制の徹底に向け基本方針を取りまとめたところでございます。
  今後、この基本方針や協議会での議論を踏まえ、従業員の施設内待機やそのための三日分の備蓄、駅等での利用者保護や一時待機施設の確保、安否確認手段の確保、帰宅支援等を盛り込んだ帰宅困難者対策のための新たな条例の制定に着手をいたします。
  加えて、協議会での議論を検証するため、東京駅、新宿駅、池袋駅の三つのターミナル駅を主たる会場として、来年二月三日に帰宅困難者対策訓練を実施いたします。こうした取り組みを通じて、実効性ある帰宅困難者対策を進めてまいります。
  次いで、大規模集客施設における発災時の利用者保護でございますが、先般、帰宅困難者等対策協議会で取りまとめた一斉帰宅抑制の基本方針では、大規模な集客施設において、事業者等は、区市町村や関係機関等と連携し、利用者を保護するため、適切な待機や誘導に努めることとしております。大震災発生時に大規模な集客施設において利用者の保護を図ることは、帰宅困難者の発生による混乱と事故を防止する上で極めて重要であることから、今後、この基本方針を具体化するために、それぞれの施設ごとに事業者が取り組むべき事項や相互の連携の仕組みづくり等について引き続き協議会で議論を重ね、実効ある対策を講じてまいります。
  次いで、留学実績を評価する入学者選抜についてでありますが、首都大学東京は、広く国内外で起きているさまざまな事象に関心を持ち、都市社会の課題を発見し、その解決に向けてリーダーシップを発揮する人材の育成を目指しております。このため、これまでも、学力試験を中心とした一般選抜以外に、多様な能力や資質を持つ学生を受け入れるため、推薦入試、AO入試、特別選抜などの入学者選抜を行い、優秀な学生の確保に努めてまいりました。
  今後も、大学を取り巻く環境変化を鋭敏に見きわめながら、大学が求める学生像に合致した意欲ある学生を獲得できるよう、入学者選抜方法について創意工夫を進める中で、留学した生徒の能力や資質を生かせるような仕組みについても検討してまいります。
  最後に、スポーツ祭東京二〇一三を契機とした多摩振興についてでございますが、スポーツ祭東京二〇一三は、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典として開催する初めての大会でありまして、全国からも注目されております。
  この大会は、全国から多数の選手や関係者などが訪れるとともに、地元の自治会や商店会、ボランティアなども参加し、地域が一体となって取り組む大会として、多摩地域の振興発展にとって絶好の機会であると認識しております。
  この機をとらえて、多摩全体の魅力や可能性を再認識し、広く発信していくとともに、大会を通じて生まれた地域の連携や人々のきずなを継承していくことが重要であります。この大会を契機に、活力と魅力にあふれる多摩地域の実現につながる取り組みについて、関係局や市町村と十分に連携を図りながら検討してまいります。
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◯福祉保健局長(杉村栄一君) 五点のご質問にお答えを申し上げます。
  まず、災害医療体制の充実についてでございますが、都は現在、大規模災害時における医療提供体制を確保するため、都内すべての病院を対象に、耐震化や自家発電設備などに対する支援を行っておりますが、今回の震災では、改めて、発災直後から中長期に至るまで、被害状況の迅速な把握、日々変化する医療ニーズに応じた医療救護体制の確保、その基盤となる地域における仕組みづくりの重要性が明らかになりました。
  そのため、都は、医療関係者や警察、消防などから成る災害医療協議会を今月中に設置をいたしまして、被害情報の一元化、医療資源の効果的な配分、傷病者等の後方搬送などを迅速かつ効果的に実施するために必要な体制などについて、検討を開始いたします。
  また、二次保健医療圏ごとに、地域災害拠点中核病院を中心といたしました、仮称でございますが、地域災害医療連携会議を設置いたしまして、協議会での検討結果を踏まえ、災害医療コーディネーターの設置も含め、災害医療における具体的な連携の方策などを検討いたします。
  こうした取り組みによりまして、大規模災害発生時における医療機能の確保に向け、地域と連携をした災害医療体制の一層の強化に努めてまいります。
