【委員会】平成21年3月12日 平成21年度予算特別委員会
2009.03.12 : 平成21年度予算特別委員会
◯吉原委員 まず初めに、平成二十一年度予算について何点かお伺いをさせていただきます。
現在の日本経済は、消費の低迷や株価の暴落など極めて厳しい状況にあることは、もういうまでもありません。このようなときこそ思い切った経済対策が必要ではないかというふうに思います。
経済対策はそもそも国の役割でありますけれども、百年に一度といわれる経済危機の中、都は二度にわたって補正予算で迅速な対応を行いました。そして、二十一年度予算で一般歳出をしっかりと伸ばしており、積極的な取り組みが感じられているところであります。
そこで、二十一年度予算を経済対策としての側面から見た場合にどのようなことがいえるのか、特徴をお伺いいたします。
〔石川副委員長退席、委員長着席〕
◯村山財務局長 二十一年度予算では、日本経済が危機に直面する中、都民生活を守り、東京の将来に責任ある立場から都がなすべき役割を確実に果たしていくという考え方に立ちまして、経済対策についても、都としてとり得る手だてを積極的に講じております。
まず、高まる都民の不安を受けとめ、急速に悪化する雇用環境へのきめ細かな対策を行うとともに、厳しい経営環境にある中小零細企業に手を差し伸べるための支援策を迅速に実施してまいります。
また、危機克服への活力を生み出す先駆的取り組みとして、温暖化対策等環境分野を初めとする先進技術の支援などに積極的に取り組んでまいります。
さらに、東京の将来を見据え、投資効果の高い都市インフラの整備を着実に推進してまいります。その際、予算面、契約面から中小企業の参画を促進する体制を構築しております。
このように、今回の予算は、東京の経済活力を高める対策という点においても、危機克服への原動力となり得る予算だというふうに考えております。
◯吉原委員 経済対策として必要なことがしっかりと盛り込まれているんではないかな、そんな印象を受けているところであります。今こそ有効な雇用対策と将来の雇用を生み出す源となる産業の活性化、この両面からしっかりと取り組んでいく必要があると思っています。
今回の予算でも、雇用対策と産業振興は重点になっていると思います。それが予算上も明確にめり張りをきかせたものになっていると思いますけれども、具体的な数字を交えてお聞かせをいただきたいと思います。
◯村山財務局長 二十一年度予算は、財政規模が三・八%の減という中にありまして、いわゆる政策的な経費である一般歳出につきましては二・九%の増額とし、さらに、その中でも予算を目的別で見た場合の労働と経済の分野につきましては、対前年度比で二九・三%増と、一般歳出の伸びをさらに大きく上回る規模を確保してございます。
また、これ以外の各分野においても、雇用や産業振興に意を用いた施策について、積極的に計上いたしております。
これらの中には、区市町村と連携した公共事業を通じた雇用の創出の取り組みに三十億円、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策に三百億円、省エネ設備の導入促進により地球温暖化対策にも寄与する中小企業設備リース事業に八十七億円などが含まれております。
このように、今回の予算では、雇用対策や産業振興の分野について、都民の不安を取り除き、危機克服への新たな活力を生み出す施策に重点的に財源を配分しております。
◯吉原委員 我が党は、今年度、例年の予算要望に加えまして、二度にわたりまして緊急要望を行ってまいりました。これらの要望は、我々が日ごろ接している都民の皆さんや中小企業の方々からの切実な声のまさに反映であります。都の予算は、これをきちんと受けとめていただき、石原知事の強いリーダーシップのもとに、都民が直面している課題に対して思い切った対策で、まさに都民の意思を的確に反映していただいているものと思っています。
まず、公共事業について伺います。
公共事業には、本来の効果とは別に、需要喚起や雇用の創出といった経済対策的な効果もあるわけであります。かといって、経済対策であれば、むだな投資でも需要創出につながりさえすればよいということでは決してありません。重要なことは、実施される事業が本当に都民や国民の利益につながっているのかということであります。
