【委員会】平成24年10月26日 第3回定例会 公営企業会計決算特別委員会

2012.10.26 : 平成23年度_公営企業会計決算特別委員会第2分科会(第4号) 本文

◯吉原委員 それでは、私の方からPFI事業を中心に何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 平成二十三年度の決算では、二十二年度に比べまして、入院患者、そして外来患者ともに実績数がふえてきた。そして、医業収益も増加したわけでございます。
 このことは、PFI事業として導入した多摩総合医療センターと小児総合医療センターが本格的に稼働したこと、また同様に改修していた駒込病院も全面供用開始になったことによるものと本部長より過日説明がございました。
 もともとPFIの導入に当たりましては、平成十三年に策定されました都立病院改革マスタープランの中で、今後の都立病院に当たっては、PFIについて有効性の検証と十分な検討をした上で導入を図るとされていたわけでございます。
 我が会派といたしましても、当時病院事業においてPFIの手法を取り入れました先駆的な経営として評価の高かった高知県の高知医療センターを視察してきたこともございましたので、都はさまざまな角度から検討を重ねて決定されたものと承知いたしているところでございます。
 その意味では、PFIの手法を導入した都立病院が順調にスタートしているものと、この時点では高く評価をさせていただいているところでもございます。
 しかし、一方では、先ほどお話しいたしました高知県の高知医療センターは、開設当初は高い評価がそれぞれのところでされたわけでございますけれども、残念ですけれども、たった五年でPFI事業の契約解消に至ってしまったと、こういう経過があるわけでございます。
 当然のことながら、都立病院においては、高知医療センターのような状況になることはあってはならないことだと、こういうふうに思っているわけでございまして、まず最初にお伺いをいたしますけれども、今回のPFI手法の病院運営と従来の病院運営方法を比較検討する中で、ことし五月、新たにスタートした松沢病院を含めて、立て続けに四病院、PFI手法を導入するに至ったわけでございますので、この経緯、そしてまた、四つの病院の改築、改修が連続した理由をお伺いさせていただきます。

◯中野サービス推進部長 まず、PFI手法を導入するに至った経緯についてご説明申し上げます。
 平成十一年九月、PFIの促進を図ることを目的としました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法が施行されました。
 東京都では十二年十二月に、都におけるPFIの導入の考え方や手順等を示す東京都におけるPFI基本方針を策定いたしました。先生のお話にあったように、都立病院におきましては、平成十三年十二月に策定いたしました都立病院改革マスタープランで都立病院の再編整備を行うこととしまして、あわせて、PFIの有効性の検証等を検討した上で導入を図ることといたしました。
 その後、平成十四年度と十六年度に実施しました導入可能性調査をもとに、それぞれの事業についてPFIの適用を検討し、実施方針の策定と公表を経て、民活手法検討委員会に付議いたしました。
 同委員会では、事業の実施規模や収支計画の妥当性などにつきまして審議いたしまして、コスト面ではPFI手法と都が直接実施する場合とを比べて、都の財政負担額の縮減が図られること、また運営面では施設の建設、維持管理及び運営の一体的な発注による効率化やサービス水準の向上が期待されることから、平成十六年度に多摩総合医療センター及び小児総合医療センターが、十七年度に駒込病院が、十九年度に松沢病院がそれぞれPFIによる特定事業として選定されました。
 次に、四つの病院で改築、改修が連続した理由でございますが、それぞれの病院は昭和四十年代を中心に建設されていたため、老朽化が著しく、改築等の整備が急がれておりました。
 また、新たな医療課題に対応するため、最新の医療機器の導入や良好な療養環境を整備する必要があり、時期を同じくして改築、改修を実施することになったものでございます。