  次に、震災に備えた物資の備蓄対策についてでございますが、東日本大震災におきましては、自治体の備蓄品だけでは被災地のニーズに対応できなかったほか、送る側、受ける側とともに、物資の輸送手段や搬入搬出に必要なスペース、機材、要員の確保などについて多くの課題が生じました。
  これらを踏まえまして、現在、都が被災した場合を想定し、必要な物資の品目、量や、その備蓄、調達方法、民間物流業者のノウハウを生かした物資の効率的な搬送、他県等からの物資受け入れの方法などに関し、民間シンクタンクを活用いたしまして、専門的な視点から調査検証を行っております。
  また、検証に当たりましては、実効性ある対策に結びつけられますよう、課題ごとに国、関係団体等の意見も幅広く聴取いたしております。
  検証結果は今年度中に取りまとめ、災害時に迅速かつ的確に備蓄、搬送体制が機能するよう、来年度の東京都地域防災計画の修正に反映させてまいります。
  次に、都のがん対策の取り組みと成果についてでございますが、都は、平成二十年三月に作成をいたしました東京都がん対策推進計画におきまして、予防の重視、二つ目に高度ながん医療の総合的な推進、三つ目、患者、家族の不安の軽減、四つ目にがん登録と研究の推進、この四つの基本方針を定めまして、総合的ながん対策に取り組んでまいりました。
  その結果、一点目の早期発見のかぎとなる地域、職域を含めたがん検診につきましては、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんのいずれにおきましても、計画策定時と比較して七%から一五%、受診率が上昇いたしております。
  また、二点目の、高度ながん医療を提供するがん診療連携拠点病院等の整備につきましても、二十四カ所から本年四月には三十四カ所となり、整備目標を達成いたしました。
  さらに、三点目でございますが、がん患者の生活の質を全体的に高めるため、緩和ケアに精通した医師を育成する目的で実施いたしております研修の修了者は、本年八月現在で二千五百二十四名となっております。
  四点目のがん登録でございますが、院内がん登録につきましては、既に各拠点病院等の登録データの収集及び分析に取り組んでおりまして、この実績を踏まえ、地域がん登録につきましても、来年七月からの開始に向けまして、都立駒込病院内に地域がん登録室の整備を現在進めております。
  こうした取り組みによりまして、現在の計画で全体目標の指標として掲げました七十五歳未満のがんの年齢調整死亡率は、この五年間で約一〇%減少いたしております。
  次に、東京都がん対策推進計画の改定についてでございますが、都は、総合的ながん対策を一層推進するため、現在行われております国の検討結果も踏まえまして、平成二十五年三月を目途に東京都がん対策推進計画を改定いたします。
  次期計画では、これまでの施策の成果を踏まえ、東京都医療連携手帳を用いた地域におけるきめ細かい医療連携体制や、患者、家族が希望する療養場所で質の高い緩和ケアを受けられる体制の一層の整備などを盛り込みたいと考えております。また、平成二十四年度に開始をいたします地域がん登録につきましても、がん対策の評価や新たな対策の企画立案に活用してまいります。
  計画の改定に当たりましては、東京都がん対策推進協議会のもとに専門部会を設置いたしまして、課題ごとに検討を行い、都民の意見も募集する予定でございます。
  最後に、特別養護老人ホームの独自基準についてでございますが、都は、国におきまして権限移譲に係る法案が審議をされております昨年十一月の段階から、学識経験者や現場の施設長等を交えた検討委員会を設置いたしまして、施設整備等のあり方に関して検討を行ってまいりました。
  委員会では、広い用地の確保が困難であること、建設コストが高いことなど、大都市東京の現状を踏まえた議論を行い、本年九月に、入所者の安全・安心に最大限配慮しながら都独自に基準を緩和する項目といたしまして、廊下幅の下限を二・七メートルから一・八メートルにすること、居室の定員や特別避難階段の設置要件を緩和することなどの五項目を取りまとめました。
  現在、十月に改めて示された厚生労働省の基準も踏まえながら、委員会の検討結果を盛り込んだ新たな条例制定の準備を進めております。
