【委員会】平成22年6月10日  平成22年_総務委員会

【委員会】平成22年6月10日  平成22年_総務委員会

2010.06.10 : 平成22年総務委員会 本文

◯吉原委員 私の方では第百二十九号議案、公立大学法人首都大学東京中期目標について、若干お尋ねをさせていただきたいと思います。
  一昨日の今定例会の代表質問においても、我が党の、こいそ総務会長が質疑を行ったところでございます。そうした中で、若干でありますけれども数点お伺いさせていただきたいと思います。
  東京都が公立大学法人首都大学東京を設立してから、もう早いもので五年が経過いたしました。この間、東京都が示した中期目標に基づいて、首都大学東京では、都市課題に応じた新たな分野への積極的な進出や産学公連携の推進など、社会に開かれた大学として教育研究や社会貢献に取り組んできたと思っています。
  また、十八年には産業技術大学院大学を開学いたしました。そして平成二十年には、都から産業技術高等専門学校の移管も受けたわけでございます。まさに東京の産業の活性化に貢献する専門技術者の育成にも努めてきた、そういうふうに思っているわけでございます。
  こうした法人の取り組みとその成果については、毎年我々も報告を受けているわけでありますけれども、東京都地方独立行政法人評価委員会の業務実績評価においても、目標をおおむね達成している、こう評価をされているわけでございます。
  今後は、法人が、より自主的に自律的な運営を行って、教育研究において高い成果を上げ、それを都民に還元して、公立の大学法人としての存在意義をぜひこれからも高めていってもらいたいというふうに思っています。
  法人の目指すべき方向をしっかりと示していくことは当然のことでありますし、都の義務でもあるわけでございますけれども、その達成のためにとり得る手段については法人に任せる、そして必要な支援を行っていくことこそが、独立行政法人制度の趣旨にもかなうものだというふうに思っているところでございます。
  今回示された中期目標は、そうした考えに基づいて取りまとめられたものと理解をしているわけでございますけれども、中期目標策定にかかわる基本的な考えについて、改めて伺いたいと思います。
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◯岸上首都大学支援部長 ただいまお話にございましたとおり、この五年間で法人におきまして、都が示した中期目標に基づいて教育研究や法人運営においてさまざまな取り組みを積極的に行いまして、設立趣旨に沿った成果が得られておりまして、それらを支える運営体制もおおむね確立しているというふうに考えております。
  こうした状況を踏まえまして、第二期の中期目標におきましては、都は法人運営に係る全体的な方針や目指すべき方向性を示すにとどめ、具体的な取り組み内容や実施方法については、基本的には法人が目標に基づいて策定する中期計画及び年度計画にゆだね、法人の自律的、主体的な運営を促すことといたしました。
  高等教育機関をめぐる社会環境や諸制度が変化する中で、社会や学生のニーズに柔軟に対応し、より質の高い学生サービスを実現するためには、何より現場が主体となって学校運営に取り組むことが重要でございます。
  法人におきましてはこうした都の考えを理解し、教職員が一丸となり、法人の使命達成に向けて自律的かつ主体的な運営を行っていくものと考えております。
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◯吉原委員 都としても、法人の自主的、自律的な運営を促進していく方針であることは理解いたしました。
  あわせて、今回、法人に基本的な目標として示した内容についても確認をしておきたいと思います。平成二十三年度以降に法人が取り組むべき重点事項、これを三点定めているわけでございますけれども、その内容についてお伺いいたします。
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◯岸上首都大学支援部長 第二期の中期目標におきましては、法人が重点的に取り組むべき事項として三点示しております。
  一つは、大都市の活力の源泉となる質の高い人材の確保、育成、輩出でございます。
  人材育成は高等教育機関の最大の使命でありまして、また、豊かな人間性と独創性を備えた人材を育成し、社会に送り出すことにより、都民の生活向上に寄与するということは法人の設立目的でもございます。
  二つ目は、教育研究機関や自治体、企業等、多様な機関との連携でございます。
  多くの大学や企業が集中し、教育研究や産業に関する施設、人材、情報が集積している大都市東京に立地する利点を最大限に生かし、引き続き、多様な学習機会の確保や研究の質の向上を目指すこととしております。
  それから三つ目は、グローバルな視点に立った教育研究の推進でございます。
  国境を越えた大学間競争が進む中で、国際水準を踏まえた教育研究を展開していくことがますます重要となっております。今後は、諸外国の大学等との共同研究、人材交流に積極的に取り組むことが必要でございます。
  とりわけ都の施策も踏まえまして、アジアの諸都市と連携し、共通する大都市課題の解決に取り組んでいくことを強く求めております。
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◯吉原委員 これまでの大学改革の取り組みを継承していくということのようでございますし、今お話がありましたグローバルな視点に立った教育研究の推進、このこともまた社会状況を踏まえた新たな事業展開だというふうに思うわけでありますし、こうした取り組みを通じて、未来を担う有為な人材がこの法人からも多く輩出されるように期待するものであります。
  次に、都が示した中期目標に基づいて、大学における価値ある取り組みを継続、発展し、社会や学生の状況を踏まえた新たな事業を積極的に展開していく裏づけとなる財政基盤についてお伺いしたいと思います。
  公立大学法人が中期的な視点に立って事業計画を策定し、積極的な事業展開を行っていくためには、何といっても基本的な財政フレームの確保が必要不可欠であろうというふうに思います。
  今年度、第二期中期目標期間を迎えた国立大学法人では、いまだに明確な財政フレームが示されていない、こんなこともお聞きしているわけでございますし、そのために予算書の作成一つについても議論が噴出している状況である。このようなこともお聞きしているわけであります。
  そういった意味でいえば、東京都が中期目標において効率化係数を一・〇%というふうに明記をしているわけでありますけれども、今後の財政フレームを明示したことについては、計画的な法人運営を担保するものだというふうに思っているわけでございます。
