【委員会】平成24年11月8日 第四回定例会 総務委員会

2012.11.08 : 平成24年総務委員会 本文

◯吉原委員 それでは、私の方から、まず最初に防災対策の現況につきまして、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 東日本大震災の発生以来、約一年半にわたりまして、抜本的な防災の見直しを今進めているところでございます。
 去る九月には地域防災計画の修正素案が提示されて、この十一月十四日に本案が決定される予定だというふうに思っています。
 これまでに、本会議や防災対策特別委員会、そしてこの総務委員会でも、さまざまな質疑が行われてまいりました。そこで、本日は、最近の本会議等で我が党が質疑を行った総務局関連の案件の事業の進捗についてお伺いをしたいと思います。
 まず、地域の自助、共助の推進を図るために都が取り組んでおります東京防災隣組についてですけれども、都は、地域で意欲的な防災活動を行っている三十六団体を第一回の防災隣組としてこの三月に認定をいたしました。そして、防災訓練への参加、あるいは事例集の発行やシンポジウムなど、さまざまな形を通じて、その普及を図ろうとしてまいりました。
 発災時に都民の命を救うためには、こうした自助、共助の取り組みを広めることが何より重要であり、大切な事業だと思っています。第一回認定の三十六団体がそれぞれすばらしい活動をされていることはよく承知をしております。
 しかし、これらの団体以外にも、都内の各地域で、それに負けず劣らず活発に活動されている団体が幾つもあると思います。我が党は、第三回定例会の代表質問で、早期に第二回の認定を行うべきと主張いたし、これに対して、十一月に募集を開始するとの答弁をいただきました。
 そこでまず、東京防災隣組の第二回認定に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。

◯箕輪企画調整担当部長 地域防災力の向上を図るためには、自助、共助の中核を担う東京防災隣組の果たす役割が非常に大きいことから、東京防災隣組の認定団体数の増加を図ることが重要でございます。
 そのため、本年度、早期に第二回の認定に着手することといたします。本日、区市町村に通知し、候補団体の募集を開始いたします。
 認定に当たりましては、各区市町村の防災担当課が地域コミュニティ主管課と緊密な連携のもと、地域の活動を十分に調査し、推薦いただくよう依頼いたします。また、多様な団体を候補として掘り起こすことができるよう、推薦締め切りを十二月下旬とするなど、十分な推薦期間を設定いたします。推薦された団体の活動実績等を確認いたしまして、専門家の意見を踏まえ、年度内に第二回認定団体を決定する予定でございます。
 地域の実情に通じた区市町村と緊密に連携して、東京防災隣組の都内全域への波及を目指してまいります。

◯吉原委員 きょうから十二月下旬までその募集を行っていると、こういうことでございますので、各区市町村の担当者は町会あるいは自治会の皆さんとは通じておりますので、ぜひ綿密な連携を図っていただいて、意欲ある団体を積極的に認定していただくように、お願いをしたいと思います。
 次に、消防団についてお伺いをいたします。
 これにつきましても、第二回定例会で人材確保や育成の観点、あるいはまた、第三回定例会でも資器材の整備の観点から質疑をいたしまして、活動の充実に向けた取り組みを求めたところでございますし、さきの防災対策特別委員会でも、私の方からも質疑をさせていただきました。
 東日本大震災では、地域が壊滅するような過酷な状況の中でも、身命を賭して地域を守ろうとした消防団員の活躍は何物にもかえがたいものがありました。都内にもこうした高い志を持った消防団の方々がたくさんいらっしゃるわけでございます。でありますからして、非常時の消防団の活動を支えるためにも、団員の安全確保や救出救助のための装備を万全にしなければならないと思っています。
 地元の消防団の皆さんから話を伺うと、とりわけ重要なのは情報通信の確保、つまり無線だと、こういうことのようでございます。多摩の消防団が扱う無線は、消防無線、そしてまた防災行政無線など、それぞれ方式が異なっておりまして、整備が十分でないところがあります。
 三多摩の場合につきましては、こうしたものは市町村が当然整備するというふうには理解をしているところでございますけれども、現況では、それを待っていては、いざというときに間に合うのか大変心配しているわけでございます。消防団員の安全確保に緊急的な支援が今必要ではないかと考えているところでございます。
 こうした装備の課題に対応するために、具体的な検討を進めていただいているものと理解をしておりますけれども、その前提として、特別区の消防団と比較した場合の市町村の消防団の装備上の差異について、どのように調査し、認識をされているのか、お伺いをいたします。