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◯都市整備局長(飯尾豊君) 防災対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
  まず、木密地域不燃化十年プロジェクトについてでございますが、木密地域の整備改善は、地域のまちづくりや住民の生活に直結した課題でございまして、地元区の果たす役割が大変重要でございます。
  このため、十年プロジェクトでは、まず木密地域の現状をきめ細かく調査するとともに、区と十分な意見交換を行うなど、解決すべき課題を的確に把握し、実効性のある施策を立案してまいります。また、区からの積極的な提案を受けとめ、都と区がこれまで以上に連携して、道路整備や建物の不燃化などを計画的、重点的に進める新たな仕組みを構築してまいります。
  これらの取り組みにより、危険度の高い地域において火災が発生しても燃え広がらないようにすることを目指して、木密地域の不燃化を加速させてまいります。
  次に、大規模な商業施設の耐震化についてでございますが、百貨店、ホテル、劇場等、不特定多数の方が利用する大規模な商業施設の所有者には大きな社会的責務があり、主体的に耐震化を進めることが重要でございます。
  都はこれまで、耐震化推進都民会議等を活用し、関係団体と連携して情報提供や普及啓発を所有者に対して行ってまいりました。
  今後はさらに、耐震性のあることが一目でわかる新たなマークの表示制度を早期に開始し、耐震化に向けた取り組みを強く促してまいります。また、一刻も早く耐震化を進めるために、耐震改修促進法に基づく指導、指示、公表等を徹底することにより、耐震化の実現に向けて万全を期してまいります。
  東日本大震災を受け、都民の耐震化への関心もかつてなく高まっておりますことから、この機をとらえ、大規模な商業施設の耐震化を推進し、災害に強い東京を実現してまいります。

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◯生活文化局長(井澤勇治君) 三点のご質問にお答えいたします。
  まず、地域の底力再生事業助成についてでございますが、地域の結びつきを強化して共助を推進いたしますため、広域的な立場から、都内全域における町会、自治会の組織力の底上げを図ることは、都の重要な役割と考えております。
  都はこれまで、地域の底力再生事業助成によりまして、町会、自治会に対し、他の地域のモデルとなる先駆的な取り組みを対象に単年度の助成を行い、地域活動の活性化を促進してまいりました。
  今後は、さらに多くの町会、自治会が本事業を活用し、地域力の向上に向けた息の長い活動ができますよう、防災対策を初め、地域の課題解決のための地道な取り組みを幅広く対象として、継続的な助成を行うなど、地域の底力再生事業助成の一層の充実に努めてまいります。
  次に、私立高校の生徒に対する留学支援についてでございますが、都内の私立高校は、それぞれの学校における教育方針に基づきまして、生徒の留学先として海外の学校と提携するなど、既にさまざまな独自の取り組みを進めております。こうした状況等を踏まえ、私立高校を対象とした留学支援のあり方について、今後検討してまいります。
  最後に、就園奨励特別補助についてでございますが、幼児教育は、生涯にわたる人格形成や学力、能力の基礎を培う上で、極めて大切なものと考えております。国の幼稚園就園奨励費補助は、この幼児教育を推進し、保護者の負担軽減を図るための重要な制度でございますが、制度変更により多くの保護者の負担が増加いたしました。
  都は、国に対して改善を強く要望いたしますとともに、激変緩和措置として、就園奨励特別補助を導入し、二十二年度には五億三百万余円を補助いたしました。しかし、本年度においても負担増が解消されないため、特別補助を実施することとし、六億七千三百万余円を予算に計上いたしましたが、これは本来、国の責任で是正すべきものでございます。
  国の来年度予算の概算要求では、補助単価を五千円引き上げておりますが、これが満額認められたとしても、二十一年度に比べなお一万四百円の負担が残ります。都は今後とも、負担増の解消について引き続き国に強く働きかけてまいります。