◯吉原委員 定められた基本方針や手順にのっとってそれぞれやってきた、こういうことで理解は一定させていただきたいと思っております。
 今回の四病院以外にも、都立病院は四病院あるわけでございますし、また公社病院も所管されているわけでございますので、今後、建てかえや改修の必要性がある場合には、コストの低減、そしてまたサービスの向上など、多面的に整備方法、あるいは運営方法をぜひ検討していっていただきたいというふうに思っています。
 さて、多摩総合医療センター、そして小児総合医療センターでは、昨年の三月、病院開設と同時に特別目的会社も設立されまして、連携をとりながら業務運営も開始されてきているわけでございます。
 今、本格的に病院が稼働している中で、運営面、あるいは患者へのサービスの面でのメリットについて伺いたいと思いますけれども、特にドクターや看護師はさまざまな業務に追われていて、本来の仕事に専念ができないんじゃないかということが時たまいわれてきたわけでございます。
 今回の特別目的会社、要するにSPCでございますけれども、このSPCの業務運営により、ドクターや看護師の本来の仕事以外の負担軽減にどういうふうにつながったのか、具体的に伺いたいと思います。

◯中野サービス推進部長 PFI事業では、これまで個別に委託しておりました医療周辺業務をSPCが包括的に担うことにより、業務間の連携や業務の代替方法などを工夫し、医師や看護師などの医療従事者が診療業務等に専念できる環境を整える仕組みとなっております。
 従来の個別の業務委託と異なりまして、SPCが病院のQC活動に参加する姿からも見られるとおり、病院と目的を共有いたしまして、日々の業務運営の中から業務改善を積極的に提案しております。
 医師の負担軽減の例を申し上げますと、例えば病院とSPCが協力いたしまして、肺塞栓の予防チェックシステムを開発いたしました。電子カルテからリスクのある患者さんの抽出が自動化されまして、医師はカルテを一人一人開くことなく、対象患者を確認することができるようになりました。
 また、同じく協力いたしましてリューマチの患者さんの問診をノートパソコン上で行えるシステムを導入いたしまして、医師は、診察室内の端末で生活動作や痛みなどを数値化した指標を参照することが可能となりました。
 こうしたシステムの開発などにより、医師の診療準備の負担を軽減しております。
 次に、看護師の負担軽減の例といたしましては、PFIの導入以前は、医療作業が不在となる夜間、休日におきまして、ベッドの交換を看護師が行っておりましたが、SPCが医療作業と洗濯業務の業務調整を行いまして、洗濯業務がリネン類の準備に加えて、ベッドメーキングも行うようにいたしました。
 また、夜間救急診療では、出血ですとか嘔吐ですとかによりまして、診察室内や廊下に汚れが発生いたしますが、SPCが夜間の緊急清掃を導入したことで、看護師がその処理に当たることなく、本来の業務に専念できるようになりました。
 こうした取り組みによりまして、看護師が本来の業務に専念することは、看護師の負担軽減のみならず、医師の負担軽減にもつながるため、今後ともSPCと協議しながら、業務の効率化を図ってまいります。

◯吉原委員 ドクターや看護師は、病院にとって診療という意味では当然かなめでございますので、今お話をお聞きしたところによりますと、SPCの連携によって、大分以前と違う形が見えてきたのかな、そんな思いをいたしました。
 これからも引き続き本来の仕事に支障が出ることのないように、ぜひとも工夫をより一層していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 さらに、患者に対するサービスは何よりも大事でございますので、PFI導入によって不安を抱えながらの患者へのサービスがどのように向上してきたのか、お伺いいたします。

◯中野サービス推進部長 長期継続契約のメリットを生かしまして、業務の実施方法につきまして、SPCと病院が運営開始前から協議を重ねたことによりまして、病院の要望を取り入れた業務内容を構築し、患者サービスの向上を図るとともに、状況の変化に応じて柔軟に業務変更を行っております。
 例えば入院患者さんの検体検査を朝六時から開始する業務手順とすることで、外来検査が集中する時間帯との重なりをなくし、外来での待ち時間の減少を図っております。
 また、外来での医療費計算を計算受付と外来の四つのブロック受付で行う分散方式を導入いたしまして、会計での待ち時間短縮を図っております。
 現在、診察を終えた患者さんがその日の検査や診察の終了を確認してから計算終了の案内を行うまでの時間は、おおむね十分となっております。
 都立病院患者満足度アンケートの中で、会計の待ち時間はどうですかという質問をしておりますが、二十一年度、旧府中病院ではほとんど気にならなかったが回答者の四九・六%だったのに対し、二十三年度、多摩総合医療センターでは八〇・八%に向上しております。