  効率化係数については、現行の中期目標を策定する際にもかなり議論がされたというふうに記憶しているわけでありますけれども、効率化係数を設定する意義について、改めてお尋ねしたいと思います。
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◯岸上首都大学支援部長 都は、大学が独立した法人として自主的、自律的な経営を確立し、効率的、効果的な業務運営を実現することを目指し、都立の大学を公立大学法人化いたしました。効率化係数は、この目的を実現するための財政の仕組みのかぎとなっております。
  具体的に申し上げますと、六年間を通じた中期的な財政フレームをあらかじめ明示した上で、運営費交付金を、事業費、人件費を区別することなく枠として措置することによりまして、法人に広範な裁量を与え、その責任と権限に基づく計画的かつ自主的、自律的な運営を促進する一方で、効率化係数を設定し、法人に経営努力を求めていくというものでございます。
  また、法人が効率化係数を上回る経営努力を行った場合に得られる財源につきましては、翌年度以降の事業に充当できる仕組みとなっておりまして、さらに大きな経営努力へのインセンティブが働くことになります。
  このように、独立行政法人制度の導入趣旨の実現のためには、効率化係数は欠かすことのできないものであるというふうに考えております。
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◯吉原委員 法人の運営につきましては、独立行政法人化の効果を最大限に生かすためには、今お話しいただきました効率化係数が果たす役割というものは大変大きいものだということだろうと思います。
  第一期に、東京都は効率化係数を、国立大学を上回る二・五%と設定いたしました。このことについては我が党としても大変高く評価をしたところでもございました。
  今回につきましては、先ほどお話し申し上げましたように一・〇%、こういうふうになっているわけです。この五年間で法人においては相当の経営努力はなされてきたというふうに私自身も評価しているわけでありますけれども、過剰な経費削減による教育研究の質の低下を回避しなければならない、そのためにもこうした一・〇%という設定をしたんだろうというふうに思ってはいるわけでありますが、効率化係数の変更に係る都の考え方というものをお伺いいたします。
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◯岸上首都大学支援部長 都における運営費交付金の仕組みでございますけれども、これは事業費、人件費を区別することなく枠として措置するものでございまして、国立大学法人が採用していた仕組みに比べまして、経営における広範な裁量を法人に与えるというものでございます。このため、国立大学法人に比べて高い係数を設定することが可能でありました。
  第一期におきましては、法人化に伴って必要となる初期経費等を加味して、六年間に必要な諸経費を標準運営費交付金として算定した上で、法人化による財務運営の弾力化や四大学統合による教員定数の削減効果を勘案いたしまして二・五%と設定いたしました。
  これに基づき、法人におきまして、経営の効率化に努めるとともに、経営努力によって確保した財源を活用して教育研究の充実を図ってまいりました。
  第二期の効率化係数の設定に当たりましては、当初六年間にわたる効率化の成果を踏まえまして、教育研究の質や法人運営の安定性の確保と、業務運営の一層の効率化を両立させるという観点から、一%としたものでございます。
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◯吉原委員 そういうことだろうと思います。都を初めとする大都市の未来を担う人材を育成する教育研究機関として、教育研究の質の確保は極めて重要であります。
  その一方、都民の貴重な税金で運営される独立行政法人として、一定の経営努力というものは今後も求めていくことが大切だろうというふうに思います。こうした東京都の考え方や独立行政法人のあり方について、法人も十分に理解されているかが気になるところでありますが、独立行政法人法には、公立大学法人の特例として、中期目標の策定に当たってあらかじめ法人の意見を聴取する、そしてそれに配慮するよう定められているわけでございます。この中期目標についても法人に意見を聴取したのだと思いますけれども、その状況について伺います。
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◯岸上首都大学支援部長 この中期目標の策定に当たりましては、法人において目標の意義を踏まえた取り組みが着実に実施されるよう、検討段階から法人と適宜、調整を行ってまいりました。
  その上で、地方独立行政法人法に基づきまして、都議会への付議に先立って、法人に意見聴取を行っております。首都大学東京、産業技術大学院大学の教育研究審議会及び都立産業技術高等専門学校の運営会議での議論を経て、経営審議会において最終的に審議がなされた結果、法人から、特に意見はないとの回答を得ております。
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◯吉原委員 特に意見はないということのようでございますので、策定段階でも意見交換を行って、最終的な案についても教学と経営の両面において納得が得られているということであれば、中期目標に掲げられた方針が、法人において、さまざまな取り組みによって花開いていくことになるんだろうなというふうに思います。
  首都大学東京が従来の大学にない新しい大学として存在意義を確立するためには、今後も法人の自主性をしっかりと尊重しながら、東京都としても適正な関与を行っていく必要があると思います。
  最後に、首都大学東京に対する都の役割について局長に見解を伺って、終わります。
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◯中田総務局長 委員ご案内のとおり、地方独立行政法人制度は設立団体の関与を必要最小限にとどめまして、法人が自主性、自律性を十二分に発揮することで、より効率的、効果的な行政サービスの提供を目指すものでございます。
  特に公立大学法人につきましては、大学の自治の尊重、教育研究の特性への配慮、こういったことが必要となることから、学内人事や中期目標の設定等につきまして、法人の意向をより尊重するように定められております。
  こうした制度の趣旨や大学の特性を踏まえまして、大学改革を一層推進するため、法人が目指すべき基本的な方向性を示すとともに、教育研究の質と安定的な法人運営を確保することを前提とした中期的な財政フレームを明示し、安定的かつ弾力的な運営を支援することが設立団体であります東京都の役割と認識しております。

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