【本会議】平成22年3月3日  平成22年_第1回定例会

2010.03.03 平成22年_第1回定例会(第3号) 本文

◯八十九番(吉原修君) まず、教育について伺います。
  教育は国家百年の計といわれるように、国づくりの基本であり、次代を担う人材を育成することは国家的な課題であります。
  国は、これまで子どもの学力向上や豊かな心をはぐくむとともに、教員の資質、能力の向上を図るため、全国学力テストや心のノートの配布、そして教員免許更新制度など、さまざまな教育改革を進めてきました。
  にもかかわらず、民主党の最高幹部が、驚くことに、私は永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている、さらには、いよいよ日教組の出番だと思っているとまで公言し、民主党政権にかわった途端、その支持母体である日教組の主義主張に同調して、今日まで多くの国民の信頼と期待のもとに進めてきた教育改革を後退させようとしています。
  これまでにも、国旗の掲揚や国歌の斉唱に反対するばかりではなく、道徳教育について、例えばあいさつなどの礼儀や「仰げば尊し」のような卒業式の式歌でさえも、国家権力による価値観の強制や戦前の教育への回帰、あるいは封建主義などと反対しています。
  このたびの事業仕分けという大義名分のもとに、学力調査を悉皆方式から抽出方式に変更したり、子どもたちの豊かな心をはぐくむために欠くことのできない道徳教材である心のノートの全員配布をやめたりするなど、日教組の政策制度要求と提言で示されている主義主張を取り入れた施策に転換したといわざるを得ません。
  こうした一連の動きは、これまで国が推進してきた教育改革を後退させるばかりか、今後の我が国の教育に重大な影響を及ぼすものと思います。
  そこで、今後の我が国の将来を担う子どもたちの教育のあり方について、どのようにお考えでしょうか。知事の所見を伺います。
  知事は、施政方針で江戸以降の歴史を学ぶことの重要性を力説されました。これまで江戸時代といえば、厳しい身分制度と重税に苦しめられた農民が一揆を起こしたことなど、暗い部分が強調されてきたように思いがちです。
  しかしながら、江戸・東京は、物価は安定し、江戸里神楽一つをとっても、独自の庶民文化がはぐくまれた、豊かな時代でありました。江戸からの歴史を見直すことは、江戸時代の日本が識字率や教育水準の高さなど、日本人が世界に冠たる知識や制度を有していたこと、我が国の近代化の兆しが江戸時代に始まったことを再認識することにもつながります。
  そこで、知事は、現代の日本の若者に対して、どのような歴史教育が必要と考えておられるのか、お伺いをいたします。
  国際社会に生きる日本人として、外国語などの学習はもちろん必要ですが、そのベースとなるのが、我が国の歴史を基本知識として、すべての高校生が学習することは重要であります。しかし、現実には、高校生の段階で自国の歴史をきちんと学習する機会もなく、卒業する者もいると聞いております。こうしたことが我が国の歴史をしっかりと理解していない若者を生んでいるのではないでしょうか。
  そこで、現在の高校の学習指導要領における日本史の位置づけと、都立高校における日本史学習の現状がどうなっているのか、お伺いいたします。
  都教育委員会では、平成二十四年度から都立高校での日本史必修化を表明しました。教育委員会は、日本史の必修化に向けて取り組み、東京都としてその決定をしたことは、高校での日本史教育を推進する上で大変意義あることと考えます。
  この日本史必修化を機に、高校での歴史教育の重要性が見直され、若者たちの日本人としての自覚も高まっていくものと思います。
  また、江戸・東京を切り口として、近現代史を学ばせる東京独自の日本史科目「江戸から東京へ」を取り入れ、都立高校における日本史必修化を進めると聞いております。
  そこで、都立高校において、どのような方法やスケジュールで日本史必修化を進め、また東京都独自の日本史科目とはどのような内容なのか、お伺いをいたします。
  次に、文化の継承と発展について伺います。
  江戸というと、一般的には、西は四谷、大木戸、東は本所、深川という、いわゆる御府内のイメージであり、今でいえばおおむね二十三区に相当するものと思います。その江戸の発展を支えたのは、多摩であることを忘れてはなりません。江戸前の魚とともに、多摩の農産物が江戸の食卓をも飾りました。江戸が世界に類を見ない清潔な都市であったのも、玉川上水が運ぶ清浄な水であり、多摩の農業と組み合わさった、し尿処理、リサイクルのシステムなのであります。
