【委員会】平成24年5月14日 平成24年防災対策特別委員会

2012.05.14 : 平成24年防災対策特別委員会 本文

◯吉原委員 自民党の吉原でございます。
 きょうは、先生には、ご多忙のところ委員会にご出席をいただきまして、本当にありがとうございました。また、都の防災会議の地震部会の部会長としても大変なご活躍をいただいているところでもございまして、今後の地域防災計画の見直しに向けて大変なご尽力をいただいていることに、心から感謝を申し上げたいと思います。
 何点かお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、まず一点目につきましては、それぞれの地震の特徴についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 直下型地震が二つあるということで、東京湾北部地震、そしてまた多摩直下地震ということが挙げられているわけでございますけれども、加えて、元禄型関東地震、そして立川断層帯地震、この四つの地震というのが取り上げられているわけでございますけれども、それぞれの地震は、一体どんな特徴を持っておられるのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 もう一つは、首都直下型地震の発生率は、先ほどお話がございましたように、三十年で七〇%程度だ、こういうお話もいただきました。元禄型関東地震や立川断層帯地震も同様に、かなりの確率で発生が見込まれるものなのかどうなのか。先ほど来、そうでもないというお話も若干承ったような気はいたしましたけれども、それぞれの地震をどのようにとらえて今後備えていけばいいのか、お教えいただければと思います。

◯平田参考人 それでは、四つの地震の特徴について、まずご説明いたします。
 いわゆる直下型地震として取り上げた東京湾北部地震と多摩直下地震というのは、相模トラフから北に向けて沈み込んでいるフィリピン海プレートの上面の割と深いところで起きる地震でございます。
 これは、浅いところで起きると関東地震、大正の関東地震や元禄の地震になって、マグニチュード八クラスのいわゆる巨大地震になりますけれども、巨大地震の発生確率が低いといっても、それよりも少し深いところでは、つまり、東京湾の下あたり、あるいは多摩の下あたりのフィリピン海プレートの上面でマグニチュード七クラスの地震が起きる可能性がある、そう考えておるので、これを取り上げました。
 特にこれは、揺れの強いところが、区部あるいは市部の多摩、東京都の人口密度の高いところで大きな揺れになりますので、こういった地震が起きると被害が非常に大きくなるという観点から、防災的観点からも考える必要のある地震でございます。
 それに対して元禄型関東地震というのは、いわゆる本当の元禄型関東地震というのは、元禄、一七〇三年に起きた地震しか我々は知らないわけですけれども、これがもっと古い地質時代には似たような地震があったとしても、大体、発生間隔は数千年、地震調査研究推進本部の調査委員会は二千三百年と評価しておりますが、つまり、非常にまれにしか起きない地震でございます。
 非常にまれにしか起きない地震ですけれども、これが、例えば、東日本大震災を受けて、日本の地殻の力のバランスが変わったような状態で万が一起きたときに、津波がどういうふうに発生するかというようなことを検討する必要があるという観点から、元禄型の関東地震というのを取り上げました。
 立川断層帯地震というのは、いわゆる活断層のそばで起きる地震というものの一つでございますが、日本では活断層はたくさんあります。数千あるんですけれども、このうち、国は、約百の主要な活断層というのを選んで、この地震の発生の履歴を調べて発生確率を評価しているわけでございますが、その中でも比較的高い部類に入るのが立川断層です。
 先ほど申し上げましたように、さらに東日本大震災、東北地方太平洋沖地震が発生したことによって、その百の地震のうちの四つが、より動きやすいように力のバランスが変わったと申し上げましたが、そのうちの一つが立川断層でございますので、確率が何%と──確率は、大体一万年から一万五千年に一回ずつ起きるという断層ですので、それで、一つ前が大体一万年から二万年の間に起きたといわれている、そういう話ですので、確率にしてしまうと〇・五から二%という、非常に低いです。低いけれども、これは日本全体の活断層から見ると高い方という分類にも入っている。そうはいっても、せいぜい二%です。ですが、二%だからといって決して忘れていいわけではなくて、実際に起きたらどうなったかという観点から調べると。
 東京都として見ると立川断層だけですけれども、南関東として考えると、例えば三浦半島断層帯地震というのが、やはり国の選んだ百の主要な断層で、かつ東日本大震災以降、発生の可能性が高くなった断層に含まれておりますけれども、都としては、立川断層帯の地震について調べる必要があるということです。
 それで、こういった地震の個別の発生確率というのは評価されておりますけれども、東京湾北部地震の確率というのは評価されていません。それはどうしてかというと、国が評価しているのは、相模トラフ沿いの大正タイプの関東地震の確率が、これはもうほとんどゼロから二%ぐらいで、元禄のタイプに至っては、ほとんどゼロ%です、三十年で発生する確率。ですけれども、南関東全体のどこかで起きるマグニチュード七程度の地震の発生確率が三十年で七〇%といっているのであって、決してそれが、東京湾北部地震の発生確率が三十年で七〇%というわけではございません。
 ですので、これは安心材料ですけれども、しかし、南関東のどこかで起きるということの一つの可能性としては、やはり東京湾北部とか多摩直下で起きるということもありますので、防災的観点からは、このことについて十分な検討を加えておくということは意味があることだというふうに思っております。