東京では、多摩南北道路や区部環状道路など、整備効果の高い幹線道路の整備促進がまだまだ必要だと思います。渋滞解消のための連続立体交差化によるあかずの踏切対策、また、他の先進国に比べてもおくれている電線の地中化、これもまた、都市の景観や安全性の向上にも大変重要なインフラでもあります。
昨年度、新宿から池袋まで完成をいたしました首都高新宿線は、首都高都心環状線の混雑を大幅に緩和いたしました。これがさらに延長して品川線まで完成すれば、首都高全体の混雑緩和はもちろん、経済の面でも大きな効果が見込まれているわけであります。品川線の完成によって具体的にどのような効果が期待されるのか、確認の意味でお伺いいたします。
◯道家建設局長 首都高速中央環状線は、首都圏三環状道路の一つとして高速道路ネットワークを効率よく機能させ、人や物の円滑な流れを実現するとともに、一般道路の渋滞緩和や環境改善にも大きく寄与する重要な路線でございます。
このうち品川線は、平成二十五年度の完成を目指し、都みずからも共同事業者となり、整備を進めております。整備に当たりましては、沿道環境への影響が最も小さい地下構造を採用するなど、環境に最大限の配慮を行っております。品川線の完成により中央環状線のリングが形成され、首都高速道路の交通渋滞がほぼ解消いたします。
また、一都三県において、走行時間の短縮効果など年間約三千億円にも及ぶ経済効果が生じるとともに、CO2排出量が年間約四十万トン減少するなど、環境面でも大きな効果が期待できるものでございます。
◯吉原委員 ただいま品川線を例にとって伺ったわけでありますけれども、こうした事業効果の高い施策を積極的に実施しながら需要を喚起していく、このことが大変重要だと思います。
我が国全体としても、経済対策を進めていく上で、事業効果の高い公共事業を選んでいくことこそが今後ますます大事な視点でありまして、国の追加の補正なども報道されておりますけれども、都として推進することはもちろんのこと、国に対してそうした事業効果の高い東京の取り組みを十分理解してもらえますように、積極的な働きかけが重要だと思います。
同時に、それらの大型の公共事業だけではなくて、地道ではありますけれども、都民にとって重要な公共事業もあります。例えば学校の耐震化の促進、これは、安全対策はもちろんのこと、需要の創出にもつながるわけであります。そして、仕事不足に苦慮している中小企業にとっても有効な対策になると思います。
さらには、これからの東京の活力を生み出す産業を積極的に育成するという視点も重要ではないかというふうに思います。
東京都が展開するカーボンマイナス東京十年プロジェクト、地球の温暖化を防止するための多面的な取り組みであります。施策の効果についても、CO2の排出削減だけではなくて、新しい技術の進歩、そして発展という大きな広がりを持っています。太陽光パネルの導入先進国となりましたドイツでは、太陽光パネルを初めとした再生可能エネルギー産業のトップランナーとなりました。それらの産業群がドイツ経済を大きく牽引するその源になっているわけであります。
また、来年度から東京都は、中小企業が電気自動車を購入する際の補助や、都民が購入するときに生ずる自動車税、そして自動車取得税の免除などの政策が、今、冷え切っている消費意欲を押し上げていくことになると思いまして、大いに期待をされるところであります。
これらの例を引くまでもなく、今後ますますこうした先進的な取り組みが景気浮揚の面からも極めて重要だと考えますけれども、見解を伺います。
◯有留環境局長 CO2の大幅な削減を図るためには、世界でもトップクラスにある日本の環境技術をフルに活用して、省エネの促進や再生可能エネルギーの導入を図ることが重要でございます。
こうした認識に立ちまして、都は来年度、太陽エネルギー利用機器や次世代自動車の導入補助、さらには都独自の環境減税の実施といった先駆的な施策に取り組んでまいります。
これらの施策は、温暖化防止に資するだけでなく、消費意欲を刺激するとともに、技術開発を促すなど、環境関連産業の活性化にも貢献するものと認識しております。
◯吉原委員 経済対策としても有用な側面を持つこれらの対策でありますが、今、いろいろお話しをいただきましたけれども、何よりも大事なことは、やはりポイント・オブ・ノーリターン、こういうふうに知事は常々おっしゃっていますけれども、もはや後がない現状のもとで、地球温暖化に対しましてどれだけ真剣に取り組んでいくのかが、まさに問われているものと思います。