◯村松総合防災部長 消防組織法の規定に基づきまして、特別区の消防団に関する事務は東京消防庁が、多摩・島しょ地域の消防団に関する事務は市町村が行うこととされ、それぞれが必要な資器材を配備しております。
 消防団が都全域で十分な活動を展開するためには、市町村が管理する地域につきましても、その活動上の課題を把握する必要があることから、先般、その状況について調査いたしました。
 これによりますと、団員の安全確保のための装備や、発災時に住民を救出救助するための装備は、十分でない状況がございます。また、消防無線につきましては、ご指摘のとおり、市町村によって装備の方式が異なっておりまして、地元の消防署との連絡手段が確保されていない場合もございました。
 こうした状況を踏まえまして、広域的な視点から、都が早急に行うべき対策について検討を進めているところでございます。

◯吉原委員 ぜひともオール東京の視点を持っていただいて、一歩でも二歩でも前に進むように取り組んでいただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 防災関係の最後にもう一点、応急給水体制についてお伺いをさせていただきます。
 我が党は、第二回定例会の代表質問で、発災時の飲料水の確保に積極的に取り組むべきと主張いたしまして、給水拠点の配置状況など、さまざまな観点から調査分析を行う旨の答弁をいただいたところでございます。
 応急給水槽につきましては、私もかつて随分、総務委員会で質疑をさせていただいた経緯がございます。当時は、それまで続けてきた応急給水槽の整備を終わらせるという方針が示されましたので、その課題について取り上げたものでございます。
 そこで、まず、応急給水体制の整備に係るこれまでの経緯についてお伺いをいたします。

◯村松総合防災部長 都は、震災時の断水に備え、都民の飲料水を確保するため、浄水場、給水所などに応急給水資器材を整備しまして給水拠点とするとともに、これらの施設のない地域には、昭和五十二年度から応急給水槽を設置し、居住場所からおおむね二キロメートルの範囲内に給水拠点を確保するよう努めてまいりました。
 その結果、給水拠点がカバーする範囲が計画給水面積の約九七%にまで達するなど、おおむね応急給水槽の設置が達成されたことから、平成十七年度をもって新規の応急給水槽の設置を終了いたしたところでございます。

◯吉原委員 おおむね半径二キロ圏内に一カ所を目安に整備し、おおむね整備が完了したから終了したということでございました。
 しかしながら、これは当時、私も総務委員会で質疑したのですが、実際には空白地域が複数残っているわけでございます。
 この見直しは、監査の指摘も踏まえまして費用対効果の観点から行ったものだ、こういうことでございましたけれども、もちろん円と円のすき間のような小さなものであれば、これは給水車を出してとか、あるいはまたペットボトルでの備蓄でとか、いろいろな方式でカバーするというのは合理的だとは思います。
 しかしながら、私の地元も含めまして、特に東京都と隣接県の境に当たる地域は、給水拠点までの距離が非常に遠くて、空白面積も小さくないのに、そのまま残されてしまっているケースがあるわけでございます。
 昨年三月に東日本大震災が起こりましたけれども、被災地では、広範囲に、また長期間にわたり断水が生じました。混乱の中でも、例えば仙台市の応急給水槽は、震災当日に給水を開始し、非常に役立ったというふうなこともお聞きをしております。また、都内でも飲料水の確保が大きな課題ともなりました。三・一一以降、再度の見直しが必要ではないかと、平場でも私は強く訴えてきたつもりでもございます。
 東京都には理解をいただいて、本年度に予算を計上し、調査を進めていただいているわけでございますけれども、ぜひ前向きな対応をお願い申し上げたいというふうに思っています。
 まさに都民にとりまして命の水を確保するために、改めて応急給水体制を再検討して、空白地には応急給水の整備を進めるべきと考えているところでございますけれども、現在の検討状況についてお伺いをいたします。