◯吉原委員 ありがとうございました。
 先ほど、フィリピン海のプレートの想定が十キロメートル程度浅くなった、こういうお話をいただきました。そのことによって、地表の揺れが、また、地域も少し幅広く広がってくるのではないか、こういうお話をいただいたわけでございますけれども、我々東京の防災対策の一つの大きな課題に木造住宅密集地の問題がございます。当然のことながら、建物の倒壊や火災の延焼が広がる、このことが大変心配されているわけでございますけれども、被害を防ぐために、耐震化の推進、そして初期消火の強化、これが大変必要でありまして、都も、これまで着実に対策を講じてはきたところでございますけれども、こうした取り組みは、被害想定の算定の際に反映されるのかどうなのかお尋ねしたいと思います。

◯平田参考人 ご指摘のように、フィリピン海プレートが浅くなったことを受けて、震度六強の領域が、従来の想定よりも西側に広がりました。ということは、つまり、従来は区部の下町の方だけだったものが、山の手の方にも強い揺れ、六強が広がりました。六強になりますと、六弱と六強だと、耐震化されていない家屋の倒壊がかなり大きくなります。ということは、いわゆる環六と環七の間の木密地域と、区部の西の方の領域で、強い揺れの領域がふえてまいります。
 単純に考えると、そうすると、木造家屋の倒壊数がふえるということでございますけれども、実際には、今回の被害想定では、平成十七年に行いましたときに比べて、昭和五十八年、一九八一年よりも古い木造家屋の棟数が減っていることによって、全倒、全壊する家屋が約三十五万棟減っているというのが今回の被害想定でわかったことです。これはつまり、耐震化が進んでいることによって、同じ揺れの場合には被害が減るというセンスです。
 実際には、揺れの領域が広くなってしまいましたので、被害が大きくなるという要素と、都市が耐震化されたということの兼ね合いによって、東京湾北部地震の場合には、揺れによる全壊家屋の数は減っております。
 ただ、多摩直下地震については、強い揺れの領域がふえたために、それから、木造の耐震化されていないものの数が減ったというのとの兼ね合いによって、全体として倒壊家屋はふえてございます。
 そういうわけで、耐震化する、不燃化するというようなことは、この被害想定の中に適切に反映されていると思っております。
 それから、火災についても、消防署や消防団による消火能力というものが向上してまいりましたので、そういったものを延焼防止のパラメーターに使っておりますので、被害の見積もりに、そういった都のこれまでの対策が生かされているというふうに思っております。
 以上です。

◯吉原委員 どうもいろいろ教えていただきましてありがとうございました。
 もう一問ありましたけれども、時間が参ったようでございますので、終了させていただきます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です