その際、真剣に考えれば考えるほど、果たして一自治体の取り組みが地球規模の課題に対してどこまで影響を及ぼし得るのかというような意見もあると思っています。
自治体の限界という議論と、そして、自治体だからこそできる現場に根づいた政策という議論もあると思いますが、首都東京の自治体の長として、温暖化対策と自治体のかかわり方に対する知事のご所見をお伺いしたいと思います。
◯石原知事 これはおっしゃるとおり、この人類の存亡をかけた温暖化の問題というものは、東京ひとりがあくせくしてもどうなるものじゃございません。ただ、やはり、だれかがとにかく最初に石を運んで積まなくちゃいかぬという思いで、東京もやっているわけでありますけれども、いずれにしろ、人口と経済活動がこれだけ集中、集積している大都市のCO2削減に向けた役割は──役割といいますか、使命は非常に大きいものだと思います。特に世界有数の大都市である東京の取り組みは、我が国、ひいては世界の温暖化対策をリードするものになるべきだと思います。
しかし、おっしゃるとおり、リードはただのリードでありまして、結果として国全体が動かなければどうにもならぬことでありますけれども、具体的にいえば、都が導入するCO2削減義務は、我が国の最初の取り組みでありまして、大都市に多いオフィスビルなども含め義務の対象としたのは、世界初であります。
こうした都の先進的な温暖化対策が各地で実施されれば、多大なCO2削減の効果が期待できます。既に東京は、周囲の県と協調してディーゼル車対策に乗り出して、ある程度の成果を得たと思いますが、そうした経験もありまして、温暖化対策についても近隣自治体とさらに提携を強めていきたいと思っております。
さらには、世界の大都市とともに、C40、これは世界大都市の気候先導グループということでありますけれども、このC40を通じて、これまで培ってきた技術や経験を分かち合って、一緒に世界的な範囲で大都市が先陣を切って具体的な対策に取り組んでいきたいと思っています。
現に昨年、東京で、私が主唱しまして、首長じゃなしに、その自治体というものを代表する専門家に集まってもらいまして、具体的に十三項目の案を出しまして、ことし行われますソウルの年次総会でもそれを発表しようということになりました。
今後とも、東京はみずからの役割を着実に果たして、CO2の大幅な削減に貢献していきたいと思っております。
◯吉原委員 ただいま知事からも、日本は先駆けて、世界のどこの国よりも、あるいはどの都市よりも先進的な取り組みをしている、こういう力強い答弁をいただきました。これからも引き続き、東京都として温暖化対策、さまざまな形で展開していっていただきたい、そういうふうに思います。
電気自動車や太陽光パネルの導入などのさまざまな環境施策の推進は、先進的技術の発展にも寄与しているわけであります。これからの日本経済を牽引する新たな産業の芽を大きく成長させることにつながるのだろうというふうに思います。
だとするならば、産業振興というのは、何も産業労働局だけが行う施策に限定されるものではなくて、ほかの行政分野での施策を実施するときにも産業振興的な視点を取り入れていくということによって、環境施策も産業振興策としても十分に機能することになるんだろうというふうに思います。
不況の真っただ中にある今だからこそ、東京は我が国経済の牽引役として、こうした複合的な視点で取り組んでいくことがより一層重要になるというふうに思います。
局横断的な施策を推進する立場から、知事本局長にお伺いをいたします。
◯吉川知事本局長 現在直面する危機を克服し、都市の活力を向上させるためには、さまざまな分野にわたる複合的な施策展開が重要でございます。
平成十八年十二月に策定いたしました「十年後の東京」計画では、お話しの環境や福祉、安全などの社会的課題を解決し、豊かな都市生活を実現する産業を創造的都市型産業と位置づけまして、新製品、新技術の事業化を集中的に支援する重点戦略プロジェクトや研究開発、販路開拓支援などを進めてまいりました。
とりわけ環境ビジネスは、地球温暖化防止の世界的潮流の中で極めて高い成長が見込まれておりまして、東京、ひいては日本の持つ世界最先端の環境技術は、日本経済の再生に向けて大きな原動力になるものと考えてございます。
昨年の暮れに改定いたしました実行プログラム二〇〇九におきましても、太陽エネルギー利用機器の四万世帯への導入促進や、次世代自動車一万五千台の普及などの取り組みを盛り込みましたが、地球温暖化対策のさらなる推進に資する、次代をリードする環境ビジネスの振興に取り組んでまいりたいと思います。