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◯消防総監(北村吉男君) 地域住民の初期消火活動能力の向上方策についてでありますが、お話のとおり、木造住宅密集地域において住民が初期消火を行うことは減災の効果が高いものであると認識しており、これまでも消防団や関係機関と連携し、防災訓練を積極的に推進しております。
  今年度は、世田谷区及び杉並区において、自助、共助に着目した初期消火体制等に関するモデル事業を行っております。具体的には、地域住民が迅速かつ効果的に初期消火活動を行うため、防火水槽からの取水が容易となるよう、構造等に改良を加えているほか、消防車両が接近できない狭隘道路における消火栓の整備を促進しております。
  また、消火資器材についても、従来の消火器に加え、軽可搬消防ポンプや消防用ホースを消火栓に簡単に接続するための器具でありますスタンドパイプを有効に活用することについて検証しております。
  今後は、この結果をもとに、住民が主体となったより実践的な訓練を展開し、初期消火活動能力を高め、地域の防災力向上に努めてまいります。
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◯環境局長(大野輝之君) 二点のご質問でございます。
  まず、災害廃棄物の安全の確認についてでございますが、災害廃棄物の処理に当たりましては、放射能に関する都民の不安を払拭することが不可欠でございます。十一月から開始しました岩手県宮古市の災害廃棄物の受け入れ処理に当たりましては、放射能につきまして、あらかじめ現地で焼却試験を行うとともに、搬出前に放射線量の測定を三段階で行っております。さらに、都内の受け入れ施設でも、放射線量や排ガス等の測定を行い、すべて基準値以下であり、安全が確保されていることを確認しております。
  これらの測定結果は、逐次、都のホームページで公表するとともに、測定マニュアルも公表しております。
  宮城県女川町からの災害廃棄物につきましても、同様に安全を確認しながら、着実に受け入れを進めてまいります。
  次に、今後のエネルギー施策の取り組みについてでございますが、東京におけるエネルギー供給に関しましては、低炭素な高度防災都市を実現する観点から、地産地消の東京産エネルギーの創出に主体的に取り組むことが重要でございます。
  このため、まず第一に、猪瀬副知事をリーダーとするプロジェクトチームで検討を進めております百万キロワット級の天然ガス発電所につきましては、選定した五カ所の都有地について、外部の専門的な知見も活用しながら、技術面、事業スキーム、採算性などの詳細な検証に着手をしております。
  第二に、地域分散型発電の推進につきましては、東京都技術会議におきまして、各局が横断的に検討し取りまとめました、都民生活を守る施設への自立分散型電源の設置と、低炭素なまちづくりに向けた自立分散型電源の設置という二つの方針を基本に、取り組みを進めてまいります。
  具体的に申し上げますと、都庁舎の電源の多元化や、都立病院や応急復旧活動の拠点となる防災公園への自家用発電機の設置など、災害時に機能維持が必要な施設への電源の設置を推進してまいります。
  これに加えまして、臨海副都心への分散型エネルギーネットワークの導入や、民間都市開発と連動したエネルギー効率の高いコージェネレーションシステムの導入を推進していきます。
  さらに、第三の柱といたしまして、再生可能エネルギーにつきましては、このたび集合住宅等を対象に開始しました新技術補助事業を通じた太陽熱利用機器の導入を図るとともに、太陽光発電設備の初期導入負担を軽減するスキームを構築するなど、東京にふさわしい都市型の再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を図ってまいります。
  以上、申し上げましたように、大規模な天然ガス発電所の整備、地域分散型発電の推進、再生可能エネルギーの導入という三つの柱に基づく具体的な取り組みを進めまして、低炭素化を進めながら、東京のエネルギーの安定供給に努めてまいります。

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◯下水道局長(松田二郎君) 二点のご質問にお答えいたします。
