【委員会】平成18年3月17日 平成18年総務委員会

2006.03.17 : 平成18年総務委員会

◯吉原委員 それでは、今回報告をいただきました、首都直下地震による東京の被害想定のことについて、基本的なことだけ、数点お尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回の中間報告では、まだ想定項目すべてにわたって被害想定されたわけではなくて、まだ若干残っている部分もあるというふうにお聞きをしているわけでありますけれども、それにしても、実に十年ぶりの想定になるわけでございまして、一定の評価をさせていただきたいというふうに思っているところでもございます。
 特に、昨今もマグニチュード六を超える地震が毎年起こっているわけでございまして、さらに強い地震がいつあってもおかしくない、こういうふうに専門家の方々もいわれているところだろうというふうに思っております。
 そこで、今後、首都圏における直下型地震の発生確率の予測はどうなっているのか、お尋ねをいたします。

◯中村総合防災部長 首都圏、東京都を含みます南関東でございますが、平成十六年八月に、政府の地震調査委員会が、この南関東で今後三十年以内にマグニチュード七程度の地震が発生する確率は七〇%と予測したものでございます。これにつきましては公表してございまして、先ほど申し上げましたように、東京都もこの範囲に含まれているということでございます。

◯吉原委員 昨年の二月には、中央防災会議で、首都中枢機能の継続性確保という視点から、国として初めてマグニチュード七・三の直下型の地震の被害想定を公表されたわけであります。
 都としてはどのくらいのレベルの地震を想定しているのか、お尋ねいたします。

◯中村総合防災部長 まず、地震の種類でございますけれども、中央防災会議首都直下地震対策専門調査会は十八種類の地震を想定してございますが、その中から、発生可能性が高く、首都圏に対する被害も大きく、また都民への影響も大きいと考えられます、フィリピン海プレートと北米プレートの境界で発生する東京湾北部地震、それと多摩の直下地震、この二つの種類を対象といたしました。
 また、今、先生お話ありましたように、マグニチュード七・三、これは国が想定した規模でございますが、この想定は、関東大震災の後の丹沢地震、これは関東地震の余震と考えられておりますが、これの地震の規模を採用しているということでございますが、これと、また、発生する頻度が高いと考えられております、マグニチュード六台のうちの六・九を想定してございます。
 したがいまして、地震の種類が二種類、地震の規模が二種類ということで、合計四種類を想定してございます。

◯吉原委員 東京都としても、平成九年には、全国で初めて直下型の地震の被害想定を公表したわけでありますけれども、既に十年近く経過しているわけであります。そのときから比べますと、東京の都市機能を含めて随分様相も変わってきたんだろうなというふうに思っているわけでありますけれども、当時の想定に、さらに加えて今回検討されたもの、あるいは若干残ってもいますから検討されているものにどんなものがあるのか、お尋ねいたします。

◯中村総合防災部長 建物の倒壊や火災という基本的な項目は同じでございますが、より実態を反映するために、屋内収容物の転倒、落下、これは家具の転倒でございますが、こういう落下等による負傷者数、それから、交通の問題がございますので、緊急交通路の発災時の渋滞状況、それから細街路の閉塞状況を加えまして、さらに新たに都市型災害、これが昨年の千葉県北西部地震で発生してございますので、こういう都市型災害を踏まえまして、ターミナル駅別の帰宅困難者数、エレベーターの閉じ込め台数などを新たに項目に加えまして被害想定を出しているものでございます。