今後とも、環境先進都市東京がその価値をさらに高め、日本経済を牽引していくため、全庁一丸となって重層的、複合的な取り組みを推進してまいります。
◯吉原委員 次に、今の都政にとりましてとても重要な課題であります緊急的な雇用への対応についてお伺いをいたします。
昨日、我が党の鈴木一光理事より、政府の基金事業も含めまして質疑がありました。私からは都の予算に関して伺いたいと思います。
今回の予算には、区市町村と連携して延べ三十万人の公的雇用を創出するための支援策が盛り込まれています。この事業を実施する際には、雇用のための仕事をつくり出すという発想ではなくて、やはり地域の課題に向き合う区市町村が、都の支援策をうまく活用してみずからの行政課題の解決を図ること、それが雇用の創出にも当然つながるという、よりよい循環をつくり出すことが重要であります。
これから具体的に区市町村と公的雇用創出の連携事業を効果的に実施するに当たりまして、どのような工夫を行っていくのか、お伺いをいたします。
◯佐藤産業労働局長 区市町村と連携をした雇用創出事業につきましては、その実効性を上げていくために、福祉、環境、地域振興といった幅広い分野の新規事業を補助対象といたしますとともに、人件費比率五割以上など、取り組みやすい要件として、区市町村の創意工夫が生かせるようにしているところでございます。
ご指摘のように、雇用創出と同時に区市町村みずからの行政課題の解決を図るためにも、この事業は十分活用できるものであり、既に区市町村は、直接実施や企業委託等による多様な事業が実施できますよう準備に着手をしております。
今後もさまざまな工夫を行いまして、区市町村と連携をし、地域において新たな雇用を創出してまいります。
◯吉原委員 ぜひお願いをしたいと思います。
国も雇用対策に非常に積極的であります。一月に成立した国の第二次補正予算にも、求職者の安定的な雇用機会の創出に向けた対策が盛り込まれております。都としてもこれを積極的に活用し、雇用機会の創出を図るべきだろうというふうに思います。
国の事業は、都の事業と比べると、運用上難しい課題もあるかもしれません。せっかくの貴重な財源ですので、ぜひともこれを有効に活用していただいて、積極的に進めてもらいたいというふうに思います。
さて、さきの本会議代表質問で我が党の高島幹事長は、介護人材が大幅に不足している現状を踏まえて、離職者を介護分野への就職につなげていくべきであると指摘をいたしました。これに対しまして、福祉保健局長からは、介護職場への就職を目指す離職者を対象に、差し当たっての生活と将来の就労に対する支援を行う、こういった前向きの答弁をいただきました。
支援の具体的内容と、これによりどのような効果が期待されるのか、まずはお伺いをしたいと思います。
◯安藤福祉保健局長 都は三月の五日、東京都健康プラザ「ハイジア」内に相談窓口、TOKYOチャレンジ介護を設置し、介護職場を目指す離職者等への支援を開始いたしました。
具体的には、介護資格取得費用の助成や福祉人材センターによる介護職場への就労支援を行うとともに、対象者を介護職として継続雇用した事業者には助成金を支給いたします。
また、離職により仕事と住まいを失った方については、都が借り上げた住宅の提供や生活費の無利子貸し付けもあわせて行います。
このように就労と生活にかかわる一貫した支援を行うことにより、離職者等の生活の安定と不足する介護人材の育成、確保を目指しているものでございます。
◯吉原委員 福祉施策と雇用対策のマッチングという複合的な着眼は、時宜を得た大事な取り組みでありまして、大いに期待をするところであります。
しかし、一方で、介護人材確保の問題は大変根が深いものがあります。なかなかそれだけで大きな効果が出し得るのか、懸念がないとはいい切れません。だからこそ我が党は、介護人材確保につなげるよう、雇用改善に向けた経営コンサルタントに係る経費の補助の導入や、そこに働く介護職員さんたちが少しでも勤務が軽減されるように、浴室のリフトなどの補助などを求めて、それを実現したわけであります。介護人材を確保していくためには、そうした幅広で重層的な取り組みがやはり必要であります。
そこで、広い意味で介護人材の確保に資する取り組みとして、都としてどのような取り組みを行っているのか、お伺いをいたします。