◯村松総合防災部長 ご指摘のとおり、東日本大震災におきまして、被災地や都内での飲料水の供給に課題が生じたことを踏まえまして、都は、本年度、新たな被害想定に基づく応急給水量の検証など、さまざまな観点からの調査分析を行っているところでございます。
 この中で、現在の給水拠点の配置状況を改めて精査したところ、現行の給水拠点までの距離が遠い地域や、居住する人口が多い空白地域があるなどの課題も浮かび上がってまいりました。この調査結果をもとに、発災時などの緊急時の飲料水確保に向けて、必要な措置を検討しているところでございます。

◯吉原委員 行政が一度やめたものを再検討して進めるということについては、なかなか難しいということも、そのこと自体は理解をしているわけでございますけれども、この件につきましては、ぜひしっかりとした検討を踏まえていただいて、方針を見直していただいて、必要な整備を早急に進めていただきたいと思います。
 以上、防災隣組、消防団、応急給水槽と自助、共助、公助、それぞれの課題につきまして伺いました。いずれも、明確な問題意識のもとで検討や取り組みが進められていることにありがたく思っているわけでございます。ぜひこの方向をもちまして、都民の命を守るために、引き続きたゆまぬ努力をお願いしたいというふうに思います。
 続きまして、新たな多摩のビジョンについてお伺いをさせていただきます。
 この十年の間に社会や経済の動向も大きく変わりました。こうした時代背景の中にありまして、策定以来、はや十一年を過ぎました多摩の将来像二〇〇一の見直しを、我が党は本年の第二回定例会の代表質問において提案をさせていただいたところでございます。早速、都は、二〇三〇年ころを念頭に入れて、新たな多摩ビジョンを策定することを表明いただきました。
 今後、多摩地域においては人口減少や高齢化が進み、ますます厳しい局面を迎えることが十分に予測をされているわけであります。そうした中にあってもインフラ整備は着実に進んでいますし、また、先端技術産業や数多くの大学、研究機関も集積しているわけでございます。そうした環境を生かしていく、あるいは豊かな自然環境を生かしていくなど、特色のある都市づくりが十分可能な地域でもあるというふうに思っています。
 我が党の第三回定例会の代表質問でも、将来構想は、往々にして行政の思いが先行してしまって、単なる絵にかいたもちに終わらないようにと、新たな多摩ビジョンについて伺いました。
 そこでまず、今回のビジョンを策定する意義について見解をお伺いいたします。

◯鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 平成十三年の多摩の将来像二〇〇一の策定から十年以上が経過いたしまして、多摩地域は間もなく人口減少局面を迎えるとともに、大規模工場の撤退、団地の老朽化や都市インフラの更新時期の到来など、多摩を取り巻く状況は大きく変化しております。また、東日本大震災の発生を契機とした災害対策の強化や、電力、エネルギー問題への対応など、これまで想定し得なかった新たな課題も生じております。
 こうした多摩を取り巻く状況変化や課題などをかんがみますと、これからの多摩の進むべき大きな方向性を示した新たなビジョンを早期に明らかにすることが必要であると考えております。

◯吉原委員 今答弁いただきましたとおり、震災や災害への対策やエネルギー問題への対応はもちろんでございますけれども、大規模な工場の撤退も数多く出てまいりました。あるいは団地の老朽化ということも大変問題になっているわけでございます。多摩を取り巻く環境は、かつてとは大きく変わってきていますので、的確な対応をしっかりやっていかなければならないと思っているところでございます。
 そのためにも、明確な視点を持って臨んでいかなければならないと思っていますが、どのような視点を持ってビジョンの策定をしていくのか伺います。