  まず、下水道局における冬の節電対策についてでございますが、大幅な電力不足が予想されたことしの夏は、夜間に電力を蓄え、昼間のピーク時に利用するナトリウム硫黄蓄電池、NaS蓄電池の活用や、きめ細かな節電などにより、受電電力の抑制に大きく貢献をいたしました。
  冬の電力需要は夏に比べて低いものの、大口需要者である下水道局には、引き続き節電が求められております。当局の年間使用電力量の約四分の一を、水処理過程で微生物に空気を供給するために使用しておりますが、水温の低い冬場は微生物の活動が低下し、処理水質が悪化しやすいので、送風量をふやすため、使用電力量がふえる傾向にございます。
  そこで、水質の状況を確認しながら、送風機の運転をきめ細かく調整するなどの工夫により使用電力を抑制し、節電に努めてまいります。
  また、ポンプの運転に当たりましては、晴天時には、下水をできるだけ下水道の幹線内に貯留し、水位を高くして、ポンプでくみ上げる水位の差を小さくすることで、使用する電力の削減を図ってまいります。
  さらに、気温の急激な低下などにより電力需要が増大する事態を想定しまして、電力会社などから電力使用抑制の要請があった場合には速やかに対応できるよう、水再生センターやポンプ所にある非常用発電設備、これは都内に約百カ所ございますが、これらが稼働できる体制を整えてまいります。
  次に、下水道事業における中小企業などの持つ技術の活用についてでございますが、新たな技術の開発に当たりましては、私ども下水道局や民間企業がそれぞれ単独で研究開発を行う場合と、民間企業の持つすぐれた技術と当局の持つノウハウを組み合わせて行う場合がございます。
  民間企業との共同研究のうち、中小企業と連携して技術開発した事例といたしましては、大きな下水道管の調査を行うテレビカメラを搭載したロボットなどがございます。
  しかしながら、開発した新技術の中には実用化に至らないものもあり、中小企業などの開発意欲を高めることが難しかったこともあって、これまで中小企業がかかわった共同研究は約四分の一程度になっております。
  そこで、技術開発へのインセンティブを向上させ、中小企業の参加を促進するため、共同研究した新技術を開発完了後に導入する工事をあらかじめ指定して、共同研究者を公募する新たな仕組みを導入いたしました。その第一弾として、本年十月に永久磁石を用いた効率のよいモーターの研究を公募し、共同研究者を決定いたしました。
  今後とも、中小企業など民間企業との共同研究の仕組みを充実し、新技術の開発に不断に取り組み、下水道事業が抱える課題を解決し、さらに東京の産業力の強化にも貢献をしてまいります。
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◯産業労働局長(前田信弘君) 六点のご質問にお答えいたします。
  まず、年末対策についてでありますが、円高の進行など景気の先行きが懸念される中で、資金需要がふえる年末に向けまして、中小企業のニーズにかなった金融支援を速やかに行うことが必要でございます。
  このため、本年四月から実施している制度融資の円高対応メニューについて利用要件を緩和いたしまして、輸出企業に限らず、輸入品との価格競争にさらされている企業など、円高で影響を受けている企業を幅広く対象といたしました。
  融資の申し込みにつきましても、過去三カ月間の売上実績を待つことなく、売り上げの減少が見込まれる時点で速やかに行えるようにいたしました。さらに、年末の資金繰りを支援するため、短期の運転資金に迅速に対応するつなぎ融資の上限額を引き上げております。あわせて、都が独自に実施している、地域の金融機関と連携した新保証つき融資につきましては、保証料率を引き下げることにより、利用者の負担軽減を図ります。
  これらに加えて、経営や資金繰りの相談を受け付ける年末特別相談窓口を設置いたしまして、事業者の相談にきめ細かく対応するなど、中小企業の支援に万全を期してまいります。
  次に、雇用創出と学生の就職に向けた取り組みについてであります。
  都はこれまでも、厳しい雇用情勢に対応し、失業された方々に対する雇用創出を図るため、区市町村とも連携して、昨年度を大きく上回る約一万八千人の規模で、緊急雇用創出事業に取り組んでまいりました。しかしながら、雇用情勢は依然として厳しく、ご指摘のとおり、失業された方々に対し、速やかに新たな雇用創出を図ることが重要でございます。