◯安藤福祉保健局長 都は、福祉人材センターを設置し、福祉、介護分野への就職希望者に対して相談やあっせんなどを行い、都民に介護サービス等を提供する人材の確保に努めておりますが、さらに来年度から、介護人材の確保、定着に取り組む介護事業者を支援するために、介護保健施設等の行う求人、採用活動経費、職員の資格取得経費などについても補助を実施してまいります。
また、国も来年度から、都内のハローワークにおいて福祉人材コーナーを設置し、介護分野への就労をきめ細かく支援することとしております。
都はハローワーク等と密接に連携し、地域に密着した就職相談、面接会を多摩地域でふやすなど、身近な地域における介護人材の確保に向けた取り組みを強化してまいります。
◯吉原委員 高齢化は今後ますます進んでまいります。介護は、我々にとりまして非常に切実で重要な課題であります。福祉施策と雇用対策の両方で相乗効果が高められますように、全力で取り組みを進めてもらいたいというふうに思います。
次に、直接的な雇用対策という意味合いからは少し離れますけれども、雇用を広くとらえると、例えば学校において、外部人材のすぐれたノウハウを取り入れての積極的に活用していくという視点も非常に重要だというふうに思います。不足している人材を広く外部から確保していくことに前向きな取り組みを行うべきだと思います。
学校での部活動では、文化部あるいは運動部を指導できる先生がいなくなったために、休廃部とならざるを得ないケースが毎年二百ケースもあるようであります。これは、学校における外部人材活用のニーズの高さを示す事例の一つであるわけであります。
今定例会代表質問において、我が党は、外部人材活用拡大に向けた人材バンク設置の必要性について質問をいたしました。これに対しまして教育長からは、人材バンクの設置に向けて学校の具体的なニーズの詳細な把握とともに、外部人材の確保や学校と人材を的確にマッチングする手法、人材バンクの運営主体などについて検討を進めていく旨の答弁がありました。これらの検討事項の中では、外部人材の確保が最も難しく、ポイントになるのではないかというふうに考えます。
多くの外部人材を確保していくためには、大規模なPR、そして募集活動を行うことが、まず考えられます。しかし、それだけではまだまだ不十分ではないかというふうに思います。幸いにも区市町村、各地域には、文化協会や体育協会、また退職校長会などの学校のニーズに合った適切な人材を抱えている団体が幾つもあります。そうした各種団体と連携していくことは、人材バンクが外部人材を確保していく上で極めて有効と考えますが、所見を伺います。
◯大原教育長 人材バンクを設置いたしまして学校に適切な人材を迅速に紹介していくためには、さまざまな人材を十分に確保することが不可欠でございまして、このことは人材バンクの成否を握る、いわばかぎというふうに考えております。
そこで、今後は、お話の文化協会や体育協会、あるいは退職校長会を初めとして、地域の大学や民間企業などとの連携を通じまして、それらの人材情報やネットワークを活用していくことを含めまして、有効な人材確保策を具体的に構築してまいります。
◯吉原委員 従来からの団塊の世代に当たる教職員の退職する時期を迎えている状況下にありまして、私たちは退職校長会の皆様と、教育に関するさまざまな課題について勉強会を重ねてまいりました。この中で、再任用などの都の人事制度の対象とならない六十六歳以上の退職教職員には、教育への意欲や熱意、あるいはすぐれた指導力を有する人材がいるにもかかわらず、まだまだ十分活用されていないというふうに思います。私は、こうした人たちをボランティアとして活用することで教育水準の向上につなげられるものと思います。
現在、退職教職員のボランティアとしての活用はどうなっているのか、また、都教委としてどのように対応されているのか、伺います。
◯大原教育長 都教育委員会は、退職教職員のボランティア活用に対するニーズを把握するために、平成二十年七月にアンケート調査を実施いたしました。その調査から推計をいたしますと、都内全公立学校約二千二百校のうち、退職教職員を活用している学校は約千五百校でございますが、そのうちでボランティアを活用している学校は百六十校程度にとどまっております。その一方で、退職教職員を活用していない約七百校のうちの半数程度は、今後、退職教職員をボランティアとして活用したいという意向を持っております。