◯鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 新たな多摩ビジョンの策定に当たりましては、多摩地域が有する資源を最大限に活用することはもとより、多摩を取り巻く状況変化を強みに変えていく発想の転換を図っていくことが必要と考えております。
 また、地域の発展に大きな影響を与えてきた企業、事業者を、これからの持続的発展に向け積極的に取り込んでいくとともに、自治体、住民、事業者など、多様な主体が地域の内外を超えて連携することで、共存共栄を図っていくことが重要になると考えております。
 これらの視点を軸にいたしまして、二〇三〇年を目途とした多摩の進むべき方向性を明らかにしてまいります。

◯吉原委員 ビジョンの策定に向けまして、民間企業へのヒアリングも現在進めていただいていると聞いているわけでございますけれども、先ほどの視点につきましてどのように具体化を図ろうとしているのか、あわせて伺いたいと思います。

◯鴫原多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務 新たな多摩のビジョンにつきましては、現在、市町村からの意見聴取に加えまして、地域で活動している民間事業者や、まちづくりに精通した有識者等へのヒアリングを行っているところでございます。
 これまでのヒアリングでは、例えば、事業者やNPOなどを主体とした行政区域を超えた観光資源の活用や、産学公連携の推進などの意見を伺っております。また、大規模工場の撤退という状況変化を新たな地域づくりの契機ととらえ、自治体や住民、企業などとの連携のもと、地域が望むまちづくりの推進についての提案がございました。
 こうした意見などを参考にしながら、新たなビジョンの方向性について検討を進めてまいります。

◯吉原委員 ぜひとも市町村や企業、幅広くヒアリングを行っていただきまして、引き続きビジョンの策定に向けた検討をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 現在の三多摩は、都市化が進んだところもありますし、閑静な住宅が建ち並ぶ地域もあります。そしてまた、にぎやかな商業地域もありますし、豊かな緑があるなど、さまざまな地域があるわけでございます。今作業が進んでおります新たな多摩のビジョンでは、それぞれの地域で多摩の住民が文化的な日々の生活ができる、住みよい環境が感じられる、バランスのとれたものになるよう検討していくことが大切だろうというふうに思っています。
 加えて、来年の秋には、スポーツ祭東京二〇一三が開催されるとともに、三多摩が東京に移管されて百二十年の節目となる記念すべき年でもございます。
 三多摩の歴史あるいは伝統文化を多摩都民が再認識する機会として、また、魅力発信につながる機会としての取り組みを前向きに検討していく旨の総務局長の答弁を、既に平成二十三年の第四回定例会で、私の代表質問の中でいただきました。
 そこで、この取り組みを含めまして、新たなビジョンの策定を初めとした今後の多摩振興に向けた局長の決意をお伺いいたしまして、質問を終わります。

◯笠井総務局長 多摩地域は、東京の三分の一の人口を有しておりまして、都市の利便性と豊かな自然環境を兼ね備えた多様な魅力を持つ地域でございます。
 一方、多摩地域におきましては、今後の人口減少や高齢化の進展、そして都市インフラの更新需要の増大など、かつての多摩の将来像二〇〇一策定時と比べまして、地域を取り巻く状況は非常に厳しさを増しておるところでございます。こういった厳しい状況の中で、新たな視点による発想の転換も図りながら、多摩の持続的発展に向けた大きな方向性を都が示していくことが何よりも重要であろうと考えております。
 また、来年、平成二十五年は、スポーツ祭東京二〇一三の開催とあわせて、多摩東京移管百二十周年という、多摩地域にとって節目の年でございまして、この機会をとらえて、現在、関係局や市町村との連携のもと、多摩のさまざまな魅力を発信する取り組みを検討いたしております。
 今後とも、活力と魅力にあふれる多摩の実現に向け、今回のビジョン策定などを契機に、多摩地域の一層の振興に全力で取り組んでまいります。

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