◯吉原委員 わかりました。
 さて、中間報告では区市町村別の被害想定結果の基礎データを示していただいているわけでありますけれども、人口の部分でいいますと、区と市町村があるわけでありますけれども、町田の場合は、このデータを見ますと、夜間人口三十七万六千人余り、こういうふうになっているわけであります。ちょうど昨年の秋には国勢調査もあったわけでございまして、その際には四十万人を既に超えている現実があるわけでございまして、そうすると、想定の実態、こういうものは現実より五%前後少ない状況の中で想定をされているんだろうと思うわけでありますけれども、当然のことながら、被害にも若干誤差が生じてくるんじゃないかなというふうに思わざるを得ない部分が出てくるわけでありますけれども、報告書の中にも、実態に即したデータを使っているよと、こういうことも書いてございました。
 そしてまた、さきの本会議でも、我が党の野村幹事長の質問に対しまして、実態に即したデータを使っているよと、こういうしっかりとした答弁をいただいているわけでありますけれども、人口の面を見ても、実態とは少し違うんじゃないだろうかなというふうに思うわけでありますけれども、今回の被害想定ではどのような基礎データを用いて想定をされたのか、お尋ねいたします。

◯中村総合防災部長 基礎データでございますが、今回の被害想定では、できるだけ新しいデータを使いたいということで臨みました。道路、鉄道、ライフラインなどにつきましては、それぞれの事業者が持つ最新のデータを用いております。人口につきましては、先生ご指摘のとおり、残念ながら平成十二年度の国勢調査のデータを用いてございます。
 これは、一つには、国が切迫性のある首都直下地震の対策を早急にまとめて実施する方向で動いておりまして、昨年二月には被害想定をまとめて、九月には首都直下地震対策大綱を決定し、そして、近く首都直下地震対策活動要領を取りまとめる予定でございます。
 この動きに対応しまして、都といたしましても迅速に震災対策を進めていく必要があるということで、昨年五月の防災会議の決定を経て、今年度末を目指して今回の被害想定の策定を行っているところでございます。
 したがいまして、地震部会におきましても議論がございまして、どういうデータを使うかということで議論がございましたが、この日程的な面からもやはり制約があるということから、国勢調査が平成十七年に行われましたが、確定値が出るのが十八年十月であるということで、これを待っていては被害想定の策定がおくれるということで、やむを得ず、今回の被害想定では現在活用できる最新のデータということで、十二年のデータを使って迅速な作成を目指したということでございます。