また、学校が希望するボランティア活用の具体例といたしましては、おっしゃるように、部活動の指導や放課後の相談活動などが挙げられておりまして、これらの活動においては、豊富な知識、経験に加えて、教育に貢献したいという志を持ったボランティアの活動に多くの効果が期待できます。
このように、学校におけるボランティア活用の潜在的なニーズは高いものがありますことから、都教育委員会は、平成二十一年度から退職教職員ボランティア活用事業を全校種において開始することといたしまして、学校のニーズにこたえたきめ細かい教育活動の展開を図ってまいります。
◯吉原委員 ありがとうございます。
学校の外部人材にも、今、退職された教職員の問題がありましたけれども、地域には体育協会あるいは文化協会、それぞれ師範があったり、高度な技術や、あるいは豊かな人生経験を積み重ねている方々がたくさんいらっしゃるわけでございまして、ぜひ子どもたちのためにもご活用いただけるような、そんな方策をこれからお立ていただきたいというふうに思います。
今まで何点かお尋ねをしてまいりました。都民が必要とする雇用対策と経済対策が広がりを持った形で十分に盛り込まれた予算であろうかというふうに思います。
次に、救急医療体制について伺います。
救急医療の東京ルールを定めて、地域が連携して救急患者を受けとめていく体制をつくり上げていくことになっていると思います。何といっても、その中心になるのが地域救急センターであります。このセンターの役割として、日ごろからの地域連携を進めていく機能と、地域内のほかの救急医療機関では対応が困難な患者を受け入れる機能を持つ、こういうふうに聞いております。
このセンターは、通常の二次救急医療機関よりも多くの対応を求められることになると思いますけれども、要件をどのようにしていくのか、また、指定する場合には地域的なバランスを十分考慮の上、指定すべきと思いますけれども、見解を伺います。
◯安藤福祉保健局長 東京都地域救急センター(仮称)は、お話のように、病院選定が困難となっている救急患者に対しまして、地域内で受け入れ医療機関を探すとともに、調整を行ってもなお受け入れ先が見つからない場合は、みずからも積極的に受け入れに努めるという役割も担うものであります。
そのため、主として地域内の調整を担当する医師の配置とともに、救急患者受け入れに即時に対応ができるよう、救急専任看護師及び検査技師等が常駐をしていること、また、集中治療室を有していることなどを指定要件とする予定であります。
地域救急センターは、都内の二次保健医療圏、これは区部に七つ、多摩に五つありますけれども、この二次保健医療圏に各二カ所程度を目安として指定していきたいと思っております。
◯吉原委員 次に、脳卒中の救急医療について伺います。
都は、今週から都内全域で脳卒中の救急搬送体制をスタートさせました。脳卒中の疑いのある患者がこれまでよりも速やかに専門の治療機関へ搬送されることを、都民は当然望んでいます。脳卒中は、発症後早期に治療を受けることにより、後遺症の軽減がかなり期待できることを都民は当然知っているわけであります。しかし、この救急搬送体制ができても、脳卒中を発症したときに速やかに一一九番通報することで初めて、患者は早期治療を受けることができるわけであります。つまり、都民の一一九番が肝心だ、こういうことであります。
脳卒中を発症したらどのような状態になるのか、私は詳しいことはよく存じておりません。しかし、そのために、発症後、救急車を呼ばず、様子を見て時間がたってからようやく病院に行き、結果、後遺症に悩まされるケースは大変多いと聞いています。
都は、脳卒中救急搬送体制の整備と同じくらいのウエートを置いて、都民だれもが近くで脳卒中を発症した人がいたら、すぐに一一九番通報ができるよう、都民に対して脳卒中の兆候の見きわめ方などをわかりやすく伝えることが大事だと思います。ご所見を伺います。
◯安藤福祉保健局長 脳卒中では、発症後、速やかに適切な専門治療を受けることが患者の救命や後遺症の軽減に不可欠でございます。このため都は、都民に対しまして、脳卒中の発症が疑われる具体的な兆候、例えば突然あらわれる顔のゆがみでありますとか、手足の麻痺などでございますが、そして、発症後の早期治療の重要性などについて、新聞やポスターなどさまざまな媒体を活用してわかりやすく広報してまいります。