  すばらしい歴史を持った多摩を、次の時代へ、さらに発展した形で引き継いでいかなければなりません。そのためには、多摩の特性や可能性を十分に踏まえた政策を実行していくことがとても重要です。
  先月、多摩テクノプラザが開設されたことは、最先端技術やものづくり産業が集積し、大学、研究機関が多数集まる多摩の特性に応じた施策であり、多摩シリコンバレーの形成に向けた大きな力になると思います。
  また、来年度から隅田川ルネサンスが開始されますが、多摩川では既に「たまリバー五十キロ」が整備され、新しいにぎわいづくりが進んでおります。
  平成二十五年には、多摩・島しょ地域を中心とした東京国体が開催されます。と同時に、多摩が東京に移管されて以来、百二十年の節目の年にも当たります。まさに、多摩地域全体のアイデンティティーを高めていくための絶好の機会であり、この年に多摩の持てる力を十分に引き出し、全国に発信していくことは、東京全体の魅力を高め、発展させていくことにもつながります。
  そこで、この平成二十五年という多摩地域にとって節目の年に、歴史や文化を伝える取り組みを行うなど、多摩の魅力をみずから考え、発信できるような新たな取り組みを早期に検討すべきと思いますが、所見を伺います。
  次に、高齢者施策について伺います。
  我が党は昨年九月、少子・高齢化政策推進本部を立ち上げ、少子高齢化問題に会派を挙げて取り組んできました。
  高齢化政策推進部会では、東京の高齢者が生き生きとして安心できる社会の構築を目指して、就労、住宅、医療、介護、四つのテーマを設定し、さきの十二月定例会には、早期に実現すべき緊急性の高い特別養護老人ホームに対する経営支援と、高齢者就業施策の実現について緊急提言を行ったところであります。
  その特別養護老人ホームへの支援について伺いますが、都は昨年六月、都内の特養における医療的ケアの実態調査を実施し、ほぼすべての施設において、胃瘻、経管栄養などの処置が行われていることがわかりました。
  こうした入所者への対応として、各施設では、国の基準以上の看護師を増配置するなどの努力をしていますが、特養では簡易な医療提供は想定されているものの、看護職員については日常的に夜勤の配置がされていないのが現状であります。
  そこで、こうした医療的ケアが必要な方々を受け入れた特別養護老人ホームに対する今後の支援策について所見を伺います。
  さて、高齢化対策では、介護人材の確保、育成も重要なテーマです。
  我が党は十二月定例会において、将来に向けた介護人材の確保策について主張し、都はそれを受け、離職者などが働きながら介護福祉士等の資格の取得ができる介護雇用プログラム事業を開始しました。
  先日、この事業に参加する介護事業者を公募したところ、多くの事業者から応募があり、すぐれた事業計画を提案した事業者を承認したと聞いています。しかし、今回承認を受けられなかった事業者や、応募する機会を逃した事業者からは、もっと質の高い事業計画にしたいとか、準備する時間がなかったといった声があるのも、また事実であります。
  そこで、こうした要望にこたえて、この介護雇用プログラム事業をさらに拡大するべきと考えますが、所見を伺います。
  次に、地球温暖化対策について伺います。
  地球温暖化対策は、将来に向け、我々世代が責任を持って果たさなければならない重要な課題であります。昨年末のCOP15では、残念ながら先進国と途上国との溝が埋まらず、十分な成果を上げることはできませんでした。
  鳩山首相は昨秋、主要排出国の参加を得ることを条件に、二〇二〇年までに一九九〇年比二五%削減と、目標だけは高く掲げられました。この削減目標は、都の目標である二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%削減より厳しいものとなっていますが、いまだどこまでを国内の削減で達成するかなどの基本的な考えや具体的な方策について示されそうにありません。
  こうした大言壮語の中身のない政府の対応を待つことなく、これまで積み重ねてきた都の温暖化対策の柱ともいうべき都市型キャップ・アンド・トレードが、この四月、削減義務期間の開始を迎えます。