  このため、都は区市町村や民間事業者と連携し、年末から年度末に向けた新たな事業を十億円規模で追加実施することによりまして、さらなる雇用創出を図ってまいります。
  また、厳しい状況に置かれた学生の就職を後押しするため、都は都内経済団体に対し採用拡大の要請を、本年七月に続きまして、年内にも再度実施いたします。
  さらに、都内中小企業と新規学卒者等とのマッチングの場である合同就職面接会を、既に七月と十一月に開催し、合わせて三千六百十一人が参加いただいたところでありますが、来年二月にも開催を予定しております。
  今後とも、現下の厳しい雇用情勢に迅速かつ的確に対応してまいります。
  次に、産業の空洞化への対応についてでありますが、ことしの夏以降の歴史的な円高は、欧州の金融危機などにより、長期化が懸念されております。こうした中で、産業の空洞化の無秩序な進行は、東京の産業の将来に大きな影響を与えるおそれがあり、あらゆる手段を用いて速やかに対応していくことが重要と考えております。
  そのためには、中小企業がすぐれた技術力を伸ばし、成長の期待される産業分野で活動する企業をふやしつつ、ものづくりの基盤となる技術を持つ企業の集積を地域に確保することが必要となります。
  これまで都は、国内外の市場で競争力を発揮して、東京での生産活動を継続できる高付加価値の製品や技術を新たに開発する中小企業の取り組みを支援してまいりました。また、市場拡大が見込まれる医療や福祉のビジネス分野等での開業を後押しするため、低廉なコストで活動拠点や経営ノウハウを提供するなど、創業支援を通じ、都内での事業展開を活発にする施策にも取り組んでまいりました。
  さらに今後は、基盤技術の担い手である中小企業の集積の維持を課題として、これまでの創造的都市型産業集積創出助成による地域特性を生かした集積支援のノウハウを活用し、区市町村と連携した重点的なサポートのあり方などを検討してまいります。
  こうした取り組みにより、産業の空洞化に対し総合的な対応を的確に進めてまいります。
  次に、いわゆる買い物弱者に対する取り組みについてであります。
  商店街を活用した買い物弱者への支援を適切に実施するためには、都内で買い物に支障のある住民の実態を正確に把握した上でモデル事業を実施し、最も効果の高い施策を探ることが重要と考えております。このため、都は、買い物弱者の現状について、高齢者三千名を対象に、日常の買い物行動に関する調査を既に実施しております。
  具体的には、買い物で最も多く利用する店舗の種類や移動の手段に加えて、商店街に望むサービスなどの項目に対する回答を集めまして、現在、その内容を分析しております。年内を目途に結果を取りまとめる予定でございます。
  今回の調査と分析の結果を踏まえ、住民が商店街に期待しているサポートの内容を把握して、その実現に向けまして、費用と効果のバランスや商店街と地元の区市町村の意欲などを検証し、都からの支援に最もふさわしい商店街を選んでモデル事業の立ち上げを検討してまいります。
  次に、外国人旅行者の誘致についてであります。
  都は、震災直後の危機的状況を打開し、外国人旅行者を回復するため、まず、諸外国の旅行事業者などに東京の最新情報をわかりやすく発信してまいりました。さらに、夏以降は、民間事業者とも連携して、アジア、欧米豪州八十五社の海外旅行事業者等を東京に招聘し、実際の東京を体験してもらいました結果、東京に安心して旅行できるなどの評価のほか、帰られて、海外のテレビや新聞などで、東京は安全というメッセージや記事が伝えられました。
  また、MICEについては、九月に都内で開催された世界建築会議において、海外からの参加者向けに都内観光ツアーを多数実施するなど、国際会議の機会を効果的に活用し、東京の安全性や魅力を集中的にPRしております。
  都を初め、各道府県や国などの取り組みによりまして、日本政府観光局の調査では、震災以降、対前年同月比で、四月に六三%減となった訪日外国人旅行者が、十月には一五%減まで回復しました。
  都といたしましては、今後とも外国人旅行者の回復に向けて、開催資金の助成などによりMICEを東京に誘致し、国際会議等の機会を通じたPRを積極的に行うとともに、アジアの旅行者のさらなる誘致、さらに回復のおくれている欧米豪州への働きかけにも全力で取り組んでまいります。