◯吉原委員 国の中央防災会議でも十二年度ベースで想定をされた、こういうことでございますから、それはそれとして、しかしながら、私たちのこの東京にあっては、やっぱり実態に即したデータを私は使うべきではないかなというふうに思っているところでもあります。
 まして、人口データというものについては、各区市町村にお尋ねすれば、住民基本台帳もあるわけでありますし、昨年の国勢調査が、まだ結論が出ているのかいないのか、私、存じ上げておりませんけれども、しかしながら、この人口のデータというものについてはそんなに難しい話ではないわけでございまして、どうしてそういうような決定をなされたのかなということが、今となって大変恐縮ですけれども、残念でならないなという思いを残しているところでもございます。
 しかしながら、建物についても多分そういう状況になっているのかなという思いをしているところでもございますけれども、ある程度最新のデータというのはやっぱり力を尽くして集めるべきであって、そのことが都民の生命、財産を守る、そういうことにつながっていくんだろうと思いますので、今後については、そういうことについてしっかりと検討をしていただいて、最新のデータを使っていただくということは当然のことだと思いますので、ぜひお願いをさせていただきたいと思います。
 また、これから各区市町村に対して、区市町村であっても防災計画というものを立てていかなきゃならないわけでありますから、当然のことながら、東京都でこの被害想定というものをしっかりともとにしてそれぞれの区市町村で立てていただくようになるんだろうと思います。
 そういった意味からも、人口の面からも、あるいは建物の件数も含めて、やっぱりそういう状況があるということをしっかり区市町村に説明をいただいた中でおろしていただけるとありがたいというふうに思いますので、しっかりと十分な説明をお願いしたいと思います。
 最後でありますけれども、首都圏の共通の被害想定の作成、それと地域防災計画の策定についてちょっとお尋ねをしたいと思いますけれども、昨年の九月には東京都と町田市で合同防災訓練を実施していただきました。もちろん知事もご出席をいただき、そしてまた高橋総務局長にも参加をしていただいて、今までにない、実りある防災訓練になった、こういうふうに評価をさせていただいているところでもございます。私は特に、町田に住んでいるという状況もございまして、かねてから都県境を越えた、隣の県や市との応援協定というものはしっかりやっていくべきだ、こういうことを申し上げてきているわけでありますけれども、当日は、初めて都県境を越えて、相模原との連携した訓練を実施されたわけであります。この訓練で、都県境の住民の相互の避難や物資の輸送等の重要性を改めて感じたわけでありますけれども、しかしながら、川崎だとか横浜だとか、隣接している部分とのしっかりとした訓練というものがまだちょっと足りなかったかなという思いを残しております。
 都の皆さんにもご苦労をいただいたわけでありますけれども、今、町田市としても、川崎、横浜の方としっかり協定を結んでください、こういうお願いを私自身もさせていただいているところでもございますけれども、これは何も町田に限ったことではなくて、東京の中にもそういった、町田と同様な環境のところがあるわけでございますから、やっぱりそういうところについての応援協定のことについても、余り出過ぎてはまたいろんな物議を醸し出すのかもしれませんけれども、こういう状況の中でのということの中で東京都もしっかりその辺の指導をしていただけるとありがたいなというふうに思っているところでございます。
 いつ起こるかわからない地震でございますから、想定したような大地震が発生した場合に、都内には町田市と同じような、他の県市と接している市がありますから、ぜひともそのことについてもお願いをしたいと思いますけれども、やっぱり近隣の県や市との連携だとか協力というものを強化して震災に備える、このことは大変重要だと思っております。八都県市で共通の被害想定をなるべく早く策定していただけるように、ほかの自治体にもしっかりと働きかけていくべきだと思っておりますけれども、そのことについてお尋ねをさせていただきたいと思っております。
 もう一点、続けてで恐縮でございますが、東京都としても来年度中に地域防災計画を見直すことになっているわけでありますけれども、その被害想定の対策を、なかなか大変な作業だろうとは思いますけれども、できるだけ前倒しして早い時期に策定をしていただくことの方が、今のこういった、いつ地震があるかわからないという状況の中ではいいんだろうと思いますので、そこの所見についてもお尋ねをいたします。

◯高橋総務局長 お話しいただきましたけれども、昨年の九月一日の東京都と町田市の総合防災訓練、私も都の責任ある当事者といたしまして参加をいたしまして、石原知事と一緒に訓練の状況をつぶさに把握をさせていただきました。
 当日は、各防災機関を初めとしまして、地域の防災市民組織や多くの地元の皆さんの参加を得まして、初めての東京都と神奈川県、いわゆる都県境を越えた訓練を行いました。相模原市等との避難住民の受け入れ、あるいは水、食料の支援、帰宅困難者の引き継ぎなど、総合応援訓練、非常に強い印象を持ちました。
 首都圏で直下地震が起きた場合には、東京のみならず近隣の県市にも大きな被害が生じることが予測されますし、また、救出、救助に当たりましても、はかり知れない支障が予測されているところでございます。このため、これまでも都は、八都県市相互の応援体制の整備に努めてきました。昨日の予算特別委員会の質疑の中でも、知事は改めて災害時の首都圏の連携の重要性について言及をされておりました。
 今回、現実的で、きめ細かな被害想定を行ったわけでございますけれども、八都県市が都と同じ考え方で、例えばマグニチュードでいいますと六・九、七・三、あるいは風速等を含めまして、同じ考え方で対策の基盤となります被害想定を策定することができれば、一層効果的な相互応援体制が構築できることになります。
 今後、ご趣旨も踏まえまして、各県市に共通の被害想定の策定を働きかけてまいります。また、来年度に見直す地域防災計画ですけれども、できるだけ速やかに策定するよう努力してまいりたいと考えております。

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