  都の制度は、世界の都市におけるキャップ・アンド・トレードのモデルとなるものとして、制度構想の公表以来、国や他の自治体のみならず、世界じゅうからも問い合わせが多いと聞いています。
  そこで、都の制度に対する内外の反響について伺います。
  都の制度は、日本では初めてであり、オフィスビルをも制度の対象とする点では、世界で初めての制度であります。これを円滑に実施に移し、削減の実績を上げてこそ、他への模範足り得るものと考えます。まさに我が国の今後の温暖化対策の趨勢を決する重要な試金石といっても過言ではないと思います。
  しかし、この制度をスムーズに進めるためには、何といっても事業者側の理解を求めていくことが不可欠であります。そこで、制度の実施を直前に控え、対象事業所にとってのメリットを確認するとともに、実施に向けた都の取り組み状況について伺います。
  また、これからの温暖化対策を進めていく上で、中小規模事業所において環境価値、いわゆる中小クレジットを認めるという仕組みは極めて重要です。中小規模事業所に経済的なメリットを与えて、その削減を促進させるとともに、それを義務履行に活用できるとしているキャップ・アンド・トレードにとって、その円滑な運用に欠くことのできない要素であります。
  そこで、都制度における中小クレジットの特徴と、クレジット創出に向けた今後の進め方についてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔知事石原慎太郎君登壇〕
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◯知事(石原慎太郎君) 吉原修議員の一般質問にお答えいたします。
  今後の子どもたちの教育のあり方についてでありますが、かつて日本には、謙虚であるとか自己犠牲、勇気といった武士道にも象徴されるさまざまな美徳が項目としてうたわれておりました。
  戦前は、教育のあり方を示した一つの規範として教育勅語というものがありましたし、中でも孝行であるとか友情であるとか謙虚といった普遍的な価値をいわばアイテムとして暗唱することで、子どもたちはこれを覚えてまいりました。これを古いというのは、私は必ずしも当たらないと思います。普遍的な価値は、子どものときから、いわば刷り込みという形で教育すべきものだと思います。
  例えば、非常に数学に関して平均的に高い数字を持っているインド人は、日本などと違って、高級の学校では、何と九十九までの九九──九九というんでしょうか、日本人が教わっている九九は、せいぜい九、九、八十一ですけれども、インドでは、下は、つまり二十三掛ける二十四とか二十三掛ける二十五、二十五掛ける二十五まで、上は九十九掛ける九十九までを、掛け算の教育じゃなくて、お経を暗唱するみたいに、とにかく暗唱して覚えている。
  ですから、インドのまちで買い物しましても、普通の店員がおつりを間違えないという顕著な、要するに表示があるわけでありますが、戦後、立場を超え、世代を超えて持ち続けるべき、いわば垂直な価値の基軸が毀損されまして、履き違えられた自由と権利が日本全体を損なってきたと思います。
  郷土や国家、伝統や文化というものを離れて、我々が日本人として存在することはあり得ず、これを本質的に立て直していく努力をしなくてはならないと思っております。
  日本の自然と文化の中に培われ、古い時代から一貫して続いてきた日本人の特質を、現代から未来にかけて子弟につないでいくことは、私たち大人の責任であると痛感しております。
  次いで、現代の若者に必要な歴史教育についてでありますが、本来、歴史教育とは、その国の風土を慈しみ、先人たちの功罪を学びながら、功の部分を今後どう生かすかを考えさせるものだと思います。
  そのためには、まず正確に歴史として存在した事実を教えることが必要であると思います。それによって子どもたちは、みずからそれについて考える力を身につけていくと思います。その結果、その国と先祖同胞の逸材をこよなく愛するという姿勢もはぐくまれてくると思います。国家的なるものへの愛着、敬意を附帯させない歴史教育というのは、私は意味がないと思います。
  国際社会において、自分のよっている国、日本を誇りとして、日本人としての気概を持って、その心意気を広く発信できる資質を若い人たちは備えていく必要があると思います。だからこそ、日本の若者は自国の歴史をしっかりと学ばなければならぬと思います。