  最後に、東京都農林・漁業振興対策審議会答申の農業施策への反映についてでありますが、今回の答申で示された提言を踏まえまして、今年度、東京農業振興プランを改定し、東京農業を着実に振興してまいります。
  具体的には、東京農業の持つ潜在力を発揮した力強い農業の推進を新たな視点といたしまして、次の三つの柱を立てて施策を展開してまいります。
  第一に、大都市東京に立地する特色と優位性を生かした経営展開や加工品開発など、東京農業の産業力を強化することでございます。
  第二に、東京全域をエリアとした地産地消のネットワークを整備するとともに、減農薬栽培技術の開発など、都民の求める食の安全・安心の確保に取り組んでいくことでございます。
  第三に、農業、農地の持つ防災などの多面的機能を発揮したまちづくりを推進して、豊かな都民生活と都市環境の保全に積極的に貢献することでございます。
  加えて、農地制度や税制度の改善は、これは国の役割でありますから、都市農業、農地の位置づけの明確化とともに、生産緑地制度と相続税制度の制度改善を国に対して強く要求してまいります。
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◯港湾局長(中井敬三君) 臨海副都心に関する二点のご質問にお答えいたします。
  まず、臨海副都心におけるMICE拠点化の取り組みについてでありますが、臨海副都心は、羽田、成田空港や都心から好位置にあることに加え、東京ビッグサイトやホテルなどのMICE施設が集積し、また災害に強い都市インフラが整備されているなど、我が国の国際戦略拠点にふさわしい機能を持つポテンシャルの高い地域であります。
  アジア諸都市との厳しい競争を勝ち抜くためには、世界じゅうから人、物、情報が活発に流入するMICE機能をより一層集積させることが必要であります。これにより、企業関係者や研究者らが交流する新しいネットワークが構築され、ビジネス機会が拡大するとともに、地域への経済波及効果も発生するなど、外国企業の誘致促進等に大きな効果が期待できます。
  そのため、今後、既存施設との連携や交通手段の多様化も視野に入れながら、青海地区北側を中心に、MICE施設の立地促進やアフターコンベンション機能のさらなる拡充に取り組んでまいります。
  このような取り組みにより、臨海副都心を一大MICE拠点として発展させ、東京のみならず、首都圏や日本全体の経済の再生につなげてまいります。
  次に、臨海副都心の観光資源の一層の充実とさらなるにぎわい創出の取り組みについてでありますが、この地域を一大MICE拠点としてさらなる発展をさせていくためには、多くの来訪者を引きつける魅力的なにぎわいの創出が重要であります。
  これまで、地域のエリアマネジメントを担う臨海ホールディングスグループを初め、まちづくり協議会など地域の事業者と一体となって、多様な取り組みを進めてきております。
  最近の例としては、今月二日から始まった東京モーターショーの開催に当たって、進出事業者で構成されるまちづくり協議会等と協力し、毎週土曜日の花火の打ち上げや、モーターショー入場券と「ゆりかもめ」一日乗車券のセット販売など、地域が連携してモーターショーの盛り上げに取り組んでおります。
  また、本年五月には、近年のマラソン人気を踏まえ、港湾局と臨海ホールディングスグループが連携し、お台場ランニングコースを設定いたしましたが、これまでにさまざまなランニングイベントが開催されるなど、ランナーの人気スポットとなってきております。
  今後とも、地域一体となってさまざまな創意工夫を凝らし、時代の先端を行く新たな観光資源を創出し、国内外から注目を集める一大観光拠点として、臨海副都心をさらに発展させてまいります。

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◯水道局長(増子敦君) 水道の海外事業展開におけるリスクマネジメントについてでありますが、水道局では、東京水道サービス株式会社を活用した国際貢献ビジネスに取り組んでおりますが、海外での事業展開においては、カントリーリスクや為替リスクなどが存在いたします。