◯吉原委員 ありがとうございます。患者に対してもさらなるサービスの向上に全力を尽くしていっていただきたいなというふうに思います。
 今、会計処理のお話もございましたけれども、私もこの近くの大学病院に時たま行くことがあるんですけれども、その際も会計、本当に二十人、三十人並んでいても、事務的な作業がすぐ終わって、そしてまた、会計のところに行っても数分で終わってしまう、こういう環境が今、どこでも求められているわけでございまして、引き続きそういった面でも頑張っていただきたいなというふうに思っています。
 都立病院のPFI事業では、SPCから病院に対する経営支援を行うことも求めているわけでございます。当然のことながら、都立病院の経営は都の責任ですから、SPCによる民間のノウハウを生かした経営支援もPFI導入のメリットの一つであろうというふうに思っています。
 SPCは、病院に対する経営支援としてどのようなことを行っているのか、お伺いをいたします。

◯中野サービス推進部長 PFIの契約では、SPCに病院への経営支援機能の発揮を求めております。薬品、診療材料につきましては、SPCが調達や物品管理業務を包括的に担っておりまして、こうした業務を行う中で、不稼働物品などの調査の実施によって、病棟ごとの定数の見直しですとか、品目数の縮減の提案を行っております。
 また、多くの診療材料を消費いたします手術部門における診療科別消費データを病院に報告するなど、病院のコスト削減を支援しております。
 病院の収益である診療報酬に関しましては、同一疾病に関する検査、処置、投薬などの実施内容を他病院と比較分析し、改善の方向性について助言を行っております。
 今後とも、SPCの提案を病院の経営改善に役立ててまいります。

◯吉原委員 ぜひとも民間の発想を積極的に取り入れていただきまして、きめ細かな、そして有効な経営改善を進めていただきたいというふうに思います。
 PFI事業は、施設整備後約十五年の長きにわたりまして、SPCによる業務運営が続く長期契約になっているわけでございます。先ほどPFI導入によるメリットをお伺いいたしましたが、PFIを導入した意味は、そのメリットが限りなく向上していくことが当然望ましいわけでございまして、PFI事業においてSPCの業務水準を維持向上させる仕組み、そして工夫についてお伺いをいたします。

◯中野サービス推進部長 性能発注でございますPFI事業では、事業者が行う業務の履行状況をチェックする仕組みといたしまして、いわゆるモニタリング制度を取り入れております。
 モニタリングでは、SPCみずからが個々の業務をチェックするセルフモニタリングの実施と都への報告を義務づけておりまして、患者ニーズなどの変化を敏感に察知することで、サービスの提供方法をSPCみずからが見直しております。
 都は、毎月SPCの報告をもとに、SPCが提供するサービスをチェックし、要求水準を満たしていない場合には改善を促す仕組みとしております。
 なお、平成二十三年三月十一日の東日本大震災の発生に伴いまして計画停電が起きました。その際、SPCは施設の設計、建設から維持管理までを一体的に担っているという、こういったメリットを生かしまして、十分なシミュレーションのもと、病院内の電力供給をコントロールしたため、診療への影響を防ぐことができました。
 その後もSPCは、効率のよい電力供給計画を立案いたしまして、主体的に節電に努めているところでございます。

◯吉原委員 どうもありがとうございます。都立病院のPFI事業は、まだまだ導入されてから日がたっていないわけでございまして、病院経営本部はSPCとこれからも引き続き手を携えながら、患者サービスや業務水準の向上をぜひ目指して頑張っていただきたい、こういうふうなことを要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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