  私、かつて知己を得ました、第二次世界大戦のときの世界のエース、エースというのは、敵味方離れて、その戦いの中で空軍で一番たくさんの敵機を撃ち落とした、第一次大戦ではドイツのリヒトホーフェンでありましたが、第二次世界大戦では日本の坂井三郎さんというパイロットでした。
  この方から話を聞きましたが、彼が、まあ、亡くなりましたけれども、亡くなる二、三年前に、中央線に乗っていたら、目の前で、昼前でしたけれども、三多摩の方の大学に通っていく大学生が話をしていた。黙って、瞑目して、とにかくその話を聞いていましたら、そのうちに話題が移って、片方が片方に、おまえ、知ってるか、六十年前、日本とアメリカは戦争したんだってよといったら、片方が、うそっていうから、本当だよと。片方が驚いて、じゃ、どっち勝ったのと聞いたと。
  これは悲痛な話であります。聞いた人が、あのアメリカも尊敬して、私の知っている、記者クラブにも講演に招いたような坂井三郎さん。だから、いたたまれずに、次の駅でおりて、ホームの端っこで、たばこを二本続けて吸ったそうであります。
  こういう歴史に関するみじめな現況というのは、恐らく世界にはないと思います。日本だけでしょうね。こういったものを立て直さないと、私たちはこの国の将来を大きく失うことになるんじゃないかという気がいたします。
  他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
    〔教育長大原正行君登壇〕
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◯教育長(大原正行君) まず、学習指導要領における日本史の位置づけと都立高校における日本史学習の現状について申し上げます。
  文部科学省が定めた学習指導要領において、中学校社会科の歴史的分野では日本史を中心に学習することとされているために、高校では世界史のみが全生徒の必修となっており、日本史については、地理か日本史のいずれかを選択すべきものとされております。
  しかし、中学校においては、各時代の特色をあらわす基本となる歴史的事項を中心に学習するにとどまっており、都教育委員会は、日本の歴史の価値を十分認識させるためには、高校生に日本史を継続して学ばせることが必要であると考え、全都立高校における日本史の必修化を決定いたしました。
  また、都立高校における日本史学習の現状につきましては、全生徒が日本史必修となっている学校や、一部の生徒が日本史必修となっている学校のほか、日本史を未設置の学校もございます。
  生徒について見ますと、本年度の卒業生約四万人について申し上げますと、約七六%、三万五百人の生徒が日本史を学習して卒業する一方で、約二四%、九千五百人の生徒が日本史を学習しないまま卒業することとなる、こういう状況にございます。
  次に、都立高校における日本史必修化の方法とスケジュール及び東京都独自の日本史科目の内容についてでございます。
  都教育委員会は、平成二十二年度に東京都独自の日本史科目を開発し、平成二十三年度に日本史必修化協力校を設置して試行実施いたします。さらに、各学校に対して、学習指導要領にある日本史科目あるいは東京都独自の日本史科目のいずれかを生徒全員が必ず学習するカリキュラムを作成するよう指導し、平成二十四年度から全都立高校で日本史の必修化を実現してまいります。
  また、東京都独自の日本史科目については、これは江戸開幕から現在に至るまでの日本の近現代史を、江戸・東京の変遷を切り口として学ぶ科目でございまして、現在の東京に残る史跡ですとか文化財等を活用し、地理的視点も踏まえて総合的に学習するものでございます。
    〔総務局長中田清己君登壇〕
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◯総務局長(中田清己君) 多摩の文化の継承と発展に関する取り組みについてお答えいたします。
  東京国体が開催される平成二十五年は、多摩地域にとって、過去の歴史を踏まえ、未来を展望する上で大きな節目の年と認識しております。
  この年に、多摩の歴史や文化を伝えることにより、多摩地域に住む方々が、その多様な魅力や特色につきまして振り返り、地域発展の原動力としての意識を高めることは、ご指摘のとおり時宜にかなったものであり、意義深いものであると考えております。
  こうした動きを地域全体で盛り上げ、さらなる活力と魅力にあふれる多摩を実現していくため、関係局や市町村とも連携し、多摩の多様な魅力をとらえ東京内外に発信するための取り組みにつきまして検討してまいります。
    〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕
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◯福祉保健局長(安藤立美君) 二点についてお答え申し上げます。
  まず、特別養護老人ホームへの支援についてでありますが、特別養護老人ホームの中には、胃瘻や経管栄養などの医療的ケアを必要とする高齢者を受け入れるため、職員配置や勤務時間の変更など、さまざまな工夫を行っている施設もあります。
  こうした施設の努力を適切に評価するため、来年度から、特別養護老人ホーム経営支援事業において、一定の看護職員配置などを条件に、医療的ケアが必要な入所者の多い施設を対象とする加算項目を新たに設けることといたしました。
  今後とも、医療的ケアのニーズへの対応など、利用者サービスの向上に努める施設を支援してまいります。
  次に、介護雇用プログラムについてでありますが、この事業は、介護現場での雇用機会を創出するとともに、質の高い人材を確保、育成するため、都が介護事業者に委託をして、離職者等が働きながら介護福祉士などの資格を取得することを支援するものであります。
  本年二月に行いました事業者の公募におきまして、七十七の事業者から応募があり、職員の育成計画や定着のための取り組みなどを重視して審査をし、四十八事業者を委託先として承認をいたしました。これにより、二百八十人の離職者等が雇用されることとなりました。
  なお、今回承認した介護事業者以外にも、本事業の実施を希望する事業者がいることから、今後、追加公募について検討してまいります。
    〔環境局長有留武司君登壇〕
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◯環境局長(有留武司君) 三点のご質問にお答えいたします。
  まず、都のキャップ・アンド・トレード制度に対する内外の反響についてでありますが、まず国内では、昨年都が主催した道府県、政令市向けの政策セミナーに、全団体の約八割の参加を得ましたが、その後も実務担当者からの照会が続いております。
  次に、海外からは、欧州連合地域委員会や英国王立研究所、ケベック州、ソウル市など、数々の政府機関、自治体から強い関心が寄せられております。
  また、建築家や都市開発事業者による国際会議では、都の制度が今後の建築物への省エネ技術の活用を促進する先駆的な政策として紹介されました。
  今後とも、都は、気候変動対策のトップランナーとして、世界の範たる制度となるよう、ICAP、国際炭素行動パートナーシップなどを通じて、国内外との情報の受発信を一層進めてまいります。
  次に、対象事業所のメリット等についてでありますが、対象事業所が省エネ等により排出量を削減した場合には、将来にわたって光熱費を節減できるだけでなく、義務量を超えて削減した分を売却できるという経済的メリットがあります。
  また、実施に向けた都の取り組み状況につきましては、一昨年の条例改正以降、二十数回に及ぶ説明会を開催しまして、延べ一万人を超える事業者の方々にご参加をいただいたほか、ヘルプデスクを設置し、個別の相談にも当たってまいりました。
  今後、優秀な取り組み事例の紹介やテナント向けセミナーの開催などを行うとともに、積極的に削減に取り組む事業者が社会的に評価されるよう、公表制度の活用を図るなど、本制度の成果を確実なものとしてまいります。
  最後に、中小クレジットの特徴とクレジット創出に向けた進め方についてでありますが、都制度においては、中小規模事業所が省エネ設備を導入し、総量の削減を達成した場合には、その削減量を、大規模事業所の義務履行に利用可能な中小クレジットとして認定できることとしております。
  この中小クレジットは、認定の対象となる省エネ対策をあらかじめ都が提示するとともに、認定に必要な検証を簡易にするなど、事業者に取り組みやすい制度となっております。
  今後、今月末を目途に、認定や申請の手続などを定めたガイドラインを策定するとともに、本年六月ごろに事業者向けの説明会を開催しまして、制度の周知を図ることで、クレジットの創出を促進してまいります。

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