  そのため、海外事業への本格参入に際しましては、事業内容に応じた保険を活用するとともに、年度内にアジア諸国への本格進出の主体となる会社を東京水道サービスが出資して設立いたします。また、現地合弁会社への出資に当たりましては、新会社が政府系を含む金融機関などから広く融資を募ってまいります。
  こうした取り組みを構築し、適切なリスクマネジメントを行いつつ、世界の水事情改善のため、積極的に国際貢献ビジネスを推進してまいります。
———————————————————————–◯青少年・治安対策本部長(樋口眞人君) 自転車の安全利用促進についてでありますが、東京は自動車の交通量が極めて多く、その中を自転車が走行しており、バスやタクシー、トラックなどの多種多様な道路利用者を初め、自転車対策を進めるに当たっての関係者が多く存在します。このため、自転車をめぐる諸課題の解決のためには、自転車利用者、民間事業者を初め、幅広い都民の理解と協力を得て、社会全体で取り組みを進めていく必要があります。
  都は、現在、自転車総合政策検討委員会を設置し、安全利用のための仕組みづくりについて、年度末を目途に検討を進めております。今後、その検討結果を踏まえ、自転車利用者、民間事業者、区市町村など各関係者の役割と責務を明らかにし、連携体制を整えるなど、東京の特性を踏まえた総合的な自転車政策の構築に取り組んでまいります。
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◯病院経営本部長(川澄俊文君) 都立病院改革の今後の進め方についてでございます。
  都立病院は、都立病院改革マスタープランで、担うべき医療を行政的医療と定義し、都における良質な医療サービスの確保に取り組んでまいりました。
  具体的には、大規模再編整備を初めとした医療機能の集約、東京ERとして整備した救急医療や小児周産期医療の充実強化などに加え、東京医師アカデミーによる医療人材の確保、育成にも努めてまいりました。
  一方、急速な超高齢社会の到来など、医療を取り巻く環境は変化し続けており、新たな医療課題への対応と経営改善に不断の努力を行っていく必要があると考えております。
  今後は、これまでの取り組みの成果を検証し、国など関係機関の動向に注視するとともに、専門家会議として設置している都立病院経営委員会の意見を聞きながら、医療ニーズを的確にとらえた次期計画を検討してまいります。
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◯スポーツ振興局長(細井優君) 二点の質問にお答えいたします。
  まず、オリンピック・パラリンピックについてでございますが、お話のとおり、東日本大震災からの日本再生の大きな牽引力となるオリンピック・パラリンピックを実現するには、総力戦で招致に臨まなければなりません。そのため、先月、広く各界から招致活動について助言をいただくため、招致委員会に評議会を設置いたしました。
  評議会には、前回の招致活動では参画いただいていなかった被災県の知事、PTA代表、報道関係団体などに加わっていただき、より幅広いすそ野を形成できる体制としてございます。
  今後、さらに多くの団体の参画を得て、オールジャパンでの招致体制を一層強固にするとともに、広範な意見の集約により支持基盤を確立し、招致機運の醸成を促進し、支持率向上へとつなげていきたいと思っております。
  次に、スポーツ祭東京二〇一三についてでございます。
  この大会は、地域のスポーツ振興を図るとともに、さらなる地域の活性化に結びつけていくことも大変重要であると考えております。このため、多摩移管百二十周年となる記念の年に行われる競技会の開催に当たっては、大会の記憶を長く地域にとどめられるような事業、地域の魅力を再発見し全国に発信する事業、地域の特色を生かしたまちおこしなど、会場地区市町村が行う取り組みを支援していきたいと考えております。
  今後、多摩地域を初めとする地元自治体との連携をより一層深め、開催機運の醸成を図るとともに、各市区町村が創意工夫して取り組む地域の活性化につながる事業に対して、具体的な支援策の検討を進めてまいります

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