あわせて、一一九番通報すべきか否か迷った場合には、東京消防庁救急相談センターのシャープ七一一九に問い合わせるように呼びかけたいと思っています。また、脳卒中を発症するリスクの高い患者やその家族に対しては、かかりつけ医が日ごろから指導を行うことが重要であり、東京都医師会と協力してこうした取り組みを推進してまいります。
◯吉原委員 ぜひ早速の取り組みをお願いをしたいというふうに思います。
今後、急速な高齢化に伴いまして脳卒中患者の増加が予想されます。脳卒中医療の体制整備と都民への普及啓発は車の両輪でありますので、双方の取り組みをバランスよく進め、多くの都民が早期に適切な専門治療を受けられるように努めてもらいたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
脳卒中は、ほかの疾病に比べて療養期間が長くなります。身近な地域において速やかに急性期治療を受け、その後、その人その人の症状に合った治療を継続して受けられることを多くの患者とその家族は望んでいます。
最近では、退院後、在宅での療養を望むケースがふえているようにお聞きしております。もちろん、在宅療養といっても、そこで必要な医療や看護が確実に受けられるという大前提が不可欠であることはいうまでもありません。また、麻痺などの後遺症を軽減するためには、早期の治療とあわせて、やはり早い段階からのリハビリテーションが重要であります。このような患者の立場に立ちまして、急性期の治療からスムーズに在宅医療、あるいは回復に向けたリハビリに移行できるような環境を整えることが大切です。
急性期を脱した後の在宅医療や回復期の体制整備について所見を伺います。
◯安藤福祉保健局長 脳卒中患者などが急性期を脱した後に症状に応じた医療を受けられるよう、医療提供体制を整備することが重要であります。このため都は、回復期リハビリテーション医療の充実に向けて、来年度から新たに病棟の新設や機能訓練室の整備等に対する支援を行います。
また、在宅医療につきましては、急性期病院の医療スタッフと在宅医療を担う医師や訪問看護師などが症例を通じて相互に学び合う在宅医療相互研修事業を実施いたしまして、顔の見える連携関係の構築を図るなど、急性期から回復期、在宅医療への切れ目のない医療提供体制を整備していきたいと思っております。
◯吉原委員 知事は中学生から大学までサッカーをやってこられた、こういうふうに伺っています。地元町田には、昨年秋JFLに昇格したサッカーチームFC町田ゼルビアがあります。FC町田ゼルビアは、東京をホームとする、Jリーグで活躍をしてきている企業チーム、ヴェルディだとか、あるいはFC東京のような比較的恵まれた環境をよそに、整った施設を持たず、特定の大企業の支援もない中で、市民と選手が一体となってことしのJ2の昇格を目指しているわけであります。これを市民がみずからの地域の力を生かして生み出していこうとしておるわけでございまして、こうしたことがひいては地域振興や産業振興につながっていくものであろうというふうに思います。
こうした環境の中で、Jリーグに参加し得るチームは、一つの大きな、地域にとってはブランドだと思うわけでありまして、知事の所見を伺います。
◯石原知事 お答えする前にお聞きするんですけれども、私は日本のJリーグ、J2、J1、JFLですか、これ、チームの名前がよくわからぬですよね。ゼルビアというのはどういう意味ですか。──いや、これ、なかなかだけど、例えば北海道のコンサドーレというのは、どさんこの逆さだそうでして、もうちょっとわかりやすくしてもらうと──ハイカラでいいのかもしれませんけれども。
いずれにしろ、かつて、今J1に昇格しましたが、新潟のJ2にいたチームなどは本当に新潟の方々が育てられて、要するに、試合の中継をやるときは視聴率が地方だけでは七〇%を超したというんですね。これはやっぱり地方の結束感というものを醸成するのに非常に効果があったと思います。
そういう点では、私は、こういう激しいスポーツを行う人も、見る人もそうですが、そこで人間が極限的な体力を発揮してやる妙技というものを行う、あるいはそれを拍手で見守る、要するに勝敗に喜んだり悔しがったりするということは、地域の振興力に大いにつながると思います。ですから、町田のサッカーチームが東京の魅力を彩る新しいブランドになることを望みますし、また、ぜひJ2に昇格されることを期待しております。
◯吉原委員 ありがとうございます。
フットサルのプロチームも、町田にもペスカドーラというのがあるわけでございまして、サッカーが大変盛んであります。東京には本当にJ1で活躍している二つのチームがあるわけでありますけれども、全く地域から生まれてきた、地域の皆さんと一緒に生まれてきたサッカーチームというのはそんなに多くないわけでございまして、そういった意味では、ぜひ、J2に昇格していくような様子が見えてきたら、知事に後援会長などもやっていただくように要望しておきたいというふうに思います。
町田に限らず、都内各地のそれぞれの取り組みは、東京を代表するブランドに飛躍する可能性を秘めているわけであります。都は、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇九で、都市の魅力や産業力で東京のプレゼンスを確立すると述べております。
そこで伺いますが、先ほどサッカーの例を紹介いたしましたけれども、広い意味での東京ブランドをつくり出すための市町村のさまざまな取り組みに対しては、都としてこれを積極的に支援する必要があると考えておりますけれども、ご所見を伺います。
◯中田総務局長 地域の魅力を高め、そのポテンシャルを開花させるためには、都と市町村が相互に協力してそれぞれの課題に取り組んでいくことが重要であると考えております。
都はこれまでも、産業、観光、スポーツ、文化などの分野で、地域資源を発掘、育成する市町村に対しまして、さまざまな取り組みによりこれらを支援してまいりました。
今後は、このたび策定しました多摩振興プロジェクトも活用しまして、委員ご指摘のように、魅力のある地域づくりに取り組む市町村を積極的に支援してまいります。
◯吉原委員 ありがとうございます。
東京の特産物の育成と支援についてお伺いをいたします。
農産物でいえば、千葉の落花生、山梨では桃だとかブドウ、だれでも知っている農産物がすぐ頭に浮かぶわけでありますけれども、さて東京では、こういわれたら何でしょうか。すぐに頭に浮かぶとすれば、江戸川のコマツナ、いっときは途絶えましたが、復活の兆しを見せている練馬大根、ほかにも多々あるかもしれませんが、多くの都民が知っている特産物は数少ないと思います。しかし、実際には稲城のナシやブドウの「高尾」、東京ウドを初めとした、希少価値が高く、東京ブランドとして十分通用し得る農産物があります。
これまで都として農業特産物の開発や生産に対しては支援をされてきたと思いますけれども、東京ブランドとして全国に普及するほどの努力は残念ながら不足しているのではないかというふうに思っているわけであります。
また、都内の加工業者が知恵を絞り、開発をしてきた加工食品においても、安心して食すことができる表示として、都は東京のEマーク認証制度を立ち上げましたけれども、消費者に対しての広がりはまだまだ途上ではないかというふうに思います。
地域で生まれた加工食品や農業特産物がさらに広がれば、地域の産業振興や農業振興にも大きく役立ち、地域に活力が生まれることにつながると思います。と同時に、生産者の意欲の高揚と住民の誇りにもなります。そのためにも、まず広く都民に認めてもらえるブランド力の向上への取り組みが必要ではないかと思います。
例えば、都では各局でイベントを実施していますけれども、農林水産関係のイベントだけではなくて、局横断的なあらゆるイベントでの出店誘導の機会を産労局がコーディネート役として務めるのも一助ではないかというふうに思います。
そこで、今後、都として特産農産物のブランド力を積極的に高めていくための方策が必要ではないかと考えますが、都の姿勢について伺います。
◯佐藤産業労働局長 都内には多くの特産農産物があり、これらのブランド力を高めていくことは、農業振興の観点から重要であり、地域の活性化にもつながるものと考えております。
このため都は、農業改良普及センターが特産農産物等の生産に対する技術指導を行うとともに、魅力ある都市農業育成対策事業等によりまして、都内のさまざまな農畜産物を使ったアイスクリームやジャム等の加工品開発への支援を行ってまいりました。また、東京都農業祭や食の市、食育フェアなどで、特産農産物等の即売やパネル展示等を行い、広くPRを実施してまいりました。
今後とも、各局や民間のイベントなどさまざまな機会をとらえまして、特産農産物等のPRを行うとともに、質の確保、向上や販路開拓の視点から、ブランド力を向上させる方策について検討してまいります。
◯服部委員長 吉原修委員の発言は終わりました。(拍手)